■2007年 アメリカ/ドイツ 117分
■原題「EVENING」
■2008.11.28 DVD
■監督 ラホス・コルタイ
■出演
クレア・デインズ(アン・グラント)
トニ・コレット(ニナ)
ヴァネッサ・レッドグレーヴ(アン・ロード)
パトリック・ウィルソン(ハリス・アーデン)
ヒュー・ダンシー(バディ・ウィッテンボーン)
ナターシャ・リチャードソン(コンスタンス)
メイミー・ガマー(ライラ・ウィッテンボーン)
アイリーン・アトキンス(夜勤看護師)
エボン・モス=バクラック(リュック)
バリー・ボストウィック(ウィッテンボーン氏)
メリル・ストリープ(ライラ) グレン・クローズ(ウィッテンボーン夫人)
《story》
「すべての女性の人生が、美しい一瞬を持っている」
「死の床にある母が語った物語は、娘達が知らない40年前の愛の記憶」
思い病気にかかり、死を前にしたアン。長女のコンスタンスと次女のニナは、母の混濁した意識の中から、今まで聞いたことのない「ハリス」という名を耳にする。それは、アンがだれにも話したことのない40年前の日にさかのぼる。歌手としての夢を追って暮らしていた頃、親友のライラの結婚式で歌ってほしいと言われ、故郷に戻った。ライラの弟のバディに迎えられ、ハリスを紹介される。ライラはハリスに思いを寄せていたが、ハリスの心はライラになく、愛される道を選ぶことを決意する。リハーサル・ディナーの夜、アンとハリスはふときっかけで口づけをかわす。しかし、それは二人の心に永遠の明かりを灯した。結婚式の夜、以前からアンに思いを寄せていたバディは、二人切りになった夜、その想いを告げる。しかし、アンは、友人としか思っていないことを伝え、バディをなぐさめる。その夜、アンとハリスは、森の中の小屋で一夜を供にする。同じ頃、自暴自棄となったバディが酔って車に跳ねられる。バディは死に、アンとハリスは別れ別れとなる。あれから40年、死の床にあるアンの元にライラが訪ねる。
一人の人間として
思い出されるのは、かつて愛した人。それは青春の真っ只中であり、燃えるような情熱が残した強く深い残像。決して今の夫を愛していないわけでない。でも、きっとあの頃のことが一番心に濃く刻まれているのだ。だれもが体験するであろう青春の日々。それは死を前にして、その人間の心の湧き出る泉のようなもの。だれもそれを止めることはできない。そして止める必要もない。でも・・・自分たちの父親以外の名前が、母親から出てきたとしたら・・・姉妹とも父親がちがうのだから、それほど気にはならないのかもしれない。ただ知らなかったことが、姉妹の不安をかりたてたのだろう。でも、日本ではないからか、それとも私が古いのか、そばにいる者として、知らない人の名前がでることを素直に受け止めることができるだろうか。人を愛すること、家族を作ること、家族と生活すること、人と生きること、どれもそう簡単には進んでくれない。いくつもいくつも登ったり下ったり、曲がったり、ときには立ち止まったり、ちがう道を進んだり、人生はだれもが楽しいばかりではない。一人の人間として、死を前にして、私は何を思い出すのだろう。
公式サイト「いつか眠りにつく前に」
大学の下宿。ある友達の下宿も、農家の一室だった。部屋に入ると、真ん中に布団が敷いてあった。その周りに脱いだ服やズボン、炊飯器、茶碗、本、雑誌など様々なものが置いてあった。それは座る場所がないくらいだった。その友人は昔の日本男児のような雰囲気をまき散らし、日本刀でも振り回すのではないかという怖さもあたった。愛国心いっぱい、天皇賛美、今まで出会ったことのない種類の人間だった。何度か付き合ったあと、姿が見えなくなった。また、ある友人は、昔マンガで読んだ「おぼっちゃまくん」のような人だった。ついついからかいたくなるキャラで、議論と称してつまらないことを言って困らせてしまった。パニックになりかけた。悪いことをした。また、1年目の下宿の隣にいた先輩は、何とか言う宗教の信者だった。坊主頭の先輩、身の回りの世話をしている女性の先輩、同級生の男子2人と知り合った。みんな人はいい。あったかい人たちだった。町の案内もしてくれた。さまざまな相談ものってくれた。誘われて集会にも行った。校内で開かれる講演会の手伝いもさせられた。本当にいい人たちだった。でも、天皇賛美、宗教にはこりごりしてただけに、その場から早く立ち去りたかった。1年で下宿を変わったのもそのためもあった。今なら、もっとちがった付き合い方ができたかもしれない。もっとちがった方法で、人との関係を作ることができたかもしれない。いやいや、あの当時と今も、私は変わっていないのかも。