君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 二話「追憶の破片」

2012-01-22 01:33:31 | 『君がいる幸せ』本編五章「時の在り処」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる 
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 五章「時の在り処」 二話「追憶の破片」

  現在 戦艦ゼル内
「君たちには理解できるかい?」
 シドは血が滲む包帯を見る。
「今まで敵だと思って戦っていた人間まで、彼には、救いたい対象だったんだ。僕も…それは同じだった。だから、僕はイグドラシルで、指示に背いて地球へ降りて人々を救出した。人を憎いと思っていた。それでも救った。それが、僕は戦いが終わった先にあるものだと思ったんだ。これで、全ては上手くいくと…」
「それで、救われた人間が感謝してミュウを認めるようになると…思っていた?」
 ジョミーが問う。
 その言葉は、ソルジャー・シンが言ったような気がしてシドは思わず、目の前のソルジャーズのジョミーから目を逸らした。
「…そう…思っていた。だけど、現実は、僕らは感謝されなかった。直接、助けられた人間は感謝していたけど、でも、思っていたようには進まなかった。簡単には、そうならなかった。SD体制だってそうさ。人間を縛るものから解放したのに、全然で、僕らは落胆し絶望したんだ。人なんて、もうどうでもいいと…。夢にまで見た地球は、目の前にある。だから…。力でこのまま征服して全てを僕らの手におさめてしまおうと思ったんだ。でも、ジョミーはそれを許さなかった。人類と分かり合う方法を探そうと言った…」
「…それで?」
 とブルーが聞いた。
「いろいろあって、結局、僕らは大怪我しているのをいい事にジョミーを幽閉したんだ。長かった戦争の後、僕らは勝利者だった。だから、好戦的な意見が多かった…」
「……」
 ジョミーは何も言わなかった。
「よくトォニィが黙っていたな」
 とブルーがつぶやいた。
「もちろん、黙っていなかったよ。でも、彼はソルジャーになったばかりで、まだ皆の意見をまとめられなかった」
「…力技で奪回しそうだけどな」
「他のタイプブルーが止めたんだ。トォニィも仲間に閉じ込められてるのと近い状態だったと思う。それに、幽閉されているジョミー自身が、僕らの包囲なんて簡単に解けるはずなのにそれをしなかった。トォニィはその気持ちを優先したのだと思う」
「ジョミーには…それは出来なかったんだ」
 とブルーが言う。
「そして多分、考えてた。全ての人の未来を…進むべき道を模索していた…」
 とジョミーが言った。
「…幽閉は怪我が治る頃には解かれたけれど…それからジョミーは、ミュウはシャングリラを降りて人間と共に暮らすべきだと言い出した。僕らはそれに従えなかった…」
「……」
「…ジョミーはその必要性を何度も言った。降りる者も少なからず居たし、他の惑星のミュウ達は守られる物が無い分、自分たちで人間の中に入っていく者も居た。だけど、戦いの最前線だった僕らには…それは、とても…。…とても…」
「怖かったの…でしょ?」
 ソルジャーズの二人が聞いた。
「…そう…だね。笑っちゃうよね。自分たちは勝ったんだと征服するんだ。と言いながら…実際は船から下りる事すら出来ずにビクビクしてた。人を力で抑えるのも全てソルジャーがすればいいって思ってたのだろうね。笑っていいよ。僕たちは人間を畏れていた。そして、僕達は、ジョミーも畏れたんだ」
「言う事を聞かない猛獣は飼えないもんな…」
 とブルーが言う。
「……キツイね。けどそれで当たっているよ…」
「……」
「ジョミーの出自まで持ち出す者まで出てきて…」
「あ、ジョミーは人間だったんだね」
「それで、その後、ジョミーはシャングリラから降りてしまったんだ」
「ミュウ達がトォニィを見るのと、ジョミーを見るのとが、微妙に違うのはそれだったんだな。うしろめたいんだ」
「でも、勘違いしないで。もちろん、僕たちは彼が降りるのは反対した。けれど、彼はそれを振り切って降りてしまった。今では、彼は降りて正解だったと思っているよ。色々な都市や施設が人類側に出来たのはジョミーが向こうへ行ったからだし…だけど…」
「シドはそれで裏切りだと思ってるの?」
「……そこじゃないな…」
 とシドは、諦めたように少し下を向いたまま言葉を続けた。
「僕は降りたジョミーを追ったんだ。彼の意見を支持する者を集めて、一緒に暮らせるようにしようとしたんだ。だけど、彼の消息はトォニィにしかわからなくて…わかった時にはキースの護衛を…人類の軍の中にいたんだ…」
「そか、キースの所に行った事が裏切りなんだ」
 ブルーが言う。
「だってそうだろ?裏切りじゃないのか?戦争していた相手の筆頭なんだキースは!彼の指示で何人も殺されているんだ」
「ふーん…、あんたがそう言うのは…」
 と言い出したブルーをジョミーが止める。
「シド、僕達が知ってる今のキースも許せない?」
 とジョミーが問う。
 またここでシドはまた君がそれを言うんだ…と言う顔をした。
「僕たちはキースはミュウの為にもいろいろやってると思えるんだけど…過去を引きずっているんじゃない…」
「わかっているよ」
 と、ブルーが言い出す。
「シドはジョミーが好きで…」
 言いかけるのを「ダメ!」とジョミーが止めるが、
「ジョミーをモノにしたのがキースだったのが気に入らないんだろ?」
 と言ったブルーは何者かに平手打ちをされた。
 殴りかかろうとしたシドとブルーの間に入って睨んでいるのはジョミーだった。
 痛ったいなぁ、と文句を言いながら頬を押さえて向こうを向いて座ったブルーを無視して「続きを聞かせてもらっていい?」とジョミーが言った。
 あんなに仲が良いソルジャーズの二人のそんな光景を見て、シドは驚いていた。
 そして、そうさせてしまった自分を少し恥じながら、シドはこの話を途中で終わらせられないと思った。
「…僕でいいなら…だけど」
 シドはこの話を話出したきっかけを思い出した。
 本当のジョミーには言えないけれど、このクローンのジョミーになら聞いてもらえるような気がして話そうとしたんだ。と。
「ごめん。二人共、ありがとう」
 シドは椅子に座りなおして話を続けた。
「知っていたのか?ジョミーとキースの事を…」
「僕達は、ジョミーの心をそのまま映すような行動をしてしまうから…なんとなく…」
「僕が知ったのは…トォニィの結婚式にメサイアに来たジョミーがキースの部屋に居て…僕は彼がキースと関係があった事を気付いたんだ…」
 彼に隙があり過ぎだったんだよ。と寂しく笑った。
「あぁ、それで結婚式って…」
 と向こうを向いたままのブルーが言った。
「だったら、もう、諦めなよ。だってシドの想いは…」
 ブルーが振り返る。
「…わかってる。彼を好きだったのは、僕じゃなく…ハーレイだ。だけど、ハーレイは僕のような邪な感情じゃなかった。純粋に心配していた…」
「邪…?」とジョミーが反芻する。
 それを横目で流し、
「シド。あんたはそればっかりで僕らと一緒に行動してる訳じゃないだろ?」
 ブルーが言った。
「ああ、僕はジョミーを助けたいと思っていた。。補佐をしたかったし、シャトルへの興味もあった」
「ジョミーはシドを信頼してて必要としている。もうそれでいいじゃん?」
「友人としてだけどね…。告白してキスして、振られて…完敗した訳だ」
 ソルジャーズに笑いかける。

 もう普段のシドだった。
「じゃあ、なんでこんなになるの?」
 シドの怪我を心配するようにジョミーが言う。
「…それは…」
 そして、
「ジョミー、ちょっと僕を見て」
「失恋したからって、こっちのにしようっての?」
 と言いつつも、ジョミーをシドの正面に座らせるブルー
 シドはじっとジョミーの目を見て言う。
「君たちは目の色って変えられる?」
「ううん」
 ソルジャーズが答える。
 前にトォニィも変えられないと言っていたっけ、とシドがつぶやいた。
 あれはジョミーだけの力なのだろうか?
 だけど、あれはまるで…。
 その様子をソルジャーズの二人はただ見つめるだけだった。

 船は静かにメサイアに向かい航行を続けたー



   続く