そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

丘を越えて

2009年08月12日 | 人間/社会派ドラマ


2008年 日本 114分
■2009.5.24 日本映画専門チャンネル
■監督  高橋伴明
■出演
   西田敏行(菊池寛)  池脇千鶴(細川葉子)
   西島秀俊(馬海松)  余貴美子(細川はつ)
   嶋田久作(佐々木茂索).  猪野学(長谷川伸策)
   峰岸徹(細川徳蔵)

 《story》

「讃えよ、わが春を」

下町育ちの細川葉子は、女学校卒業後、知人の紹介で文藝春秋社の面接を受ける。社長の菊池寛の目にとまり、個人秘書となる。菊池との活動は下町とはちがった魅力があり、菊池のだれをも包み込む温かさに惹かれつつも、葉子は若い編集者である馬海松への恋心を深めていく。満州事変が勃発し、馬は母国朝鮮に帰ることになる。

 菊池寛という名前は知っている。でも実際の人物については知らない。この映画はフィクションだというが、どこまで作られていて、どれが実際に近いのか分からない。豪快で優しい人物像のようだ。小説や雑誌を作ろうとするあの時代の活気が魅力。のんびりとはしていないのだろうが、時間がゆっくり流れているように感じる。戦争さえなかったら、生きている歓びにあふれているのかもしれない。振り返ればよき時代とも言えるのかも。

 公式サイト「丘を越えて」 


三たびの海峡

2009年08月11日 | 人間/社会派ドラマ


1995年 日本 123分
■2009.5.24  日本映画専門チャンネル
■監督  神山征二郎
■出演
   三国連太郎(河時根)  南野陽子(佐藤千鶴)
   風間杜夫(徐鎮徹)  永島敏行(金東仁)
   岩城滉一(安川)  李鐘浩(河時根の青春時代)
   林隆三(佐藤時郎)  白竜(黄錠壽)
   伊佐山ひろ子(黄英姫) 趙方豪(玄泰遠)
   樹木希林(ハルモニ)  泉ピン子(幸子)

 《story》

「許しますか。憎みますか。」

韓国・釜山で暮らす元在日韓国人の河のもとに、同胞の除が尋ねてきた。50年前の太平洋戦争末期の日本での出来事が脳裏に蘇る。河は、北九州の小さな炭坑に連行され、山本三次労務監督のもと、地獄のような生活を送った。脱走した者には、すさまじいリンチ。中には自殺する者もいた。河は、命がけで脱走し、逃げ切る。そこで働き、日本人の千鶴と恋におちる。終戦を迎え、千鶴とともに韓国に渡る。しかし、韓国では日本人女性を連れた河は村八分にされる。千鶴は、生まれた子どもを連れて、ひとり日本に戻る。以来、河は千鶴や子どもと顔を合わす子ことなく50年を過ごす。不治の病に冒された河は、日本に渡る決意。炭坑跡の仲間達の墓に参り、息子に会う。選挙に出馬していた山本を見つけ、同胞の墓に連れてくる。そこでもみ合いとなり、山本を殺してしまう。河もまた、病のために力つきる。

戦争は悲惨な出来事ばかり。その中でも、差別が一番いやだ。人間の弱さがそこに出てしまう。私も弱い人間だから、きっと差別的な言動を平気でしてしまうにちがいない。あとで後悔するかもしれないけど。戦争状態の中で、小心者ほど弱い立場の人間を見つけ苦しめる。自分の苦しみを押しつけることで、自分が楽になろうとしたり、不満をはらす。そうなりたくないと思う。どんな状況の下でも、人の事を考え大切にできる自分になりたい。助けを求められたとき、その人の立場になって、できるだけの行動がとれる人間でありたい。河さんも、そんな人たちの力で生き抜くことができたのだ。


赤い文化住宅の初子

2009年06月27日 | 人間/社会派ドラマ

2007年 日本 100分
■2009.5.17 日本専門チャンネル
■監督  タナダユキ
■出演
   東亜優(初子)  塩谷瞬(克人)
   佐野和真(三島)  坂井真紀(田尻)
   桐谷美玲(山口).  鈴木慶一(ラーメン屋店主)
   鈴木砂羽(爽子=初子の母)
   諏訪太朗(藤井)  江口のりこ(美咲)
   浅田美代子(栄子)  大杉漣(初子の父)

 《story》

「約束だけは消えない」
「おとなになるまでまってるよ」
「貧乏、初恋、ひとりぼっち」


母が亡くなり、父は蒸発。高校に通っていた兄は中退し、家計を支えるために働く。初子は、中学校に内緒でラーメン屋でバイト。でも、不器用だからとクビ。初恋の三島くんと、中学校を卒業したら一緒に東京に行くと約束したものの、どこにもそんなお金はない。母が好きだった「赤毛のアン」は、みんなから好かれ幸せになっていく。しかし、初子は、頼りにしている兄は自暴自棄になり、蒸発していた父がふっと顔を出し、一家をかき乱す。担任も、「人にばかり頼って生きている」と突き放す。そんなとき、三島くんから差し出された赤いマフラー。

 現代にもあるのかなあ

こんな兄妹って、現代にもいるのかなあ。一昔前の不幸で貧乏な兄妹だと思っていた。今は、世間が社会が放っておかないに違いない。だれかが目をかけ、手を差し伸べているにちがいない。そんな社会になったんだと思っていた。あんな担任の先生がいたら、進路指導なんてできないし、だれかがストップをかけるよ。自分が世間知らずで、実際にはこんなこといっぱいあるのかもしれない。まるでありえない韓国ドラマを見ているよう。でも、初子には幸せになってほしいと思った。三島君がいてくれることが唯一の救いだ。もし、彼がいなかったら、初子は生きる希望を失ってしまう。
広島を舞台にしていることにも注目。広島弁がやけに初子を身近にしてくれた。

ジャージの二人

2009年06月21日 | 人間/社会派ドラマ

2008年 日本 93分
■2009.5.16 DVD
■監督 中村義洋
■出演
   堺雅人(息子)  鮎川誠(父親)
   水野美紀(息子の妻)  田中あさみ(花子)
   ダンカン(岡田さん).  大楠道代(遠山さん)

 《story》

「ワケあり親子の、何のしない夏休み。」
「ジャージ貸します。」


北軽井沢の別荘地に、フリーカメラマンの父親と会社をやめたばかりの息子がやってきた。2人は、あ亡き母がためていた小学校のジャージを着て過ごす。携帯もつながらない、のんびり流れる時間。しかし、父は再婚の女性との離婚の危機、息子は妻の不倫という、それぞれが悩みを抱えていた。しかし、お互いにそのことに触れる機会がない。再び山荘を訪れたのは、息子の妻を交えた3人。他の男を好きになりながらも、腕を組もうとする妻。その腕をいつの間にか払っていた。再び山荘を訪れたのは、腹ちがいの妹と3人。こんな山奥にまで来て、ビデを見たがり、器機を借り、レンタル店を捜していく。母と父の危機を垣間見る。そして、過ぎていく日々。

 その悩みは深刻なはずなんだけど

山荘の自然に包まれたのんびり流れる時間の影響なんだろうか。何でもないように過ぎていく日々。ここでは、自分の中にある悩みを感じなくてもいいのかもしれない。感じなくても生きていけるし、感じる必要もない。感じなくても、それは悪いことではない。逃避と思わなくてもいいんだよと、そのジャージは黙って教えてくれる。しかし、それは一時のこと。現実の世界とのつながりを象徴するように、携帯のつながる空間がある。ついそこに足が向いてしまうし、そこにいかなければいけないような思いになる。そして、世の中が(現実が)刻一刻と変化していることを知る。何て言うのかなあ。現実の世界では、抱えている悩みに押しつぶされ、どの方向に行けばいいのか、どうやっていけばいいのかわからず、その気力もなくしてしまう。でも、ここでは、遠くからその悩みを、まるで自分から少し離れて見ているよう。トマトがたくさん集まってくることに、笑っていられる心の余裕があるんだ。それは山荘の力なのか、ジャージの影響なのかわからないけど、ちょっと現実から離れて見ることも必要なんだと思う。

バガー・ヴァンスの伝説

2009年06月13日 | 人間/社会派ドラマ

2000年 アメリカ 125分
■原題「THE LEGEND OF BAGGER VANCE」
■2009.5.9 BS2
■監督 ロバート・レッドフォード
■出演
   ウィル・スミス(バガー・ヴァンス)
   マット・デイモン(ラナルフ・ジュナ)
   シャーリーズ・セロン(アデール)

 《story》

「彼は帰ってくる。
   愛と人生をとり戻すために。」


1928年10才のハーディにとって、若きアマチュアゴルファーヴァンスはあこがれを越えた尊敬の人物だった。ジュナは、16才でアマチュア優勝を成し遂げ、飛距離を計るために20分間も中断したとこともある、町の英雄だった。ジュナは、富豪の娘アデールの心も奪った。しかし、ジュナは、第一次世界大戦に出兵、戦場で衝撃を受け、帰還後はゴルフも捨て隠遁生活を送っていた。アデールの父親は、リゾート地としてゴルフ場を開発するが、不況のため多額の借金を残し自殺。アデールは、ゴルフ場の売却を断り、人気ゴルファー、ボビー・ジョーンズとウォルター・ヘーゲンの対戦を開催してコースの宣伝をすることを思いつく。そして、かつての町の英雄ジュナに声がかかる。酒浸りのジュナの心を動かしたのは、どこからかやってきたヴァンスだった。彼は、5ドルの報酬でジュナのキャディを申し出た。そして試合の当日。かつての力が出せないジュナを町の人々は冷たい目で見る。しかし、2日目ジュナは一気に盛り返す。自信をつかんだジュナだったが、3日目、自信過剰になり大きなミス。ジュナは、優勝できるのか。

 ヴァンスってだれ?

落ちぶれた自分を救うもう一人の自分。そんな気がした。自分の心に火を灯し、大きく燃え栄えさせ、ときには諫めてくれる。押したり引いたりしてくれる力。それがヴァンスのような気がした。それができる人物こそ英雄なんだと思う。そして、その力は、決して軽く手に入るものではなく、努力によるもの。何もしない人間に、力はわかない。
ゴルフは嫌いだ。あまり関心がない。でも、映画の中のゴルフは楽しい。やってみたい気持ちになる。
アクション映画でない二人、ウィル・スミスとマット・デイモンはよかった。大きな動きではなく、ちょっとした言葉、表情に気持ちを表現できる。それが本来の映画の素晴らしさでもある。

 公式サイト「バガー・ヴァンスの伝説」

 してもらうことだけが、うれしいことになってはいけないのだけど。肩が凝って、首筋まで痛くなって、頭痛まで起こることがよくある。薬を飲んで、塗り薬を塗って、自分で肩をたたいて。でも、誰かが肩をもんでくれたとき、そこに効果があってもなくても、うれしくなって気持ちよくなる。ありがたいことだ。

村の写真集

2009年05月31日 | 人間/社会派ドラマ

2003年 日本 111分
■2009.5.6 日本映画専門チャンネル
■監督 三原光尋
■出演
  藤竜也(高橋研一)  海東健(高橋孝)
  宮地真緒(高橋香夏)  甲本雅裕(野原正治)
  桜むつ子(山本のおばあちゃん).
  吹石一恵(水沢先生)  大杉漣(植田進)
  原田知世(高橋紀子)  ペース・ウー(チン・リン)
  宮島博(眞島秀和)

 《story》

「父が世界で一番愛したもの。」
「山間に消えゆく村を写真に残すために、
 人々をたずね歩く寡黙な父と、反発する息子。
 二人きりで山を分け入り、父の仕事する姿を見つめ直した息子の心に、
 水がしみ込むように次第に変化が生じる。
 日本の自然と、村の人々の温かさを背景に、
 父と子として家族の絆を改めて感じさせる、映像叙情詩-」

山間の村、花谷村。その美しい村がダムの底に沈もうとしていた。村役場は、村の家族の写真を残す事業に取り組む。名乗りを上げたのが、写真屋の橋。その手伝いのために、橋の息子である孝が東京から呼び戻される。孝は、父親とぶつかり、家を飛び出し、東京で写真撮影見習いをしていた。黙々と一軒一軒歩き写真を撮る父、その後を不満げについていく孝。ある時、その父が倒れ、孝が写真を撮ることになる。しかし、満足な写真が撮れず、父親の偉大さが見えてくる。山奥の家も歩いていく親子。撮影後深々と頭を下げ、礼を述べる親子。最後の家族写真は高橋家。家を飛び出していた姉とその娘がもどってきた。

 何かをすることで見えてくる心

離れていては何も見えないし、それどころか不満ばかりつのってくる。良さがわかっていても、実感として感じ、それを表すことができない。クッションとなる妹の存在は大きい。間を取り持とうとするだれかが存在するとき、その人がきっかけとなって相手を見ようとする気持ちが生まれる。孝の心に父親を見ようとする心が生まれた。そして、孝自身が新たにクッションとなり、父と姉が結ばれていく。人と人は、そんなクッションとなる人の力によってつながっていく。自分もだれかのクッションになれるだろうか。だれかとつながった経験のない人間は、なかなかそうはなれない。写真に現れる生きた姿。私も、風景写真をよく撮る。それは、生きた人の姿を撮ることが苦手だから。でも、風景に入る人が、風景をもっと美しく映えさせてくれることを知っている。風景写真ではなく、家族写真を残そうとしたことの意味はそこにあると思う。

 思うほどだめではないことがわかった。できるだろうか、失敗しないだろうか、どう思われるだろうか、などさまざまな不安が渦巻き、ドキドキして鼓動が高鳴る。しかし、いざやる場面となったとき、頭の中が真っ白になって、隠れてしまいたくなるようなことはなくなった。それは、少しでもイメージを作り、準備してきたからだろう。それでいい。

アヒルと鴨のコインロッカー

2009年04月19日 | 人間/社会派ドラマ


2006年 日本 110分
■2009.3.20 DVD
■監督 中村義洋
■出演
   濱田岳(椎名)  瑛太(河崎/ドルジ)
   関めぐみ(琴美)  松田龍平(河崎)
   大塚寧々(麗子)

 《story》

「物語の裏に隠された切ない想いに泣く」
「神様、この話だけは、見ないでほしい」
「時におかしくて、切ない物語が交差する」


大学入学のため仙台に出てきた椎名。引っ越したアパートの隣に、ブータンからの留学生ドルジと椎名と同じボブディランの曲を口ずさむ河崎という男。河崎は、孤独なブータン人ドルジのために、広辞苑を本屋から盗むために力を貸せという。しかし、河崎が本屋から盗んできたものは広辞林だった。ふとしたことから知り合ったペットショップ女店長の麗子と河崎は知り合いだった。麗子は、本当の河崎はもうこの世にはいないという。そこには、琴美と河崎とドルジの隠された秘密があった。町を騒がせていたペット虐待事件を目撃した琴美とドルジ。犯人が琴美を襲う。琴美を守ろうとするドルジと河崎。しかし、琴美は犯人の車に轢かれ殺されてしまう。河崎は、病で病死。ドルジは、河崎になりすまし、少年院から出てきた彼らを待っていた。本屋にいた店員がその少年だった。家庭の事情で故郷に帰る椎名は、河崎に自首をすすめる。仙台駅のロッカーの中で鳴り響くボブディランの曲。

 本で読むとおもしろいんだろうなあ

自分の頭の中でつくるイメージだと、たくさんの感動を味わえる。でも、人の映像だと、自分のイメージとのギャップが生まれ、表現が制約され、押しつけられるような感覚に圧迫感を覚えてしまう。それはきっと、自分のイメージを越えた表現ではないときだ。この本を読んだわけではないけど、何だかそんな気がした。ブータン人の悲哀さがあまり伝わってこない。アヒルと鴨のちがいもわからない。なぜロッカーなのかも。最近、少年犯罪への批判めいた書物をよく目にする。人の命を奪っておきながら、反省もせずに世の中にもどってくる。命が軽く扱われているようで、無性に腹が立つ。未成年であれ、命を奪ったのなら、その重みに苦しまなければいけないと思う。それなくして更生はありえない。更生とは忘れることではなく、命の重みをしっかりと感じながらも、命のために生きること。復讐は命を奪うことと同じ。あんなやつ死んでしまえと思うけど、手を下す人は命を奪うこと。頭の悪い私は、よくわからなくなるけど、さまざまな立場の人の気持ちになって考えていく必要があることは確かだ。

 公式サイト「アヒルと鴨のコインロッカー」

 『天使のナイフ』薬丸 岳  これも少年犯罪を題材にした物語だった。おもしろかったけど、あまりに登場人物がつながりすぎていて変な感じした。欲張りすぎているのか、それとも「これでもか」とたたきつけるように考えさせようとしているのか。未成年の過ち。それは成人でも同じ。奪われる命の重みに代わりはない。誰もが、少年犯罪の犠牲者になりうる。そして、だれもが少年犯罪の身内にもなりうる。人の心の中身は見えない。だからといって、遠ざけるだけでは何も解決しない。自分なりの方法で近づかなければいけないのかも。それは、いつだれが被害者になるか、加害者になるかわからないことを自覚することなのだろう。


旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ

2009年02月16日 | 人間/社会派ドラマ


2009年 日本 112分
2009.2.7 TOHOシネマズ緑井
■監督 マキノ雅彦
■出演
   西田敏行(滝沢寛治=園長)
   中村靖日(吉田強=獣医・飼育係)
   前田愛(小川真琴=獣医・飼育係)
   堀内敬子(池内早苗=動物園管理係)
   笹野高史(磯貝三郎=商工部長)
   梶原善(三田村篤哉=市議会議員)
   吹越満(動物愛護団体のリーダー)
   萬田久子(平賀鳩子=新市長)
   長門裕之(韮崎啓介=飼育係)
   平泉成(上杉甚兵衛=市長)
   六平直政(三谷照男=飼育係)  塩見三省(砥部源太=飼育係)
   岸部一徳(柳原清之輔=飼育係)  柄本明(臼井逸郎=飼育係・絵本作家)  
   麿赤兒  春田純一  木下ほうか  でんでん  石田太郎  とよた真帆
   天海祐希

 《story》

「あの感動の物語が映画になる」

北海道旭川市旭山動物園は、施設が老朽化し入場数も減少。ジェットコースターを入れるも動物園とは不釣り合い。冬や積雪のため休園。そんな動物園に、子ども時代にいじめられ人嫌いの新人獣医吉田がやってきた。元動物愛護団体の小川を迎え、施設の修繕費も出ない中、園長をはじめ飼育係たちは入場者を増やすために奮闘する。飼育係による動物ガイド、冬の動物園体験ツアーなど、新しい試みのチャレンジ。しかし、敷地内に忍び込んでキタキツネの影響でゴリラがエキノコックス症に倒れる。この事件をきかっけに入場者数は激減、市長による閉鎖提案の噂も流れる。園長たちは署名運動を起こす。そして市長のいる役所の前に数千人の動物園閉鎖反対を呼びかける人たちが集まる。市長は閉鎖を撤回。次の選挙で敗れ、新しい市長が誕生。園長たちは、新しい市長に、「空を飛ぶペンギン」の施設作りを提案。了解を得て作られた施設にはたくさんの入場者。さまざまなアイデアで観客を楽しませてくれる旭川動物園は、上野動物園の入場者を上回る日本一を達成。

 動物園の動物と野生の動物

ディベートで、動物園の動物と野生の動物はどっちが幸せかという議論がある。もちろん野生だという答えが多いなか、どれだけ動物のことを知っているかと言われたら、ほとんど知らないことに気づく。野生に帰れば動物は幸せだとは言い切れない。野生の方が過酷で生き延びる可能性は少ない。それが野生の本来の姿だと言われたら、絶滅していく野生もただ見守るしかない。人間だけが楽しむエゴではない。入場者数だけが価値があるのではない。動物を思う気持ちに大切なものがある。この議論には結論がない。どちらが正しいとは決められない。
飼育員n人たちは、きっと動物や生き物が大好きなんだと思う。入場者数よりも、少しでも動物たちが活発に楽しく生活できるように願っているのだと思う。そしてそんな動物たちの姿をみんなに見てもらいたいと思っている。生き物を守るためにはお金がいるのは当たり前。それが役所の仕事だ。考え方一つで、動物も飼育員も観客も生き生きしてくる。身の回りのそんな視点の変換で活気がでるのものがけっこうあるかもしれない。

 公式サイト「旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ」

 『予知夢』 東野圭吾 ガリレオのテレビは見ていないが、映画を見て感動。さっそくシリーズものを古本屋で見つけたので買って読んだ。案の定おもしろい。オカルト的な事件を、きちんと科学的に解決していく。小さな事を見逃さず、そこからヒントを得て、不思議でも何でもない事実。意図的なトリックであることを解明していく。実におもしろい。テレビドラマの「ガリレオ」をいつかレンタルして見たいと思った。
いろいろあるけど、兆しはいい。ただ朝がつらい。体が動かない。「開き直り」暗示を忘れてしまう。「開き直り」お守りのようなものがあればなあ。追いつめられた精神状態になったら、そのお守りを見る、また握る。すると「開き直り」効果で、みるみる元気が出てくる。何もしないでそんな効果は期待できない。準備と片づけ、それがキーワード。


memo

2009年02月11日 | 人間/社会派ドラマ

2008年 日本 106分
■2009.2.1 DVD
■監督 佐藤二朗
■出演
   韓英恵(本橋繭子)  佐藤二朗(本橋純平)
   宅間孝行(本橋洋平)  岡田義徳(会社員)
   池内博之(文房具店店員)
   白石美帆(女性カウンセラー)  
   高岡早紀(本橋道子)

  《story》

「闘わないよ、ただ生きてくから」

高校生の本橋繭子は、突然メモをしなければおさまらないパニックに陥る。強迫性障害だ。テストをしているときも、その衝動を抑えることができず、裏に取り止めもないことを書き殴る。鞄には文具店で買った大量の紙。ときどきカウンセラーところに通う。ある日、繭子が目覚めると、部屋に見知らぬ男。意味不明の言葉を連発しながらも、自分は叔父だという。音信不通だった父の弟で、叔父もまた強迫生障害だった。繭子は叔父純平の部屋に通ううち、気持ちの落ち着きを感じる。カウンセラーの「闘わないでいいんだよ」という言葉が残る。突然失踪する純平。繭子は、乗り越えていけるのか。

 強迫生障害

それは大なり小なりある。小さなこだわりから抜けきれないことが、最近は多い。一歩踏み出せば何でもないことが気になって仕方ない。スト-ブを切ったか、電源を切ったかなど、外出先から電話をかけることもある。気になったら落ちtかない。「切ったよな」という自分を信じられない。病気だと思うこともある。
しかし、この映画のような症例ってあるのだろうか。少しおちゃらけた感じの雰囲気なので、実際にはないことを強調して演出しているように見える。メモをしなければパニックになってしまう病気って本当にあるのだろうか。あるのなら、もう少し真面目に扱った方がいいのではないかと思った。出てくる人物みんなおかしな人に見えてしまった。先生、繭子の父母・・・・病気のことを正面から語るのはカウンセラーの先生だけ。何だか別な世界の話のようだった。

 公式サイト「memo メモ」

 歌をうたうことになり、毎日のように曲を聞いている。曲のおおまかな雰囲気はわかったが、歌詞は覚えられないし、音程はめちゃくちゃ。ひとつくらい取り柄があってもよさそうなものだけど、歌も楽器もだめ。もちろん踊りもダンスもだめ。昔、ディスコが流行った時代に酔わなければ踊れなかった。この歌、いい歌なんだけど自分のものにできない。くやしいね。中学校のときかな。歌のテストで、自分が歌っているときみんなが笑った。あの時から、自分は音痴なんだと気づいた。それまでは自分でわかっていなかったんだから鈍いよね。カラオケ嫌い。合唱いや。でも、歌を歌わなければならなくなった。できないこと、苦手なことが多いから、いつも憂鬱がつきまとう。ならば、何もしない日々をくればいいのか。何ができるのか。何もしなくていいよと言われたら、きっとだらだらとずっと過ごしていくのだろうな。

誰も守ってくれない

2009年02月08日 | 人間/社会派ドラマ


2008年 日本 118分
■原題「Nobody to watch over me」
2009.2.1 TOHOシネマズ緑井
■監督 君塚良一
■出演
  佐藤浩市(勝浦卓美)  志田未来(船村沙織)
  松田龍平(三島省吾)  石田ゆり子(本庄久美子)
  佐々木蔵之介(梅本孝治)  佐野史郎(坂本一郎)
  津田寛治(稲垣浩一)  東貴博(佐山惇)
  冨浦智嗣(園部達郎)  木村佳乃(尾上令子)
  柳葉敏郎(本庄圭介)

 《story》

「あなただけは、信じたい」
「殺人犯の妹となった少女と彼女を守る刑事の逃避行が始まる」
「俺に、人を守れるのか」


娘へのプレゼントを持って帰宅中の勝浦のもとに、容疑者の妹の警護をするように指令が出る。容疑者宅の周囲はマスコミで騒然。容疑者の兄だけでなく、移動中の妹の沙織にまでフラッシュが光り、コメントを求める声が浴びせられる。執拗な車の尾行。勝浦刑事の過去に触れ妹を避難する記事。ブログや掲示板での追跡、非難中傷の記事が加熱する。勝浦が通うカウンセラーの尾上のマンションまでマスコミはやってきた。勝浦は、家族で行く予定だったペンションに行く。そこは、勝浦が容疑者尾行のとき殺された子ども両親が経営するペンションだった。早く容疑者を確保していれば死なせずにすんだのにと後悔が重くのしかかっていた。そのペンションもいつの間にかカメラをもった人たちが取り囲む。沙織のボーフレンドが駆けつける。しかし、彼もまた彼女のことをネットへ情報を流してきた一人だった。カメラが仕掛けられたホテルの一室から沙織を救出する勝浦。残された兄や父を守るのは君だけだと。

 怖いのはだれ

だれかを責めてだれかを陥れたくなる。それは今も昔も同じかもしれないけど、ただ違うのは、今は知らない人が普通の人がどこでもいつでも人を陥れることができること。教室のいじめよりもっとこわい。みんなのためにやっているという看板をかかげて、堂々と人をいじめているようなものだ。殺人犯が憎くければ、その親も家も家族も憎く見えてしまう。殺された人間からすればそれは当然だろう。悔しさを悲しさをどこに向けていいのかわからなくなる。でも、マスコミや一般の人が荷担してしまう怖さが現代なのだ。ネットの中傷は数人に止まらず、見えない知らない多くの人が取り囲む。それも汚い言葉を平気で使い、見えないことをいいことに自分のことは棚に上げて。「悪口」と「非難」はちがう。「罵声」と「意見」はちがう。自分のことしか見えない。人の心が見えない世界。
テレビのドラマも見た。あの続きだった。目が離せない展開になっていった。重いけどあの刑事の必死の姿に救われる。ペンションの二人の、心の中の葛藤に救われる。葛藤にない垣根を越えた言動がどれだけ恐ろしいかがわかる。見終わったあと、恐怖と安堵感とほんの少し意欲を覚えた。それは「守ってくれない」ではなく、「守る」のだと。

 公式サイト「誰も守ってくれない」

 『ビタミンF』重松清  7つの短編。「ゲンコツ」「はずれくじ」「パンドラ」「セッちゃん」「なぎさホテルにて」「かさぶたまぶた」「母帰る」  今の自分の孤独はここにあるのかと思うこともあった。だれもが経験するものなのか。自分だけ・・・そんな思いにつぶされそうだったときに、みんなたたっかってるよ、って声をかけてくれる。そして、負けたっていいんだよ。でも、あきらめちゃいない。葛藤を繰り返し、何かきっかけをつかもうとし、小さな変化に微笑む。だれも何も分かってくれることはないかもしれない。でも、自分が分かる努力はできる。悲しくもあり、小さな喜びでもあり、自分の生きる道でもあるのだろう。今、見える道、今見えている道を行く。どこかにもっといい道があるかもとずっと立ち止まって辺りを見回すばかりでは何も変わらない。大なり小なり、だれもが歩く道。さあ、がんばろうよ。さびしいけど、励まされる。