君とともに生き、君とともに逝くのならば、僕は君の為に生きよう。

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「君がいる幸せ」・序章「はじまり」

2011-06-04 00:23:04 | 『君がいる幸せ』(本編)一章「黄昏の海」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。

  「君がいる幸せ」

  序章「はじまり」 (現在・Bilrost)

 綺麗に磨かれた廊下をコツコツと靴音響かせて足早にジョミーが歩いてくる。
 少し雰囲気が違って見えるのは、彼がミュウのソルジャー服を着ていないからだけではないようだ。
 そう、ここは彼の船シャングリラでも地球でもない。
 二つフロアを降りた先に目的の部屋があった。
 ドアの前に着くと慣れた手つきでパスワードを打ち部屋に入る。
 広いリビングを抜けて、ジョミーは右にあるキッチンに向かう、途中で壁のパネルに触れ部屋のブラインドを順に開けてゆく。
 BGMにクラシックをかけてから部屋の中心にあるモニターに表示させてそれを眺めながらキッチンでコーヒーを煎れた。
 それがここ最近の日課となっていた。
 煎れたてのコーヒーを2つ持ちリビングの奥のベッドルームへと向かう。ベッドサイドに一つ置いてこの部屋の主に「今日も忙しいみたいだね」と声をかけた。
「人は簡単に変われないからな」
 とちょっと冷めた答えが返ってくるのもいつもと同じだった。
 ジョミーがまたモニターを見ている間に服を着たキースがコーヒーを手にリビングへとやってくる。
「お前は今日もシャングリラか?」
「うん。人類がミュウも同じなんだと思うには、まだ時間がかかる。寿命の分、ミュウに待ってもらうしか方法がないから」
 生き残ったミュウ達はテラフォーミングされた惑星へと移住する事が決定してから半年になるが、人類と最初から共存を望む者や力で人類を従えてしまおうと言う者等、いろいろ意見が出ていた。
 だが、今はシャングリラは移住の調整を急ピッチで進めていた。
「彼等はソルジャー・トォニィに従う。そして人類は必ず目覚める。それを待つだけだから…。今度は先の見えない旅じゃない」
 ジョミーはモニターに映るシャングリラを見ながらつぶやいた。
「お前は一緒に行かないのか?」
「それは前にも話したけど、キースが元首を辞めたのと同じだよ」
 と少し考えてからのキースの問いに、ジョミーは間髪を入れずに答えた。

 あの地球での戦いからまだ日がたっていない頃にキースは国家主席を辞めた。
 大怪我をしたという事もあったが、彼以外に誰が人類を導けると皆が言う中、辞した。
 キースは人をミュウを信じたから自分が居たらマザーと同じ事になってしまうのを避ける為に表舞台から降りたのだった。
 それと同じ頃、ジョミーもソルジャーを辞めた。
 辞めただけでなくミュウ達とも暮らさなくなってしまった。
 今はキースと同じここビルレストで暮らしている。




  黄昏の海1 へ続く



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