安倍、自民党政権の政治的な反動姿勢を敏感に感じ取り、一気に原発再稼動再稼動の動きを各電力会社が行っています。国民の半数以上が再稼動反対、原発ゼロを要求しているにも関わらず、その声を無視して、電力会社、ゼネコン、大手金融機関(電力会社への貸付は巨額、株主でもある)、重電メーカーの要求に沿った強引な政治行動を取っています。
軍事面では、国家安全保障会議設置と稼動、特定秘密保護法、集団的自衛権容認をセットにして、戦争できる国日本に突き進んでいます。自衛隊の国軍化、海外派兵の仕組みを目指す。
経済面では、TPP協定参加で、多国籍企業の利潤追求、税逃れを促進しようとしています。これらの基準は、アメリカの経済ルール、法律の適応を参加国である日本に適応させることを意味しています。世界でもっとも貧富の格差が拡大しているアメリカ社会構造を日本に作り出すことになります。エネルギー政策では、原子力事故を反省もせずに、原子力依存体質を再構築しようとしています。これらは電力会社、金融機関、ゼネコン、重電メーカーの利益追及源として確保し続けたいとの思惑から出ています。彼らの眼中には、安全安心などは全くなし。念仏のようなものです。
東北電力は、被災地にある電力会社であり、福島第一原発事故の影響を身近で一番良く見た電力会社です。宮城県も同様です。その地元企業が福島第一の事故原因が判明もせず、汚染除去も出来ず、巨額の経済的な被害と負担を地域にもたらしていることを深く考慮もせずに、再稼動申請をする姿は、狂っているとしかいいようがありません。沖縄県知事が、激しい怒りで糾弾されていますが、地元自治体、市町村、住民の声を無視して、再稼動を強行するような経営姿勢は糾弾されて当然です。企業の社会的な責任を放棄したものといわざるを得ません。
<河北新報社説>
東日本大震災後、長期停止中の女川原発(宮城県女川町、石巻市)について、東北電力が27日、2号機(出力82万5千キロワット)の安全審査を原子力規制委員会に申請した。
女川では津波対策などが進められている。新たな規制基準に適合するのかどうか国の判断を仰ぐことになるが、女川は言うまでもなく震災で現実に被災した原発だ。
宮城県内ではこのまま廃炉にすることを求める意見書を可決した市議会もある。仮に再稼働を議論する状況になれば、全くの白紙から始めなければならないし、原発事故と避難のあり方などをめぐって多くの県民の意見を募ることも必要になる。
今回の申請前にも、地元での真剣な議論が望まれた。必要なのは東北電力の情報発信だが、宮城県などへの説明は前日の26日だった。県民への十分な説明を心掛けたとはとても思えない進め方だ。
福島第1原発事故が起きたのは隣の県であり、飛散した放射性物質の影響も被っている。なし崩し的に進むような事態は絶対に避ける必要がある。
行政も事業者側と緊張関係を保ち、住民の意向の変化も考え合わせて、安全性により厳しい目を向ける姿勢が不可欠だ。原発事故以前と変わらない漫然とした対応では、県民への説明責任を果たせない。
東北には震災時点で4原発14基の原子炉があった。東北電力が青森県の東通(1号機)と女川(1~3号機)、東京電力が福島第1(1~6号機)と第2(1~4号機)で、女川と福島の計3原発は被災した。東通は震災約1カ月後の最大余震で被災している。
女川には高さ13メートルの津波が襲来し、火災や浸水に見舞われた。送電設備の被災で一時、5系統ある外部電源のうち4系統まで失った。1号機は震災の揺れによって、原子炉格納容器のふたの開閉に使うクレーンも損傷した。
福島第1原発のように、冷却できなくなって炉心溶融(メルトダウン)を引き起こす事態は免れたが、緊急事態に陥ったのは確かだ。
それなのに東電の柏崎刈羽原発(新潟県)と比べても議論不足が甚だしい。東電は申請の2カ月以上も前に新潟県知事に事前に説明した。新潟県はその後、安全性追求のために東電に厳しい姿勢で臨んでいる。
宮城県は規制委の審査を見極めてから安全確認作業を行うつもりだという。安全審査申請のための事前了解も不必要との立場だ。
これではまるで他県の出来事のような対応ではないか。申請前にきちんと計画内容をチェックし、必要なら追加や変更を求めるべきだし、規制委と並行して検証しても一向に構わない。再稼働の是非は国の安全審査だけでは済まない。最終的には地元の意向が大きく関わる。そうであるなら原発事故を教訓にして早く、丹念に原子力の安全性などに踏み込むべきだ。
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「将来に禍根を残す」「動かせるなら早く」。東北電力が27日に女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の安全審査を申請したのに対し、住民の賛否が渦巻いた。再稼働手続きの第一歩になることもあり、宮城県内の反原発グループは一斉に批判の声を上げた。
「経営の都合。市民に具体的な説明がない」。市民団体「脱原発東北電力株主の会」(仙台市)の篠原弘典代表は東北電の対応を批判し「株主総会や宮城県議会への請願で再稼働に反対していく」と言葉に力を込めた。
「原発問題住民運動宮城県連絡センター」(仙台市)は同日、東北電に抗議を申し入れた。約10万人分の再稼働反対署名が集まっているといい、庄司捷彦共同代表は「福島第1原発事故の原因もはっきりしていない。このままでは地域の将来に大きな禍根を残す」と語った。
申請を容認する声もある。女川町の仮設住宅で暮らす無職湯山四郎さん(71)は「原発停止で電気料金が上がっている。事故情報の公開が徹底されるなら早く動かした方がいい」と話した。
震災で被災した気仙沼市の小売業の男性は「電気料金を考えると歓迎の気持ちもあるが、福島では多くの人が苦しんでいる。再稼働はまだ早い気がする」と複雑な心境を打ち明けた。