オヤジ達の白球(12)瓢箪から駒
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/4b/91d6eedc308b79bd901930f92756af40.jpg)
「あのやろう。
謎の女の気をひくため、こんどはソフトボールのピッチャーになるってか。
動機が不純すぎるなぁ。
そんなことでホントに投手になれると思っているのか、あいつは?」
北海の熊が呆れる。グビリと苦そうに酒を呑み込む。
「そういうな」岡崎が熱燗徳利を持ち上げる。
「実のところ、俺だって半信半疑だ。
あいつの場合。長く続いた趣味がひとつもねぇ。
確かに熱しやすくて冷めやすい男だ。
だがよ。今回にかぎりあそこまで、ぜったいにやりとげると強調するのも珍しい。
ひょっとすると、瓢箪から駒が出るかもしれねぇ」
「笑わせるな、絶対に出るもんか。
駒どころか、あいつの頭からはホントの話のひとつも出てこねぇ。
またいつもの出まかせに決まってる。
同級生だからってあいつの肩を持ち過ぎだ。おまえさんも」
「待て待て。話にはまだ続きがある。
大将に、居酒屋のソフトボールのチームを作ってほしいそうだ。
投手になっても、投げる場がなきゃ意味がねぇ。
大将。そういうわけだ。
飲んべェどもを集めて、ソフトボールのチームを作ってくれないか」
「おいおい。つまみをオーダーするわけじゃねぇ。
ソフトボールのチームといえば、最低でも10人は集める必要がある。
そんなに集まるかよ、こんな貧乏居酒屋で」
北海の熊が「無理無理」と大きな音を立てて熱燗を呑む。
「悪かったな、貧乏居酒屋で」カウンターの中で、祐介が憮然とする。
しかし。ソフトボールのチームを作るというのは、なんだか面白そうな話だ。
(たしかに酒ばっかり呑んでいたんじゃ、身体によくねぇ。
ソフトボールで身体を動かせばいい運動になる。悪くねぇかもしれねぇ発案だな)
しかし。常連客の中に、野球経験者はほとんど居ない。
ソフトボールの経験者となれば、なおさらだ。
ほとんどがお遊びのようなソフトボールなら、参加したことがある。
チームを作るには、なんともお粗末な実情がある。
「そういえば熊。おまえさんのチームはどうなった?。
出場停止で、事実上の空中分解と聞いたが?」
「だからよ。俺のせいじゃねぇ。
出場停止を決めた町の連中が悪いんだ。おかげでウチのチームは冬眠中だ」
「いつ目覚めるんだ。その冬眠から?」
「そいつは町が決めることだ。俺たちに眠りから覚める権限はねぇ」
「町のソフト部会はおまえさんたちのチームを、永久追放と決めたそうだ」
「なんだと。誰がいつ、そんな無茶なことを決めたんだ!」
「先日のことだ。町の体協の連中が飲みに来た。
そのとき。熊のチームは永久追放処分にするという話が出た。
素人の審判を脅迫するようでは、親睦ソフトボールの趣旨におおいに反する。
そのほかにもおまえさんところは、いろいろと問題のあったチームらしいからな。
審判の買収事件が、最後の決め手になったらしい。
当然だ。誰が考えてもそう決断するだろう。
というわけでお前さんは、ソフトボールで活躍する場を永久に失ったことになる」
「えっ・・・俺の唯一の楽しみを奪い取るのか、体協の奴らは!」
「仕方ねぇだろう、北海の熊。身から出た錆だ。
おまえさんところのチームは優秀な選手が揃っているが、総じてがらが悪い。
おととしだって審判の判定に、さんざんクレームをつけた。
問題児ばかりが集まっているチームだ。
去年の審判恐喝で、ついに体協のおえらがたの堪忍袋の緒が切れた。
どうする熊。このままじゃホントにお前さんは、ソフトボールから、
永久に追放されたままになるぜ」
(13)へつづく
落合順平 作品館はこちら
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「あのやろう。
謎の女の気をひくため、こんどはソフトボールのピッチャーになるってか。
動機が不純すぎるなぁ。
そんなことでホントに投手になれると思っているのか、あいつは?」
北海の熊が呆れる。グビリと苦そうに酒を呑み込む。
「そういうな」岡崎が熱燗徳利を持ち上げる。
「実のところ、俺だって半信半疑だ。
あいつの場合。長く続いた趣味がひとつもねぇ。
確かに熱しやすくて冷めやすい男だ。
だがよ。今回にかぎりあそこまで、ぜったいにやりとげると強調するのも珍しい。
ひょっとすると、瓢箪から駒が出るかもしれねぇ」
「笑わせるな、絶対に出るもんか。
駒どころか、あいつの頭からはホントの話のひとつも出てこねぇ。
またいつもの出まかせに決まってる。
同級生だからってあいつの肩を持ち過ぎだ。おまえさんも」
「待て待て。話にはまだ続きがある。
大将に、居酒屋のソフトボールのチームを作ってほしいそうだ。
投手になっても、投げる場がなきゃ意味がねぇ。
大将。そういうわけだ。
飲んべェどもを集めて、ソフトボールのチームを作ってくれないか」
「おいおい。つまみをオーダーするわけじゃねぇ。
ソフトボールのチームといえば、最低でも10人は集める必要がある。
そんなに集まるかよ、こんな貧乏居酒屋で」
北海の熊が「無理無理」と大きな音を立てて熱燗を呑む。
「悪かったな、貧乏居酒屋で」カウンターの中で、祐介が憮然とする。
しかし。ソフトボールのチームを作るというのは、なんだか面白そうな話だ。
(たしかに酒ばっかり呑んでいたんじゃ、身体によくねぇ。
ソフトボールで身体を動かせばいい運動になる。悪くねぇかもしれねぇ発案だな)
しかし。常連客の中に、野球経験者はほとんど居ない。
ソフトボールの経験者となれば、なおさらだ。
ほとんどがお遊びのようなソフトボールなら、参加したことがある。
チームを作るには、なんともお粗末な実情がある。
「そういえば熊。おまえさんのチームはどうなった?。
出場停止で、事実上の空中分解と聞いたが?」
「だからよ。俺のせいじゃねぇ。
出場停止を決めた町の連中が悪いんだ。おかげでウチのチームは冬眠中だ」
「いつ目覚めるんだ。その冬眠から?」
「そいつは町が決めることだ。俺たちに眠りから覚める権限はねぇ」
「町のソフト部会はおまえさんたちのチームを、永久追放と決めたそうだ」
「なんだと。誰がいつ、そんな無茶なことを決めたんだ!」
「先日のことだ。町の体協の連中が飲みに来た。
そのとき。熊のチームは永久追放処分にするという話が出た。
素人の審判を脅迫するようでは、親睦ソフトボールの趣旨におおいに反する。
そのほかにもおまえさんところは、いろいろと問題のあったチームらしいからな。
審判の買収事件が、最後の決め手になったらしい。
当然だ。誰が考えてもそう決断するだろう。
というわけでお前さんは、ソフトボールで活躍する場を永久に失ったことになる」
「えっ・・・俺の唯一の楽しみを奪い取るのか、体協の奴らは!」
「仕方ねぇだろう、北海の熊。身から出た錆だ。
おまえさんところのチームは優秀な選手が揃っているが、総じてがらが悪い。
おととしだって審判の判定に、さんざんクレームをつけた。
問題児ばかりが集まっているチームだ。
去年の審判恐喝で、ついに体協のおえらがたの堪忍袋の緒が切れた。
どうする熊。このままじゃホントにお前さんは、ソフトボールから、
永久に追放されたままになるぜ」
(13)へつづく
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3チームあります、二チームが男
高齢者のシニアチームと若い者達のチーム、そしてママサンソフト
私は関わっていませんが、毎年2万円を
各チームに助成しています。
落合さんの監督さんは降板したんですか
残念ですね 日曜ソフトなんですね
農業は日曜もお仕事なんですね
仕方ありませんからゴルフだけに
絞りましょうか・・そろそろコンペでは??
それを楽しみにお仕事、頑張って
ください。