■2008分 日本 118分
■2008.11.1 シネツイン2
■監督 新藤兼人
■出演
柄本明(市川 義夫) 豊川悦司(山崎 良人)
六平直政(森山 三吉) 川上麻衣子(市川 道子)
大杉漣 原田大二郎 渡辺督子 角替和枝
りりィ 根岸季衣 吉村実子
大竹しのぶ(藤川 みどり)
《story》
「先生、私は今も元気です。」
大正の終わり、石内尋常小学校5年生の教室では、三吉が居眠りをして怒られた。しかし、市川先生は、三吉が稲刈りで朝まで働いていたことを知ると、詫びて泣きながら寝て良いと言った。そんな飾らない市川先生のクラスの級長は山崎君とみどりさん。お互いに惹かれながらも思いを伝えられないで卒業し、30年が経った。みどりは結婚して旅館の女将となり、そこで同窓会が開かれることになった。久しぶりに合った二人は、思いを伝え結ばれる。それから、市川先生の引っ越しや病気などで、広島に戻る山崎。市川先生の励ましの言葉を聞きながら、脚本の仕事を続ける山崎だった。みどりの夫が急死。数年後、市川先生が亡くなり、山崎はみどりにプロポーズするが断られ、脚本の道を進むようにと諭される。
こんな先生もいたよ
そんな思い出話なのかなあ。純粋で豪快で、一途な思い、大人の打算的な色を出さない先生。それがいいのだろうね。根っから子どもが好きなんだよ。今なら、「静かにしなさい」でにらまれ、罰はブーイング、結婚式に使いに子どもを使うなんて絶対にできないこと。静かに自習なんてできるわけない。良き時代だったのだろうか。すべてがそうだったわけではなく、この切り取られたひとつの世界が、良き思い出になったのだと思う。
いじめなんてない世界。あの石内はきっといじめなんてないよ。やけどを負った仲間を温かく包むことができる。避けられたり、悪口を言われたりすることなんてないだろうなあ。「死ねばいいのに」なんて、軽く言われたら、それでなくても脆くなっている精神は粉々に壊れてしまうかもしれない。世界に目を向けよう。こんなときは、ついつい足下を見て、目の前の言葉に翻弄されてしまう。それがすべてのように思ってしまう。そうじゃない。だれかが救いを求めている。じっとうずくまっていたって仕方ない。私が前を向くことで救われる命があるかもしれない。不器用でも少しでも生かせる力が出せるかもしれない。そう信じて世界に目を向けよう。
公式サイト「石内尋常高等小学校 花は散れども」