そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

春夏秋冬そして春

2006年03月26日 | 人間/社会派ドラマ


2003年 韓国/ドイツ 103分
■原題「Spring, Summer, Fall, Winter... and Spring」
■2006.3.26 wowow
■監督 キム・ギドク
■出演 オ・ヨンス(老僧) キム・ジョンホ(子供) ソ・ジェギョン(少年) キム・ヨンミン(青年) ハ・ヨジン(少女) キム・ギドク(中年) キム・ジョンヨン(少女の母)

《story》

「人生はめぐる季節のごとく
 どんな歓びも、どんな悲しみも、
 いつかは朽ちて・・・安らぎとなる。」

「季節のどこかにあなたがいる」

「この世を生きる全ての人々に贈る、美しく感動的な人生の四季の物語。」

春、幼少の男の子が生き物にいたずらをする。老僧は同じことをこの男の子して、生き物の苦痛を体験させる。
夏、少年と成長し、思春期を迎える。寺にやってきた少女に恋をする。少女への思いを断ち切れず、寺を出る。
秋、寺を出た男が久しぶりに帰ってくる。自分を裏切った妻を許せず殺人を犯した男。
冬、刑務所を出所し、蓋再び寺に戻る。老僧は死に、寺は荒れ果てていた。

◎素晴らしい四季の風景がそこにあった。幻想的な湖に浮かぶお寺。そしてそこで修行を積む老僧と幼子。なにやら因縁を感じさせるものがあった。それは繰り返す季節と同じように、繰り返される人間の生き方があった。

人間は過ちを繰り返す。そしてそのことを後悔し反省し、悟りの道に入る。それは人生そのもの。たぶんだれにでも当てはまるものなのだろう。ラストに再びこの寺にやってきた赤ん坊は、昔の自分そのもののように。世代を越えて繰り返される人間の生き方。それは繰り返される季節そのもの。

オフィシャルサイト「春夏秋冬そして春」


ビートキッズ

2006年03月25日 | ラブロマンス/青春


2005年 日本 116分
■2006.3.25 wowow
■監督 塩屋俊
■出演 :森口貴大(横山エージ) 相武紗季(カンノ ナナオ) 市道信義(ゲンタ) 古河弘基(シゲ) 田中康平(サトシ) 中村雅俊(校長先生) 渡辺いっけい(細井先生) 余貴美子(エージの母) 豊川悦司(エージの父)

《story》

「これが俺らの鼓動(ビート)やねん」

エイジの体の中には「だんじり祭り」のリズムが流れていた。彼の父はかってだんじりの御輿から落ちて以来、酒好きなさえない父親になっていた。そして身重の母との三人暮らし。エイジは転校した高校で、ブラスバンドに誘われる。彼のだんじりの鼓動が買われたのだ。そこには音楽の才能に満ちあふれ、部員から尊敬されているカンノナナオがいた。ナナオもエイジの才能を見抜き、ドラムをたたかすのだった。そして結成されたビートキッズは学園祭の目玉となるのだったが・・。

◎ドラマとして見るなら、おもしろく見ることができる。「だんじり」との関わりがもっとほしいところ。太鼓のリズムが、ドラムに生きていくところが見たいものだ。気軽に見るなら楽しめる。でも、映画として盛り上がり、心が揺さぶられる場面がもっとほしいなあと思った。自分が音楽に疎いせいもあるかもしれないが、「ほーっ」とうならされるような場面がほしい。

オフィシャルサイト「ビートキッズ」


ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女

2006年03月25日 | ファンタジー/アドベンチャー


2005年 アメリカ 140分
■原題「THE CHRONICLES OF NARNIA: THE LION, THE WITCH AND THE WARDROBE」
○アカデミー賞 / 第78回(2006年)-メイクアップ賞
2006.3.25 TOHOシネマズ緑井 with y.h.t
■監督 アンドリュー・アダムソン
■出演 ウィリアム・モーズリー(ピーター・ペペンシー)  アナ・ポップルウェル(スーザン・ペペンシー)  スキャンダー・ケインズ(エドマンド・ペペンシー)  ジョージー・ヘンリー(ルーシー・ペペンシー)  ティルダ・スウィントン(白い魔女)

《story》
第二次世界大戦、イギリス。ドイツの空爆は激しくなっていった。ペペンシー一家の父は戦争へ、そして家も空襲に襲われ、子どもったい4人だけ、田舎に疎開することになった。疎開先は大学教授の大きな屋敷だった。たくさんの部屋の中に、ひとつだけ大きな古い衣装ダンスのある部屋があった。かくれんぼをしていた子どもたちのうちルーシーがそのタンスの中に隠れた。奥に奥にと入って行くと、雪で覆われた森に出た。そこはナルニアの国だった。白い魔女に支配されていた。

「二人の『アダムの息子』と 二人の『イブの娘』が
 『クア・バラベル城の4つの王座』を満たす時
 白い魔女の支配は終わる」

運命の4人の子どもがナルニアに現れた。

◎こういう映画が一番好きだ。重苦しくなく、わかっていてもハラハラドキドキ場面がいっぱいあって、最後は正義が勝って、ハッピーエンドになる。ルーシーの演技がいいなあ。映画の作り方も変わったなあと実感させられる。ライオンやビーバーなどの動きもリアルだ。ほとんどがCGで作られているらしい。いつか映画はコンピューターで作られるものに変わっていくかもしれない。あまりにコンピュータにたより過ぎても映画本来の良さが失われておもしろくない。俳優の演技、カメラの動き、自然のすばらしさなど、本物を求めるからこそ映画はおもしろいし、未来にもつながっていく。今回は子ども達の演技と、カメラの動きがあったからこそ。さあ、第2章が楽しみだ。

オフィシャルサイト「ナルニア国物語/第1章」


スチームボーイ

2006年03月25日 | アニメ


2004年 日本 127分
■2006.3.25 wowow
■監督 大友克洋
■声の出演 鈴木杏(レイ) 小西真奈美(スカーレット) 中村嘉葎雄(ロイド) 寺島進(アルフレッド) 津嘉山正種(エディ) 児玉清(ロバート) 沢村一樹(デイビッド) 斉藤暁(サイモン)

《story》

「僕は未来をあきらめない」

1866年 イギリスのマンチェスター。少年レイの父も祖父発明家。祖父と父は家から離れ、アメリカで研究を続けていた。レイはひとりで自ら部品を集め、発明を志していた。そんなレイの家に、祖父から謎の金属の球が送られてきた。それをねらうオハラ財団は、戦争の兵器の販売をして莫大な財産を得ていた。ロンドンで行われる科学の博覧会では、この金属の球であるスチームボールを使った兵器の販売をもくろんでいたのだった。

◎テレビだからかもしれないけど、暗い場面が多く、何が映っているのかよくわからない、何が行われているのかわからなかった。全体的にくすんだ色に見えたのは、やはりテレビだからだろうか。
父のロイドがなぜ狂気にとりつかれたのか、今ひとつはっきりしない。そして最後はまたやさしい父親にもどったのだろうか。水の底を行く潜水艇で生きていることはわかったけど、その後はどうんるのだろうか。
それにしても激しく街は破壊されたよね。この始末はどうなるのだろうかね。財団の責任なの? それとも発明家の責任? 多分多くの人が命を失ったのだろうなあ。そんなことを考えていると、ハッピーエンドとは言えなくなってしまう。父の失態を背負う息子、はればれとした気持ちにはなれないだろう。ちょっと歪んだ見方かな。

オフィシャルサイト「スチームボーイ」


ミリオンダラー・ベイビー

2006年03月22日 | 人間/社会派ドラマ


2004年 アメリカ 133分
■原題「Million Dollar Baby」
○ アカデミー賞 / 第77回(2005年)-作品賞/主演女優賞/助演男優賞/監督
ゴールデン・グローブ / 第62回(2004年)-女優賞(ドラマ)/監督賞
■2006.3.22 wowow
■監督 クリント・イーストウッド
■出演 クリント・イーストウッド(フランキー)  ヒラリー・スワンク(マギー・フィッツジェラルド)  モーガン・フリーマン(エディ“スクラップ・アイアン”デュプリス)  アンソニー・マッキー(ショーレル・ベリー)  ジェイ・バルチェル(デンジャー)

《story》

「愛に打たれる。」
「二人が命をかけで守った魂は、永遠に輝き続ける。
 それは深い絆の“ミリオンダラー・ラブストーリー」

雑用係のスクラップは、ボスのフランキー・ダンのボクシングジムで働いていた。二人ともかなりの年齢を重ねていた。あるとき、成長めざましかったビッグ・ウィリーが、ジムを去った。入れ替わりにやってきたのが女性のマギー・フィッツジェラルドだった。ウエートレスで働きながらジムにきていた。練習に励む彼女に次第に引き込まれていったフランキーは、彼女を指導していく。そして、試合にでれば1ラウンドKO勝ちというすばらしい成績を重ねていく。そんな彼女の元に、100万ドルの賞金をかけたタイトルマッチの試合が入ってくる。

◎流れる音楽と同じように悲哀さが香る、哀しいけれども「やったよね」と声をかけたくなるような映画だと思った。勝利のはエリートの道はない。たとえエリートの道を辿って勝利したとしても、感動はわかない。ここにいる人々の背景にある、苦難の人生。しかし、ひとりひとりが夢を抱いて、黙々と今を生きる。それが重なり合って、力が生まれ、勝利をつかんだとき大きな感動が生まれる。
100万ドルの賞金とタイトルうぃかけた最後の試合。反則をしてでも相手を負かそうとする汚さに怒りを覚える。でも、マギーは相手を責めない。自分が懸命に戦えなかったことをフランキーに謝るのだ。勝つことも目指す中にあるけど、どもにリングに向けて進むこと、戦うこと、それだけで十分満足なんだ。それが本当の夢というものかもしれない。頂点に立つこと、チャンピオンになること、それだけが夢ではない。目標ではない。そこにさわたかさを感じるのかもしれない。
お金にかかわる人の醜さもあった。お金がほしいから戦うのではない。
安楽死の問題もあった。果たして呼吸器をはずすことが彼女にとって幸せなことだったのか。答えはない。

オフィシャルサイト「ミリオンダラー・ベビー」


僕の彼女を紹介します

2006年03月21日 | ラブロマンス/青春


2004年 韓国 123分
■原題「Windstruck」
■2006.3.21 wowow
■監督  クァク・ジェヨン
■出演  チョン・ジヒョン(ヨ・ギョンジン)  チャン・ヒョク(コ・ミョンウ)  キム・テウク  チャン・ホビン  キム・スロ

《story》
女子校の教師ミョンウは、スリをつかまえようと追いかけていたのに、婦人警官のギョンジンにスリとまちがわれ逮捕される。それをきっかけに二人の不思議な危険な交際が始まる。ミョンウは「もし自分が死んだら風になりたい」と言った。その後、車の事故、そして脱獄囚に襲われる。

◎「猟奇的な彼女」の姉妹作品みたいだ。ただ、それよりコミカルで非現実的な場面が多い。しかし、見ていて飽きないおもしろさがある。この映画の題名が「僕の彼女を紹介します」なのは、どういう意味があるのだろうか。と考えていた。だれに紹介するのだろう。視聴者だろうか。それとも・・と思っていると、最後の場面でそれがわかる。「紙飛行機」、そして「風」がキーワード。
路上で喫煙と吸い殻のポイ捨てを注意した高校生をビシッとしかる、少し暴力的だが、あおのシーンはすっきりする。今、求められているし、いけないことをきちんと言える社会がどれだけさわやかかと思う。さらに、高校生の父親(やくざ)が警察にどなりこんできたとき、彼女を救ったのがミョンウだった。言いたいことをしっかり言える彼が好きになったきっかっけだろう。権力や暴力を盾に思いのままに世の中を動かす人をびしっと怒ることができる。そこにさわやかな風が吹いた。


恋は五・七・五! 全国高校生俳句甲子園大会

2006年03月19日 | ラブロマンス/青春


2005年 日本 105分
■2006.3.19 wowow
■監督 荻上直子
■出演 関めぐみ(高山治子) 細山田隆人(土山義仁) 小林きな子(内山マコ) 蓮沼茜(田中弘美) 橋爪遼(山岸実) 杉本哲太(高田マスオ) 高岡早紀(ヨーコ先生) 嶋田久作(三浦)

《story》

「駆け抜ける 青春恋は 五七五」
「南風 わたしは わたしらしく跳ぶ」

高山治子は学校になじめない帰国子女だった。この松尾高等学校は2年後に閉校。いろんな大会に出場しようということから、俳句部を創設。夏の俳句甲子園大会を目指すことになった。そこに集まった男女5人が、恋の俳句にチャレンジする。

◎素人っぽいところが新鮮かな。こうして俳句をじっくり考えてみるチャンスににもなった。けっして老人だけが行うものではない。奥が深いし、楽しみながらできる。昔の作風にとらわれず、新しい感覚で、自分の体験から考えていくことがいいね。それをきちんと認める審査員にも好評価しよう。白い旗が増えてきたら、自分のことのようにうれしくなった。日本的な純愛だから俳句が似合う。コミカルな風景もマッチしているのかもね。

オフィシャルサイト「恋は五・七・五! 全国高校生俳句甲子園大会」


レディ・ジョーカー

2006年03月18日 | 人間/社会派ドラマ


2004 年 日本 122分
■2006.3.18 wowow
■監督 平山秀幸
■出演 渡哲也(物井清三) 徳重聡(合田雄一郎) 吉川晃司(半田修平) 長塚京三(城山恭介) 菅野美穂(城山佳子) 國村隼(平瀬悟) 大杉漣(布川淳一) 吹越満(高克己)

《story》
競馬場で偶然出会った5人。それぞれ社会の底辺で喘いでいた人間だった。「ジョーカー」とは「ばば」トランプの世界でははみ出し物。被差別者、在日朝鮮人、やくざ、障害を持った子どもをかかえている男などだった。
物井の兄はかって日の出ビールの工場を首になった。そのとき日の出の社長宛に手紙を書いた。理不尽な解雇に対し、社会の大きな穴に対し切々と思いを書き記していた。その手紙が50数年たった今、弟の前に姿を現したのだった。

◎被差別、久々に聞く。現実から消えていかなければいけない言葉。そして事実。しかし、今の社会は二極化が話題になっている。きっとよみがえる差別。格差はきっと平然と行われる差別を生み出す。弱者に対する差別だけでなく、弱者の弱者に対する差別。

 けれど、この映画のラストはちがう。冷たい雪を受けながらも、車いすを押す物井さん。そして微笑む障害のある少女。切ないけれど喜びがある。たくさんお金がある喜びではなく、見えない心がつながった喜び。20億という大金はさみしく部屋の片隅に置かれているだけだった。人間にとって何が幸せか。もちろんお金があること。しかし、こだわらないこと。そこに大きな境界線があるようだ。


クラッシュ

2006年03月18日 | 人間/社会派ドラマ


2004年 アメリカ 112分
■原題「Crash」
○アカデミー賞 / 第78回(2006年)-作品賞,脚本賞,編集賞
2006.3.17  バトル11
■監督 ポール・ハギス
■出演 サンドラ・ブロック(白人女性ジーン)  ドン・チードル(黒人刑事クラハム) 、マット・ディロン(白人警官ライアン)  ジェニファー・エスポジート(リア)

《story》 

「怒り、哀しみ、憎しみ、喜び-
 人の“こころ”の断面図を鮮烈に描く、
        感動のヒューマンドラマ誕生。」

ロサンゼルスのハイウエーで起こった事故。そこからつながる人間模様。
事故現場に現れた黒人の刑事。車を盗まれた白人の検事。その車を盗んだ二人の黒人。検事の家の鍵の修理をした黒人。そしてその黒人はペルシャ人の雑貨屋のドアの鍵の修理で店主ともめた。それらの人間達は、ちがった事件や事故などで微妙につながっていく。そして、ぶつかりあっていく。

◎22:05開始のレイトショーに行った。自宅から約1時間。最近は11時就寝4時起床の生活を送っていたので、眠気に負けないか心配だった。それに今回行ったバトル11のレイトショーは始めてで駐車場から、人の多さまで不安だった。

 ぎりぎり間に合った。人もけっこう多かった。TOHOと同じ時間で行けそうだ。この映画はここでしかやっていなかったので、いい機会になった。

 外国の映画はわかりやすいに限り。頭の悪い私には、まず登場人物の把握が難しい。同じ顔に見えて、区別するのに時間がかかる。それに字幕を追っているので、難解なシーンはわからないまま過ぎていく。この映画も最初はよくわからなかった。しかし、次第に人と人とがつながり始めた。意図的な作り方をしていることがわかった。

 顔のアップ、足下の靴、流れるようなカメラの位置、高いところから覗くような場面、そんなカメラの動きが好きだ。日本映画の固定されたダラダラドラマは大嫌い。

 人種問題、暴力の問題、すれちがう人々の心、連鎖する怒り、哀しみ。人間は永久に交わることなく、破滅してきのだろう。差別のない、暴力のない社会なんて夢、理想に過ぎない。しかし、皮肉なことに、そんな空虚な社会を作っている人間が、交わりたくない相手の命を救う。そして、正義と理想を掲げていた人間が優しさの中で命を奪う。さわやかな終わり方ではない。どうすればいいのかわからない終わり方だ。私はそう思う。ただ、そこに天使がいたことが何よりの救いだ。さわやかな終わりを演出しながら、結局何も変わらない、不真面目な神の遊びがこれからも続く。

オフィシャルサイト「クラッシュ」


アイ・アム・デビッド

2006年03月11日 | 人間/社会派ドラマ

2004年 アメリカ 93分
■原題「I am David」
■2006.3.11 wowow
■監督 ポール・フェイグ
■出演 ベン・ティバー(デビッド)  ジム・カヴィーゼル(ヨハネス)  ジョーン・プロウライト(ソフィー)  フリスト・ショポフ(収容所長)  シルヴィア・ドゥ・サンティス(エルザ)

《story》
1952年 ブルガリアの強制収容所。そこには物心ついた頃から収容されていた12才のデビッドがいた。彼は幼いとき、家族から引き離され、過酷な生活を強いられていた。そんな彼を収容所の所長は、密かに準備を整え、脱走させる。彼が向かう場所は遙か離れたデンマーク。そこには彼の母がいるのだった。

◎「収容所」第二次世界大戦のドイツの収容所を連想してしまう。戦争を思い出してしまう。奴隷のように人を働かせ、簡単に人を殺すことがまかり通る。ブルガリアのその歴史的背景はわからないが、こんな子どもまで収容所に入れられ、悲惨な生活をさせられていることは尋常ではない。収容所の所長のような人がいたからこそ、彼は救われた。感動はどんなに過酷な現状の中でも、暖かなやさしさがあるとき生まれるものだ。脱走した、デビッドの前に現れた人も、多くはいい人だった。彼を母の元に導く、見知らぬ人たちのリレーがそこにあった。