日本における公債(国債、地方債など)残高は1000兆円を超えているといわれています。予算の約四割が国債、歳出も4割近くが国債償還、金利支払いに当てられています。95兆円の一般会計予算の実体は、税収で40~45兆円が実力です。そう考えれば、1000兆円の国債、地方債の返済にかかる年数は、他の支出を0と仮定しても25年償還だけにかかることとなります。現実に即してみれば、要は1000兆円の公債発行残高は返済不能ということです。これは、経済学者である慶応義塾金子勝教授、その他の経済学者もそのような論文を出しています。
1000兆円の国債、地方債の返済は不可能。返せないとして、どうなるかです。約20%が民間金融機関保有200兆円です。財務省資産運用部、郵貯、簡保、日銀が残りの大半を持っています。要は返せなくて困るのは民間金融機関がもつ200兆円が問題となります。10%以下で個人、海外の投資家が保有くらいだと思います。
いくつかのケースが考えられますが、
ケース1(自民党政権が一番取るだろうケース)がハイパーインフレを引き起こすことです。1000兆円をインフレで価値を10分の1とすれば100兆円の借り入れ価値と同じことになります。しかし、国民がもつ金融資産の1400兆円が140兆円となり9割が紙切れになります。富裕層、大手金融機関などは資産を海外に移す、資金を金、換金可能な資産に移し変えると考えられます。自民党政権にとっては自らが作り出した国債残高1000兆円を棒引きにすることができます。日本経済は猛烈な混乱に陥ることは確実ですが。
ケース2(敗戦後行ったこと)、預金封鎖、現金をすべて金融機関にすべて預け入れさせる。その上で、預金封鎖を行い、引き出しを法律で規制する。旧円は使用禁止とする。新円発行を行い、デノミの実施をします。そのことで個人の金融資産1400兆円を国家が吸収してしまう。また、国民総背番号制を使って、個人の資産をすべて捕捉し、資産税として課税する。資産高に応じて、30%~90%の課税を行う。これで1000兆円の国債、地方債を償却(相殺)する。
ケース3はまじめな経済学者が提唱する説。1000兆円の公債を塩漬けにする。単年度税収、歳出に公債発行、公債償還を入れない。その上で、税収と歳出を合わせ、出来れば、黒字にする。単年度税収が黒字になれば、そこから塩漬にした国債の返済を長期にわたって、計画的に行う。この説は税と社会保障の一体改革などという「うそ」はなくなるということです。国債残高が1000兆円だから消費税率を引き上げなければならないなどのデマ宣伝が使えなくなります。また、消費税率を引き上げ、その税収を公共投資、企業への投資減税、法人税率引き下げに使うなどは持っての他ということになります。
安倍、自民党政権、公明党、民主党の消費税率引き上げ、税と社会保障の一体改革が如何にでたら目で、国民を愚弄したデマ宣伝であったか分かるだろうと思います。彼らにとって自転車操業、自らの政権、与党時代に国債発行が不可能にならなければ、後は危機に直面した政権が対応をすることと。その程度の無責任な政治感覚しか持ち合わせていないのではないかと考えられます。彼らはまともな政治家、政党ではありません。
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対外債務デフォルトが可能になったギリシャ
ギリシャの債券市場への復帰を金融界が祝う中、筆者はこんなことを考えている。これはギリシャが対外債務をデフォルト(債務不履行)する好機なのではないか、と。確かに、そんな疑問はブリュッセルやアテネでの世間話には向かない。投資家の会合でも歓迎されないかもしれない。
あの危機以降では初めて、ギリシャはデフォルトができる立場にある。
プライマリーバランス(国債の利払いなどを考慮する前の基礎的財政収支)は黒字になっている。欧州委員会の予測によれば、今年のプライマリーバランスの黒字幅は国内総生産(GDP)比で2.7%に達し、2015年には4.1%に拡大するという。経常収支も黒字化している。つまり、ギリシャはもう外国人投資家に依存しているわけではないのだ。
もちろん、デフォルトができる立場にあるというだけでは、デフォルトすべきだという話にはならない。では、このことはどう考えたらよいのだろうか。
今日のギリシャは恐らく、6年前に始まった不況の大底に近い状態にある。ギリシャの実質GDPは2008年から2013年にかけて23.5%縮小し、投資は58.4%減少した。最新の労働力調査によれば今年1月の失業率は26.7%で、2013年の若者の失業率は60.4%に上っていた。
銀行による企業への貸付残高も、今年2月には前年比で5.2%減っている。銀行が抱える不良債権は貸付債権全体の38%を占めるに至っており、銀行預金の残高は今も減少している。
上記の相対的な変化以上にショッキングなのが、これらのデータを踏まえた統計だ。ギリシャの政治経済学者ヤニス・バロウファキス氏が先日まとめた長いリストの中から、数字をご紹介しよう。
まず、ギリシャの280万世帯のうち230万世帯は税金を滞納している。また、ギリシャの家族の48.6%は年金を主たる収入源としている。就業者数は350万人で、彼らが支えなければならない失業者や働いていない人々は計470万人に達している。つまり、ギリシャ経済は景気後退に陥っているのでもなければ、回復途上にあるのでもない。崩壊してしまっているのだ。
だが債券のセールス担当者たちに言わせれば、ギリシャは現代史上最大の復活劇を演じるのだという。同国第2位のピレウス銀行と第4位のアルファ銀行は先日、増資に成功し、合計でほぼ30億ユーロの資本を調達した。ギリシャに賭ける投資家と言えば、昨年はほぼヘッジファンドだけだったが、その後は従来型の投資家も参入している。
ギリシャ政府が先週発行した5年債には、600を超える投資家(ほとんどが国外の投資家)から210億ユーロもの応募が集まった。
ユーロ圏の狙いは巨大な金融投資バブルを生み出すこと
もしユーロ圏の正式な対ギリシャ政策に込められた戦略を見抜くことができるなら、筆者はきっとこれを、「巨大な金融投資バブルを引き起こし、その一部がいずれ実体経済にトリクルダウン(浸透)するのを期待しよう」と表現するだろう。
ギリシャの公的債務残高のGDP比は今年、177%に上昇すると見込まれており、外国人によるギリシャの実体経済への投資は今のところあまり実行されていない。また、銀行システムが壊れているため、国内投資家による投資を喚起することもできずにいる。
もしギリシャ政府が、保有している銀行の株式を競売で売却できれば、その代わり金を使って「バッドバンク」を設立し、不良債権を買い上げることもできるだろう。欧州中央銀行(ECB)による今年のストレステストの結果がまとまれば、欧州の銀行セクターが活気を取り戻し、改革でぜい肉をそぎ落としたギリシャ経済への貸し出しを再開するという可能性もあるだろう。そうなれば、問題は解決する。
しかし、そこまでたどり着くには、それなりに大きなバブルが必要になるだろう。ギリシャが先週の国債発行であれほどの注目を集められたのは、高利回りが約束されているうえに、ギリシャが現在抱える債務の期日がかなり先であるためだった。
ギリシャの総債務のうち、80%はユーロ圏諸国と国際通貨基金(IMF)から借り入れている公的ローンである。そして、この公的ローンの元本返済が行われるのは2023年以降になる。言い換えれば、ギリシャは短期的には支払い能力がある。しかし、長期的に支払い能力があるかどうかは全く定かでない。
従って、私たちは根本的な問題に立ち返ることになる。長期的に持続不可能な債務を抱えた国にいったい誰が長期的な投資を行うのだろうか、という問題だ。
あの公的ローンが免除されない限り、あるいはデフォルトされない限り、ギリシャへの投資ブームを引き起こすことは難しいのではないかと考えている。ブームを作る最も明快なやり方は、会議を開いて債務免除を協議することなのだろうが、債権国側はそんな話を聞きたいとは思っていない。
では、もう1つの選択肢、デフォルトについて考えてみよう。まず、ギリシャがすべての対外債務をデフォルトする。そして新しい通貨を導入する。この新通貨のレートはすぐに下落するだろう。ここで得られる競争力の向上を確定するためには、つまりこの下落を真の通貨切り下げとするためには、信用できるインフレ目標を掲げる中央銀行と、規制が十分に緩和された労働・製品市場が必要になるだろう。
これは決して楽な道ではない。ギリシャ政府は恐らく、これまでに手がけたものを大幅に上回る件数の構造改革を進めなければならないだろう。
そういう事態になったら、外国人投資家は恐らくうろたえてしまうだろうが、彼らはすぐに忘れてまた戻ってくると考えてよいかもしれない。結局のところ、デフォルトする確率が最も低いのはデフォルトした直後なのだ。改革されたギリシャは、金融投資家にとどまらず、外国人投資家全般にとって非常に魅力的に映ることだろう。
筆者は、ギリシャからの投資引き揚げを支持しているわけではない。ただ、ギリシャの有権者と外国人投資家は、今のギリシャにはデフォルトという選択肢もあるということを承知しておくべきだと考えている。