“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

暮らしの後退許さぬ「公平な課税」本格論議を

2014年04月01日 10時58分17秒 | 臼蔵の呟き

税制は、政権がどの階層の代理人、代表者であるかということをきわめて明確に物語っています。安倍、自民党政権は富裕層、多国籍企業、大手企業の代理人であることは明確です。だとしても、国の中心に位置する国民が健康で、文化的な生活ができるようにすることは政府、与党として当然の義務です。憲法に掲げられた権利、生活を保障することは富裕層であろうと、低所得者であろうと、企業であろうと誰でもが守らなければならないことです。

税制度は所得の再分配機能があることは民主主義社会では当然のルールです。人間として生まれ、生きるうえで職業、収入の格差によって、その生活が著しく制限され、格差が許されるような社会は野蛮な社会といえます。収入の格差を社会保障制度、税収における穴埋め、税の減免などを行うことで不平等を埋めること。

富裕層の所得税率見直し、多国籍企業、大手企業、大手金融機関の法人税率引き上げなどを行うべきです。また、多国籍企業の租税回避への対策、脱法措置を封じることも必要です。同時に、非正規労働の規制を行い、正規労働が当たり前の社会を作り出すことが必要です。

<琉球新報社説>

 新しい年度が始まった。暮らしをどう守っていくか。3月までと違って、節約と我慢を強いられる家庭から悲鳴が聞こえてきそうだ。

 1日から消費税率が5%から8%に引き上げられた。消費税増税は1997年4月に3%を5%に引き上げて以来、17年ぶりだ。
 第一生命経済研究所の試算によると、増税などによる物価上昇に伴い、年収300~400万円の世帯は2014年度の家計負担が7万8千~8万8千円増える。賃上げで年収が13年度から約2%(7万1千円)増えたとしても、7千~1万7千円の負担増となる。

約束違反

 今春闘は大手でベースアップの回答が増えたが、消費増税による値上げ分を吸収するには至らないとの見方がもっぱらだ。沖縄など地方ではまだベアは厳しい企業も多い。大企業が下請けに増税分を価格転嫁しないよう迫る行為も報告されている。増税は規模の小さな企業ほど重くのしかかる。労働者の実質所得が減ることで消費マインドの冷え込みも心配される。

 消費税増税法は民主、自民、公明の3党合意で12年8月に成立した。合意は医療・介護や年金などの社会保障制度の改革を増税と一体で行うはずだった。だが安倍政権は企業減税を重視した経済対策を優先させ、社会保障改革を先送りした。そもそも今回の増税は国民に対する約束違反ではないか。
 1日から消費税増税のほか、70~74歳の医療費窓口負担は2割に引き上げられ、現役世代でも国民年金や介護保険料が上がる。一方で児童扶養手当などは減る。国民に負担を強いる制度変更が先行する現状には納得がいかない。

 国の税収は所得税、法人税、消費税で約8割を占めるが、消費税は増税により14年度税収は前年度比4・7兆円増の15・3兆円に伸び、法人税(10兆円)ほか所得税(14・8兆円)も上回る見込みだ。
 消費税が導入された89年度は所得税21・4兆円、法人税19兆円に対し消費税は3・3兆円。この二十数年で企業の税負担は大きく軽減された半面、消費税は5倍弱に増えた。「世界で最も企業が活動しやすい国」(安倍晋三首相)を目指す一方で、庶民の税負担を増やしてきたことが分かる。
 この間、企業資産が減少し、家計資産が増加しているのならまだ議論の余地があるが、実態は逆だ。消費税増税法は来年10月に税率を10%にすると明記しており、安倍首相は経済状況を見て今年末までに再増税を判断するが、この方向は明らかにおかしい。

大盤振る舞い

 所得税・住民税は89年に最高税率が76%から65%に引き下げられ、99年にさらに50%に下がった。こうした富裕層向けの減税が所得税収減の要因だ。所得税や相続税の最高税率は15年分から引き上げられるが、負担能力に見合った税の負担という基本原則に照らして、税制の在り方を今後も議論する必要があるのではないか。収益を拡大させている大企業向けの税制や、海外の「租税回避地」を利用する多国籍企業・資産家らへの課税も本格的に検討すべきだ。
 一方で歳出構造を見直し、予算の無駄を徹底的に排除していかねばならない。安倍政権の経済政策「アベノミクス」は、国土強靱(きょうじん)化の名の下に公共事業の大盤振る舞いを進めている気がしてならない。しかし公共事業の経済効果が限定的であることは過去に何度も指摘されてきたことだ。
 経済を活性化させ、税収を増やすための施策も求められる。内需の拡大が何より重要であり、企業の内部留保を家計へと向かわせ、賃上げを促すことが必要だ。「実感なき景気回復」を終わらせ、非正規労働者の正規化などを含めた所得拡充策を行うことも肝要だ。
 低所得者ほど負担が大きい消費税の増税は、所得水準が全国最低の沖縄に、より影響が大きい。安倍政権は税制の抜本見直しと社会保障改革を急ぎ、国民の不安を取り
除く国家ビジョンを提示すべきだ。


消費税率引き上げ

2014年04月01日 09時28分48秒 | 臼蔵の呟き

消費税率引き上げが強行されました。札幌ではガソリン価格が163円、灯油が店頭売りで102円となりました。とんでもない価格が表示されています。国民に負担をお願いしたい。デフレを脱却したいと安部が述べたそうです。彼らは何千万円もの議員歳費、政治資金を確保しているので痛くもかゆくもないかもしれません。北海道のように灯油代が一ヶ月2~3万円かかる家庭で、10%に迫るような値上げは生活そのものに直接的なダメージを与えています。

社会的弱者である、老人、子ども、年金生活者、失業者にとっては耐えられないような増税、医療費の負担増加、年金切り下げです。彼らはしぼれば、しぼるほどに税金として徴収できるのだと考えているのかもしれません。しかし、3⇒5⇒8⇒10⇒15などと刻みながら既成事実を積み重ね、国民から収奪し、その一方で法人税率を引き下げ、富裕層の所得税率を引き下げる。こんなことが許されるはずがありません。

貧しいものから徴収し、その税収を富めるものに投下する。論理が逆転しています。安倍、自民党政権、公明党が退陣する闘いがどうしても必要です。また、民主党のように政権公約を簡単に反故にするような議員を選挙を通じて落選させることが必要です。

<消費税10% 家計を痛め景気も悪化>
=第一生命経済研究所・主席エコノミスト 永濱利廣さん

 参議院選挙では消費税増税が大きな争点に。税率が10%になれば、4人家族で年16・5万円の負担増で、年間支払い総額は34万6000円にもなります。試算したのは(株)第一生命経済研究所の主席エコノミスト・永浜利廣さん。「今は消費税をあげるべきではない」と警告する永浜さん。

―― 第一生命経済研究所のマクロ経済分析レポートで「消費税率引き上げの影響」を発表しました。
永浜 同レポートは4月に発表したのですが、「4年間は上げない」と公約していた民主党が、「3月から消費税論議を始める」との意向を示したため、消費税増税は経済にどのような影響を与えるのかを予測する必要を感じました。レポートは、当社のお客さまに有益となる情報を提供するために作成しています。
―― 消費税率が10%になれば、4人家族で年16・5万円の負担増、年間支払い総額は34万6000円にもなるという試算方法について教えてください。
永浜 総務省がまとめた「家計調査」の中に、国民の年収別に消費支出を算出したデータがありましたので、消費税10%であれば、消費支出に110分の10を、5%であれば105分の5をかけて計算しました。
 実際には消費支出の中に非課税のものもありますので、計算としては正確ではありませんが、それは誤差の範囲だと考えています。

 


逆進性が明白に
―― レポートでは、「消費税の逆進性」についても試算していますね。
永浜 消費税は収入がない人でも消費する際に課税されるため、所得が低い人ほど負担感が大きくなります。試算すると、そのことがはっきりと分かります。
 さらに、総務省「家計調査」は、税・社会保障などの公的負担額も算出してありましたので、直接税と社会保険料についても試算しました。
 直接税は、所得の低い人ほど負担が少なく、所得がある人は負担が重い累進性がはっきりと出ました。
 また、「消費税の逆進性」を緩和する方策として、諸外国で実施されている食料品などの生活必需品の消費税率を軽減する措置も紹介しています。個人的には、軽減税率は避けられないと思っており、次は生活必需品の税率はそのままにして、消費税を10%にした場合の試算を発表する予定です。

消費を冷やす
―― 消費税増税が経済に与える影響について教えて下さい。
永浜 増税によって税収が増える好影響と、モノやサービスの価格が上昇し、売れなくなる悪影響の二つがあると思います。
 そして、先の試算のとおり、家計に与える影響は甚大です。消費税率引き上げは、消費の減少や企業売り上げの減少を通して、景気の悪化を招く可能性があり、注意が必要です。レポートでも詳報していますが、89年の消費税3%創設時と97年の5%導入時とでは、景気への影響は大きく異なりました。

デフレ脱却が先
―― 消費税は増税すべきではないと?
永浜 消費税に限らず、国民の負担増は、将来に対する不安感を過度に増大させます。
 04年の年金制度改正で、13年間かけて保険料が毎年引き上げられることになり、国民の不安増大から景気に悪影響が出ました。
 不安は個人消費に悪影響を及ぼすとともに、景気低迷に伴って税収も減少し、財政再建の進展も妨げます。消費税の増税だけで財政再建をするのは難しいと考えます。
 今は、デフレ脱却が先であり、消費税を上げる時ではありません。
 消費税増税は、引き上げ時期を先に決めるのではなく、経済がここまで良くなったら消費税を上げるというターゲットを示すべきです。その方が国民の理解も得られると思います。
 実は、今年の初めごろ、内閣府の政務三役が出席するミーティングで、このことを提言しました。民主党だけでなく、消費税増税を公約する政党のすべてに私の提案を勧めています。
―― 消費税を価格に転嫁できず、身銭を切って納税している中小業者は、消費税に苦しめられています。
永浜 マクロ経済では、そのことを数値化するのは難しいのです。でも感覚的には分かります。私の父も自営業者なので。


プロフィル
永浜 利廣(ながはま としひろ)…第一生命経済研究所 主席エコノミスト 景気循環学会幹事、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、一橋大学・跡見学園女子大学非常勤講師
 著書『経済指標はこう読む』(平凡社新書)、『アメリカ経済がわかる「経済指標」の読み方(解説)』(マグロウヒル・エデュケーション)、『資源の世界地図(編)』(青春出版社)等

 

<東京新聞社説>

消費税率が8%に引き上げられた。物価が上昇する中、社会保険料などの負担増も相次ぐ。景気対策ばかりでなく、弱者対策にもっと目配りすべきだ。

 増税開始日の直前まで、全国のスーパーや大型店は買い置きできる日用品や食料品を求める消費者でごった返した。目いっぱい詰まったレジ袋を三つ四つ抱えるお年寄りも目についた。高額の家電製品やブランド品ばかりでなく、こうした十円単位の節約につなげる生活品のまとめ買いは、十七年ぶりの消費税引き上げに身構え、わずかでも生活防衛をとの切実な思いが伝わってくる。

◆本格的な負担増時代

 消費税率3%の引き上げで国民負担は約八兆円増える。これまでの税制改正は増税と減税をセットで行い、痛みを和らげるのが基本であった。しかし、今回は所得税などの減税はなく、増税のみだ。

 それだけではない。厚生年金の保険料率は毎年上昇し、国民年金の保険料も上がる。復興増税として十年間、住民税に年一千円の上乗せも始まる。一方で、公的年金の支給額が0・7%引き下げられる。円安で広く物価が上がってきたところに追い打ちをかける負担増の数々である。

 消費税は所得が低い人ほど負担が重くなる逆進性が特に問題だ。みずほ総合研究所の試算で、年収三百万円未満世帯は今回の増税で年間の消費税負担は約五万七千五百円増え約十五万三千円となる。

 収入に対する負担率は6・5%に上昇、年収六百万~七百万円未満世帯の3・9%、年収一千万円以上世帯の2・7%を大きく上回る。負担率の格差は、税率が上がるほど拡大する。

 低所得者の増税負担を和らげるため、住民税がかからない人に現金一万~一万五千円を配るが、この程度の給付一度きりでは「焼け石に水」である。

◆でたらめな景気対策

 政府の対応を見るかぎり、重視するのは弱者への配慮よりも、もっぱら景気の先行きであり、いかに消費税率10%へ再増税する環境をつくるかだと思ってしまう。

 政府は、増税前の駆け込み需要の反動減で景気の落ち込みは避けられないとして、二〇一三年度補正予算で五・五兆円もの景気対策を決めた。いわば「増税のために巨額の財政出動をする」という泥縄対応の愚かさもさることながら、許せないのはその中身である。政府の行政改革推進会議が一四年度当初予算の概算要求から「無駄」と判定した事業の多くを補正予算で復活させていた。

 こんなでたらめな予算の使い方をするのは、消費税収で財源に余裕が生まれると判断したためだ。これでは何のための増税かというのが国民の率直な思いであろう。

 そもそもが大義のない増税であった。天下りするシロアリ官僚の排除や国会議員の定数大幅削減など国民に増税を強いる前提だった「身を切る」約束も実行していない。増税の目的であった社会保障制度改革は、所得など負担能力に応じて給付削減といった抜本的見直しが必要なのは明らかなのに議論の先行きは不透明なままだ。

 「先に増税ありき」の財務省の論理にのるから次々と齟齬(そご)を来す。今また、来年十月に消費税率を10%に引き上げる「次なる増税」を確かなものにしようと財務省は躍起である。

 前回一九九七年の3%から5%への引き上げでは、景気が大失速し、今に続く「十五年デフレ」のきっかけとなった。

 景気の腰折れを防ぎ、デフレ脱却を急ぐことに異論はないが、増税でかえって財政規律が緩む現政権の経済政策をみせられると、景気対策の名の下に公共事業の大盤振る舞いや政官業癒着で予算を食いものにする「何でもあり」がまかり通りそうだ。これは納税者への裏切り行為以外の何ものでもない。

 アベノミクスは勢いを失いつつあり、景気の失速懸念が強まると日銀の追加金融緩和が予想される。その時、財政規律に疑念が生じれば、意図せぬ金利上昇を招きかねないし、無理に増税を断行すれば、消費不況から景気腰折れ、デフレ悪化のリスクに直面する。でたらめの財政運営が許される状況ではない。

◆10%の判断は慎重に

 安倍政権は企業活動を活性化させることで経済成長を目指すが、格差や貧困などへの目配りがなさすぎる。消費税増税の対応には、それが如実に表れている。

 10%への引き上げは慎重にすべきだ。今回の増税後の経済情勢を踏まえ、時期や税率の引き上げ幅、低所得者や年金生活者への配慮を十分に検討する。GDP(国内総生産)の数値だけでなく、声なき声に耳を傾け、国民の痛みに心を砕いてほしい。