君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

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☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 一章「黄昏の海」 閑話 キースの「地球へ…」

2011-07-10 00:47:58 | 『君がいる幸せ』(本編)一章「黄昏の海」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
今回は二章の始まる前の閑話です。(閑話はほぼギャグです)
<用語>
木星軌道上の衛星メティス キースとジョミーがいる太陽系拠点
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム


 「君がいる幸せ」

  一章「黄昏の海」

  閑話「キースの『地球へ…』」
 今より二年前、ビルレストで暮らし始めた頃。
 急に思い出したようにジョミーが「キースにも地球の映像が見せれるはずだから、見せて欲しい」と言い出した。
 自分からそんな事をした事もないし、ナスカで捕まった時に自分の中にそんな映像があることを知った。ただそれだけで全くの無関心だった。
 それで、どうやるのかというと、お互いの手を合わせて、意識を同調させると見えてくるはずだと言う。
 (キース自身には映像を機械で解析しないと見えない)
 二人は同調を始めた。
 意識の中で、ジョミーがキースの地球を探す。
 次第に見えてくる地球に「フィシスのと同じだ」と喜ぶが…やがて。
「え?えええぇぇぇぇーーーー」とがっくりしたように手を離した。

キース 「???」
ジョミー「キースってロマンチストでヒーロー物が好きなんだね」
キース 「はぁ!?」

 聞いてみると、キースの地球は見ていたら…、
「映画のような恋愛が展開されてから、戦隊物のヒーローが魔法少女と地球を守って戦う話になっていった」という事だった。
 そんな物が出てきても俺のせいじゃない。と思うキースだった。

「地球」が見えた所で止めればいいのか?と一人愚痴るジョミー。
 なら、フィシスの地球もずっと見てたらそういうの映像が見えるのだろうか?
「…………」
 どう考えても、彼女のはそれ以上見ない方が身のためのような気がする…。
 これは地球へ着いちゃった反動なのだろうか………。


  閑話 おしまい


『君がいる幸せ』 一章「黄昏の海」十六話(Bilrost) 終 

2011-07-08 02:41:54 | 『君がいる幸せ』(本編)一章「黄昏の海」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です

<用語>
木星軌道上の衛星メティス キースとジョミーがいる太陽系拠点
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム


  「君がいる幸せ」

   一章「黄昏の海」 終

  十六話(Bilrost) 現在
 月から戻ったらまた忙しい日々が待っていた。
 ずっと引っかかっていたブルーの死を受け入れたからか、少しずつ過去の話をするようになったジョミー。
 キースはブルーの最後の話をした。
 思念で傍で見ていたジョミーにも分かっていた事だったが、キースの視点で聞くのはまた違っていた。
「こんなに時間が経っているのに…ね」
「月からもう一か月だが、まだトォニィに月の事を教えていないのか?もう『メサイア』も大丈夫だろう?何故、知らせないんだ」
「僕はブルーを見た時の感情のままに動こうと思っていた。だから、壊すつもりだった。でも、それは僕の一存で壊す事は出来ない事に気が付いたんだ…。そうする事は仲間達に対する裏切りになる…僕があの時した事をずっと教えられなかった。そして、今もまだ言えないでいるのは、それは、多分、僕の我がままなんだろうな。いつか時が来たらトォニィに教えるつもりだよ。彼には全てを知る資格と権利がある…」

 ミュウに対する裏切り、それはブルーを助けられなかった事、その存在を教えなかった事の両方。
 花も木も愛せるかのような、今のジョミーが聖人みたいな考えになっているのは、戦争中に助けられる命まで見捨ててきたことへの反動だと俺は感じていた。あれは、戦争なのだからと、そう割り切れてないのだと…。
「償いができるのならなんでもしたい」とジョミーは言うが、そんな事は自分たちではなく、未来が決める事だと、未来で俺もお前も犯罪者と呼ばれるのならそれは仕方がない事とだとキースは思っていた。
 二人は同じような傷を持っている。
 唐突にキースが言い出した。
「お前は俺を好きになればいい」
「!!」
 そ、それはどういう…?とあたふたするジョミー。
「人を好きになってみようと思っているんじゃないのか?」
「あ、えーと…」
 あぁ、キースは純粋培養だったんだ。
 それはフィシスにも近いイメージがある。
 恋愛にうといまま大人になっているような…いや、恋愛のもっと上をいっているような…。
「あの、キース。それは人を…僕が誰かを好きになるって意味じゃなくて危険を承知で出産をするミュウのことで…」と説明をしてみたものの…僕が悩んでいたのはソレだけじゃないのは見透かされているようだった。この男はへんな所は勘が良い…。
 常識・非常識で考えるとキースの言う事が人として常識なのか…?でも…。と考える間にも、じっとこっちを見つめるキース。
「何を見てるんだ…?」とジョミー。
「いや、髪がきれいだなと思って」
「……」
(あうっ……)
 こういうセリフがサラっと言えちゃうとこが、キースっぽいと思うけど…。
「そういうのは女性に言うもので…男に言われても嬉しくない」
「そう思ったから言ったまでだが、今までちゃんと見た事が無かったからな」
「それで、好きになれってのが変なんだよ」
「好きになれは、変か?難しいな」
 政治的な話をさせるとあんなに堅物なのに、人間的な話になると、とたんにこうだ。
 これまでにこの男のそういう部分にまで入ろうとしたのは、サムとシロエとマツカとあと一人…モリス。
 キースはそのすべてを失ってきている。

 でもだからって、ここで。
「お友達からはじめましょう」とはいかなかった。



  一章「黄昏の海」終

   続く

『君がいる幸せ』 一章「黄昏の海」十五話(Moon)

2011-07-07 01:08:34 | 『君がいる幸せ』(本編)一章「黄昏の海」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です

<用語>
木星軌道上の衛星メティス キースとジョミーがいる太陽系拠点
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム


   「君がいる幸せ」

   一章「黄昏の海」

  十五話(Moon)現在
 磁気嵐の無い時間を待って二人は戦艦との合流地点まで移動を開始した。
 ブルーの眠る「黄昏の海」が遠ざかってゆく。
 ゆっくりと進むバギーの助手席で、ぼうっと淡く青く光り続けているジョミー。
 話しかけると普通に受け答えている。キースは危惧していたような事態にならなかった事に少し安心していた。
 ジョミーは片足を上げて、その膝を抱えて座っていた。
 一時間程が過ぎ、合流地点が近づいた頃、今まで何も変化しなかった景色が揺らいで見えた。その時、ふいに思いついたように、急にジョミーが話し出した。
「キース、本当は僕は壊すつもりだった…。もう眠らせてあげようと。でもね、出来なかった…」
 その声はとても静かで、どこかへ誘われている気がした。
「本気で壊そうとしたのか?」
 キースが二年間見てきたジョミーなら、壊す事や、死を選ぶ事はしないだろうと信じ、ここを教えた。教える事に不安はあった。二年しか知らない。それ以前のジョミーは資料でしか知らなかった。心がざわつくのを感じた。それは、自分が未だミュウを敵として見るからなのか、もっと別の感情なのか、キースにはわからなかった。
 その考えが終わるのを待つかのように、ジョミーはキースを見つめていた。
「ちょっと止めて」
 そう言うとジョミーはドアを開ける事なくフロントガラスをすりぬけて外に出る。
 そして、キースのいるバギーの左側に立った。
 瞬時に移動するテレポートなら何度か見てきたキースだったが、物体を身体ごと通り抜けるのは見ていて気持ちの良いものでは無かった。
「ねえ、見て。あの赤い星を」
 通信を通さずにジョミーの声が聞こえてくる。
 外に出てきたキースの腕を取ると、二人はふわりと上へと浮かんだ。
 ジョミーが遠くを指をさす、赤い地球が見えた。
「あれじゃぁ、かわいそうだよね?」
 と静かに囁いた。
 この時のジョミーはミュウとも違うもっとずっと恐ろしく、人外なモノのような雰囲気をかもし出していて…キースは今まで感じた事の無い恐怖を感じた。
 これはブルーが作り出した怪物。
 あいつは、なんて物を残していったんだ。
 これを押さえていくのが俺の役目だと言うのか?
 そして、シロエがジョミーをピーターパンだと言ったのを想いだし、それが少し理解できた気がした。
 もしかしたら命令通りに動く『機械の申し子』であった方がずっと楽だったのかもしれないとさえ思えてくる。
 人間の感情とは変な物だなと思ってしまう。
 だが、これが、こんなに矛盾だらけなのが本当に人として生きるという事なのだろうなと思うキースだった。

 ブルーの眠る「黄昏の海」が遠ざかってゆく。
 二人は月を後にした。


   続く


『君がいる幸せ』 一章「黄昏の海」十三話・十四話(Moon) 

2011-07-06 01:01:41 | 『君がいる幸せ』(本編)一章「黄昏の海」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です

<主な舞台設定>
木星軌道上の衛星メティス キースとジョミーがいる太陽系拠点
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム


  「君がいる幸せ」

   一章「黄昏の海」

  十三話(Moon) 現在
「黄昏の海」は月の地軸が近い場所のため磁気嵐が吹き荒れる場所だった。
 宇宙空間には赤い地球が見える。
 キースとジョミーを乗せたバギーは「黄昏の海」の古い施設に向かっていた。
 入り口を開き搬入口にバギーを止め扉を開けて中に入る。
 中には人口的な重力はかろうじてあったが、空気が薄い為キースは宇宙服を着用したままだった。
 宇宙服の腕に付いたパネルに地図を出して進んでいた。ジョミーはソルジャー服だった。シールドを作ってキースの後に続いた
 施設は人を感知して照明が自動に点く。
 慎重に進むキースがいくつかのブロックを過ぎ、あるドアの前で止まって数字キーを打ち込み始める。
 小さなピーと言う音がしてから、時間を置いてカギが解除された。
 キースは念の為、銃を構えてドアを押し開けた。音もなく、ドアの下から冷気が流れて出てきた。
 部屋の中はがらんとしていて、広かった。薄暗い非常灯の明かりがいろいろ装置なを浮かび上がらせていた。
 その中心に白い棺があった。
 キースは部屋に入った所で止まり配電盤を探りながら、ジョミーに一人で行くようにと合図した。

 ジョミーはゆっくりと中心に向かって歩きだした。
 ここに眠っているのは誰なのか。
 それは、もうわかっている。
 あの時、僕は傍に居た。
 あの時、ナスカをメギドが襲い。第二波を止めに行った彼を、僕は地表に降りて仲間を避難をさせながら思念を彼と同行させていた。
 彼の死の瞬間に僕の思念がその体を護ろうとはじけて彼を包みこんだ。
 船をワープさせてしまった為、彼を確認する事無くその場を後にした。
 あの後、彼を人類軍が見つける事は容易だっただろう。

 人類に収容されたのか、どうなったのかわからないまま月日が過ぎた。
 停戦・終結となり月になにかあると気づいたのは一年くらい前、キースの側にいたのはこの事もあったから…。
 単身で探りに来る事も考えた。けれど、その行為は人類を裏切っているような気がして、どうしても出来なかった…。
 いや…そうじゃないな。僕はここに来るのが怖かったんだ。来て確認するのが嫌だった。

 静かにうなり続ける機械、立ち込める霧状の冷気、やがて小さな音と共に棺の上のライトが点いた。
 一歩一歩と近くなる棺。
 あと少しまで来た所でジョミーは止まり目を閉じた。そしてゆっくりと目を開けると、振り向かずにキースに声をかけた。
「ここの事は前から知っていた?」
「知っていた」とキースは短く答えた。
「…そう…」
 そして、目を開き棺を見据えた。
「キース、そこを動かないで」

「僕はまだ答えを」と言いながら1歩。
「出せてないから」とまた1歩。
「どうなるのか」と1歩
「わからないんだ」と1歩
「でも、もうここで終わりにする」カツンと最後の1歩。

 ジョミーは棺の前に着いた。
 中を見つめて確認をする。
 ジョミーは諦めたような悲しいような、そして少し泣きそうな顔になった。そして、

「来るのが遅くなりました。おかえりなさい。ソルジャーブルー」と言った。




 「君がいる幸せ」

  一章「黄昏の海」  

  十四話(Moon) 現在
 それだけひと言言ったまま、冷気が漂う中でただ見つめ続けるジョミー。
 コールドスリープ装置で眠るブルー。
 機械はずっと静かに唸り続けていた。
 ブルーが死んでしまったのは見ていたし、その存在がどこにも無い事は感じていた。
 けれど、僕はその姿を見ていなかった。
 だから心のどこかで希望を捨てていなかった事をあらためて思い知らされていた。
 僕はずっと生きていると信じていたのか?有り得ないのに!
 視たじゃないか。彼が死ぬ所を…。
 だけど…。
 それでも。
 この機械は、生命維持装置にはなっていない。
 これではただの冷凍保存だ。
 なんでこんな事に、こんな所でこんな酷い事に…。
 ジョミーは涙が零れそうになり上を向いて目を閉じた。
 さまざまな記憶が心に蘇った。
「…ブルー」
 胸が苦しい…。
 僕がいけないんだ…。
「本当に」
 目を開けると、堪えていた涙が頬を伝って流れた。
「ごめんなさい」
 ジョミーはブルーの顔を見た。今にも起き上がりそうに見える。
「ブルー。視えますか?貴方が何百年も恋焦がれた青い地球は、あんな色で貴方の目の前にある。貴方は死んでもなお、ここで…。地球の見えるここで。青い地球に行き着けぬ夢を、見させられ続けるのか」
 駄目だ。
 ここは駄目だ…。
 ここは辛すぎる…。
 僕は、ここを…ここを破壊するべきだ!
 ジョミーは目を閉じ、力を解放始めた。
 青い青い輝きが円を描いて広がっていった。
 それを見てキースは前に進もうとするが、身体は動くのに入れなかった。
 そこは自分の立ち入れない世界なのだと感じていた。
 青い光が眩しくて手で影をつくり見守っていた。
 光の輪が大きくなり建物全体を覆い尽くした。

 やがてジョミーは「…できない…」絞り出すようにつぶやいた。
 彼のサイオンが静かな状態に戻っていった。
「……」
 ジョミーはもう一歩近づいて棺を見下ろし見つめる。
 もう涙は流れてはいなかった。
 自分の心がどこかへ遠くに行ったような…それでいてとても静かな…感じがしていた。
 棺に手をついていた指先が凍る感覚がする。
 ジョミーは電撃で装置のロックをはずした。
 青い電磁波と共に棺のガラスの蓋が上下にスライドしてゆく。いままでより強い勢いで流れ出す冷気。その風に髪がふわりと煽られる。
 棺の淵を握りなおしてゆっくりと近づき眠るブルーの顔を真上から見つめる。
 そして、その唇にそっと口づけをした。
 ぼうっと青く光るジョミー。
 急激に下がる気温。
 やがてジョミーの手や顔が音を立てて凍りはじめるが、そのまま動かなかった。
 ジョミーの感情があふれ出し、止まらない。
 いや、止めれなかった。

 ブルー。僕は貴方が好きです。
 貴方に会えて良かった。
 すべてが愛しい。
 貴方はあんなにも僕を大切に想ってくれたのに、僕は何も出来ないで逝かせてしまった。
 閉じた瞼から涙が流れてブルーの頬へと落ちた。

 ジョミーがさらに青く輝きだす。
 ピキピキと凍る音をさせながら、ジョミーをも巻き込み、ブルーの棺を中心にして恐ろしい勢いで凍りはじめる。あっと言う間に辺りが凍りつく。
 あちこちから大きな水晶のような氷が突き出したその中心に二人を包み込んだ大きな淡い水色の塊が部屋に拡がっていった。
 これはジョミーがやっている事だ。
「ジョミー!」
 強い冷気の風をうけながら、キースが叫んだ。
「ここで二人で逝く気なのか!ジョミー!」


 深い眠りに落ちたような感覚。
 とても深くて静かだ。
 ああ、許されるならこのまま眠りたい。
「死なないで、ブルー」
 出会った頃、僕が貴方を生かしたように僕が生き残ったのにも意味があるはず…。
 今は…、そう今はまだ生きよう。
 そして、貴方に心からの感謝を、そして安らぎを贈りたい。
 ブルー。貴方はここから地球が青く蘇っていくのを見ていてください。
 必ず僕たち「人間」が美しい地球に戻してみせます。

 やがてジョミーは、すぅっと抜けるように青い氷棺から出てきた。


「さようなら ソルジャーブルー」

「そして、ありがとうございました」



  続く