君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

真城灯火の小説ブログです。
二次小説とオリジナル小説の置き場となっています。
同人に傾いているので入室注意★

☆ご案内☆

☆入室ありがとうございます☆ PN:真城灯火です。 『小説家になろう』で書いています。「なろう」で書いている小説も転載させていますが、ここはアニメ「地球へ…」の二次小説置き場です。本編の『君がいる幸せ』は終了しています。今は続編の『限りある永遠』を連載中です☆まずは、カテゴリーの「はじめに」と「目次」「年表」で(設定やR指定について等…)ご確認の上、お進み下さい。 ブログタイトルですが、これの「君」は自分自身、心の事で、「僕」は自分の身体の事です。 自分の心がそうであるなら、自分はそれに従う覚悟を意味しています。 だから、ジョミーや誰かが一方的に誰かに…って意味ではありません。(小説停滞中) 2021年に、他にあるブログを統合させたので、日常の駄文とゲームの話が混ざった状態になっています。

『君がいる幸せ』 一章番外「ウルドの泉」一話(キースの回想)※BL風味

2011-07-15 16:41:30 | 『君がいる幸せ』(本編)一章「黄昏の海」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です
<用語>
木星軌道上の衛星メティス キースとジョミーがいる太陽系拠点
惑星メサイア ミュウが向かった新しい移住惑星
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム


 「君がいる幸せ」一章「黄昏の海」

  番外 「ウルドの泉」一話
 (二年前・キースの回想)
 ビルレストの改築が終わり、ジョミーがここで暮らし始めて二ヶ月くらいした頃の事。
 地下にあるジョミーのトレーニングルームから計測した事のない数値が出ていると報告があった。
 キースは数人の部下を連れて向かった。
 外から中の様子はうかがえないが監視カメラのモニターには異常は無いように見えた。
 部屋の真ん中に座っているジョミーに部屋のスピーカーを使って声をかけた。
「おい。ジョミー・マーキス・シン」
「声は聞こえているか?」
「何かあったのか?」
 全く返事がない。
「開けるぞ」
 解除コードを使ってロックを外し、ドアが開く。用心深く中を覗った。
 何も変わった所はなく、ジョミーもミュウの力も何も使っていなかった。
 おかしな数値が出ているのは機械の故障ではないか?と思ったが、念の為に部下に廊下にいるように指示しゆっくりとジョミーに近づいた。
「どうして返事をしない」
 言いながら座っているジョミーの前に回り込む。
 そこで、はじめてジョミーは俺に気が付いたようだった。
「……」
 こんなに警戒心の無い不用心なジョミーは初めてだった。
 まるで、普通の人間のように思えた。
 キースに銃を向けられているのを見て不快な表情を浮かべるジョミー。
「何か?」
 その問いにあきれたようにキースは答えた。
「何か?ではない。さっきから呼んでいるのが聞こえなかったのか?」
 振り返りドアの所にキースの部下がいるのを見て状況を理解したジョミーは、自分の手を見てこう言った。
「あぁ、すまない。何でもない。さっきから…変なんだ……」
「変とは?ここがお前たちに合わないのか?」
 どうも、いつもの彼とどこか感じが違うとキースは思っていた。
「…自分がやった事で…ここの所為じゃない…」
 そう言ってジョミーは立ち上がろうとするが、うまく立てなかった。キースはそれを見て、銃を降ろしジョミーの体を支えた。
「ありがとう」とジョミーは言った。
 ジョミーは部屋に戻ろうとするがやはり足元がおぼつかない。キースはジョミーの身体を支えたまま彼の部屋へのエレベーターに乗り込んだ。

 ビルレストの右側、五階のジョミーの部屋に入った事のなかったキースは自分の部屋と造りは同じでも内装が違うだけで随分違う…と見回した。
 ジョミーの部屋のリビングは淡いクリーム色が基調で床が壁より少し濃い、天井が高く天窓があり外が見える。大きな窓にはカーテンは無く、変光ガラスだけだった。
 明かりは全て間接照明になっていて、やわらかい光が部屋に満ちている。
 キースの背より高い観葉植物が一つと、他には小さいのがいくつか置いてあった。
 部屋の真ん中には白い大きなソファーがあり、向かって右のベッドルームに上がる階段がガラスで仕切られているのは同じだったが、ガラスには文様のような装飾がなされ、黒い飾り格子の欄間とベッドを囲む白いカーテンが印象的だった。
 黒を基調とする自分の部屋よりも落ち着く気がするとキースは思った。


  続く