そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

リング0 バースデイ

2007年03月31日 | ホラー

2000年 日本 99分
■2007.3.10 GyaO
■監督 鶴田法男
■出演
   仲間由紀恵(山村貞子)  田辺誠一(遠山博)
   田中好子(宮地彰子)  
   麻生久美子(立原悦子)
   若松武史(重森勇作)  伴大介(伊熊平八郎)
   雅子(山村志津子)  橋本真実(清美)
   森下能幸(大久保)  
   木村つかさ(金井優美子)
   出光秀一郎(氏家守)  大場真人(山村敬)
   田中要次(男性教師)  
   古谷千波(少女時代の貞子)  
   嶋田豪(新聞社の同僚)  小柳友貴美(看護婦)

《story》
不思議な能力を持つ貞子は、幼少時代も化け物扱いされて育った。母の静子が死をきっかけに上京し劇団に入る。そこでも、貞子がいることで奇異な雰囲気が漂う。ある日、看板女優が舞台で不可思議な死を遂げる。代役として抜擢されたのが、研修生の貞子だった。貞子に対する団員たちの目は、ますます奇異なものとなり、貞子から離れていった。そんな中で貞子に優しく声をかけたのが音響を担当する遠野だった。そして舞台初日。貞子の舞台に、30年前の超能力後悔実験のテープが流れる。それは、その当時の関係者が次々に謎の死を遂げ、その真相を追いかけている記者の仕業だった。パニックに陥った貞子は会場で荒れた。その後、恐怖のため、団員たちが貞子を殺してしまう。しかし、貞子にはもうひとりの分身がいた。記者の宮地は、団員たちに貞子の死体を伊熊博士のもとに連れていくよう指示するのだった。

 この恐怖は悲劇だ
ただの恐怖だったら、その元を断ち切ればいい。ただの化け物だったら、その化け物を追いつめ消し去ればいい。しかし、貞子はちがった。貞子の心の中には人間らしい優しさがあった。それなのに、貞子のまわりを包む凍り付くような冷気。それは貞子の責任ではないだけに、貞子だけを見つめるとあまりに可哀想な悲劇である。いじめそのもだ。貞子自身にも、呪われた悪が取り憑いていた。それは離しようがないものだけに、その悲しみは大きい。貞子のことをわかってあげたいけど、そうすれば恐怖に覆われ、命がなくなるかもしれない。貞子自身がそれがわかっていないように見えたが、それは一人の人間として必死で生きようとしていたからなのだろう。でも、もう一人の貞子はそれを許さなかった。バースデー・・・そんな二つの貞子はどうやって生まれてきたのか。これから貞子は何を呪うとしているのか。なんだか、まだまだただのわがままにしか見えない、軽い感じがするが。

 『風の耳たぶ』 灰谷健次郎 角川文庫 【BOOK】
会話文が続く。何十ページか読み始めて、途中でやめようかと思ってしまった。でも、最後まで読んだ。その会話は、まずバイキングの焼肉店を非難するところから始まった。今はありきたりのレストラン。でも、子どもが好きなものを食べる、それを親が何も言わないところは確かに「食」を壊している。日本のすべてがおかしくなっている。それは今も同じだ。でも、二人がただ憂いているだけでなく、それに立ち向かうべく人間がいること、そしてその憂いに中にいる人間もただ流されているのではないことを見抜き、希望を抱いている。
あまりに理想を追い求めているように見えたが、そうじゃないのかもしれなと思った。ここに出てくる人物はだれもが立派ですばらしい人間だ。後ろを向いて歩いている私にとって、まともに目さえ見ることができない。でも、そうやって生きていくことが大事ななんだと思った。彼らだってさまざまな困難にぶつかってきた。でも、私のように打ちひしがれて下を向かなかった。立ち上がって前を向いて一生懸命に歩いた。それこそまさに追い求める理想であった。ただ、口先だけの建前に薄い衣をかぶせた理想とはおおきくちがっていた。
「熊谷守一」「無言館」「良寛」など、今の日本を考える上で大きな鍵となる。これから先、また出会えることを願っている。いや、出会いたいものだ。

スタンドアップ

2007年03月12日 | 人間/社会派ドラマ


2005年 アメリカ 127分
■原題「North Country」
■2007.3.6 wowow
■監督 ニキ・カーロ
■出演
   シャーリズ・セロン(ジョージー・エイムズ)
   フランシス・マクドーマンド(グローリー)
   シシー・スペイセクカイル(アリス・エイムズ)
   ショーン・ビーン(カイル)
   ミシェル・モナハン(シェリー)
   ウディ・ハレルソン(ビル・ホワイト)
   リチャード・ジェンキンス(ハンク・エイムズ)
   ジェレミー・レナー(ボビー・シャープ)

《story》

「私なんか、と何度も思った。
  お前なんか、と何度も言われた。
    それでも、立ち上がってみようと思った。」


10代で子どもを産んだジョージー。結婚した男は暴力ばかりふるう。たまりかねて子どもを連れて家を飛び出し、故郷に戻る。どこでも、父親との関係はうまくいかず、娘の行動に批判ばかり。ジョージーは自立するため、鉱山で働くことを決意する。しかし、鉱山では男の仕事場に入り込んだ女として、嫌がらせが横行する。特に卑猥な言動が後をたたず、それでも女性たちは職場を失いたくないばかりに、がまんして働いていた。あるとき、ジョージーは、元の同級生に襲われけがをする。しかし、だれも知らないふりをする。たまりかねたジョージーは辞表を出し、裁判で訴えることを決意する。でも、同じ女性たちも仕事を失いたくないばかりに、口を閉ざす。集団訴訟に持ち込むことができるのだろうか。息子も友を失い、孤立したジョージーの苦しい日々は続く。

 こんなに大ぴらにあっても事実と認められないときも
多くの人が知っていても、語らなければ真実は消えてなくなる。だれかが、「そんなことはなかった」と言い、周りの人が「そうだ、そうだ」と言えば、事実は変わる。阿部総理が口にした「従軍慰安婦」の問題だって、「南京大虐殺」だってそうだ。人々の脳裏にある事実を変えようとしているのだ。今こそ、何が真実なのか徹底的に調査機関を作って調べるべきだ。証人がいなくなるのを待つのではなくて。そうなったら、いくらでも事実を変えられる。この鉱山内のセクハラだって、だれも知らないふりをしたら事実は消えてなくなる。これほど怖いことはない。裁判で勇気を出して証言する女性がいなければ、闇の中に葬られるのだ。こうして考えられると、今事実だと信じていることが、どれだけ危ういものかわかる。鵜呑みにするとまちがった事を植え付けられる。だまされやすい者にとってはいつのまにか思いこまされてしまう催眠術のようなものだ。このジョージーという女性が、自分を信じて、正々堂々と訴えた気持ちを、真っ先に認めようとした父母の存在が大きい。そして、自分の命も危うい病気にかかっても、友のために証言したグローリー。彼女のこれまでの誤解が解けた瞬間、彼女の思いが通じた。それにしても、男の何て身勝手なことよ。まさにいじめだ。かばおうものなら、矛先が自分に向けられる。女性だけの問題ではなく、会社ぐるみの大人のいじめだ。

公式サイト「スタンドアップ」 


 働くということ
今、私は家族のために働いている。三男が大学に行くとして、あと8年は働かないといけない。今のような生活が続く。やめたいと思うけど、やめても今よりいい仕事につけるわけではない。引退しても、楽しい生活が待っているわけではない。きっともっと孤独な日々を送るはずだ。食べなければいけないから働く。働く楽しみがないわけじゃない。でも、毎朝、行きたくないという心臓のドキドキ感がある。特に月曜日の朝や、特別に自分が何かしなければいけないとき。ドリンク剤を飲んだり、安定剤を飲んだり、一番効果あるのはしっかり準備すること。でも、その力もない。自分の存在を示す最後の砦かもしれない。今の自分には、何の存在価値もない。いること自体迷惑だという目に囲まれ、いなければいないで責められる。だから、苦しい思いで、そこにただいることだけが、自分の存在を示す。あるのかないのかわからない、仕方なく認められる存在。働くことがなくなればゼロ。しんどくても働くことができるだけ幸せなんだと思うことが大事だ。自分が自分なりに一生懸命にやることが大事だ。それが、生きて働くということ。

 良かったと思うけど
心配していたPTCの活動は無事終わった。各班で計画を立てた献立も、うまく調理できておいしくいただくことができた。それに各班の分担した仕事も、練習なしで、何とかやりきった。大きな問題もなく、みんな協力しあってがんばっていたと思う。怒ることもなく、反対にほめることが多かった。私としては満足だ。よくみんながんばった。


青い目撃者

2007年03月11日 | サスペンス/ミステリー


1998年 アメリカ 101分
■原題「In Quiet Night」
■2007.3.4 Gayo
■監督 ジェニー・ボーウェン
■出演 
   クレア・ランキン(ジョイ-検事)
   ジュリアン・マクマホン(ヘイズ-父親)
   アレクサンドラ・カイル(ダイナ-少女)
   ルーカス・ハース(ラッセル-警官)

《story》 
ジョイは児童虐待の裁判を行っていた。9才のダイナは、裁判で証言するはずだったが、父親を前にして、証言することができず、「虐待はなかった」と言ってしまう。その後、家に戻りたくなかったダイナは、ジョイの家に隠れる。父親のヘイズは、行方不明として捜索を依頼する。自宅でダイナを見つけたジョイは、このままではダイナを父親のもとに返さなければならないと、ダイナを連れて家を出る。故郷に帰ったジョイだったが、姉の夫に虐待を受けたことがあり、そこにもいることができなかった。幼なじみの警官ラッセルの手引きで、山の中の小屋に隠れ住む。しかし、ヘイズが依頼した刑事は、その小屋の近くにまで迫っていた。

 これでも父親か
執拗に追いかける姿はただのストーカーみたいだった。ちょっとした出来心からの虐待とは思えない。妻を亡くしたショックからではなく、元々持っている異常性愛者に過ぎない。親としての愛情なんてこれっぽっちも感じられない。ただの異常者だ。もし、少しでも娘への愛情があれば、後悔の念が立つはずだ。真実というものはなかなか見えにくいものなんだと思う。こうして第三者の立場でスクリーンを見ていたらわかるけど、証拠がなければ発覚しないだろう。なぜあの写真を初めに使わなかったのだろうか。子どもにとって、それでも自分の父親が殺されてしまうのだから、心に傷が残ってしまうだろう。父親に反省させ、良い親子関係に修復することが、一番のベストだと思ったのだけど・・・。

 クッキー作りにチャレンジ
インターネットで作り方をプリントアウトして、材料をそろえてスタート。材料の量は、サイトによって多少ちがうので、いろいろな味があるのだと解釈。簡単な量の比になっているのを採用。バター100g、小麦粉100g、砂糖70g、卵黄1、これだけでやってみた。バターが固くてなかなかクリーム状にならない。砂糖は秤がないので適当。小麦粉も適当。手がべたべたになった。1時間寝かせて、オーブンで170℃15分。べちゃーと広がって、薄いクッキーができた。できたては柔らかい。皿に入れておくと固くなった。味見してみると、甘くおしいのでいいかな。


リング2

2007年03月11日 | ホラー

1999年 日本 95分
■2007.3.4 Gaoy
■監督 中田秀夫
■出演
   中谷美紀(高野舞)  大高力也(浅川陽一)
   小日向文世(川尻医師)  佐藤仁美(倉橋雅美)
   沼田曜一(山村敬)  深田恭子(沢口香苗)
   柳ユーレイ(岡崎)  石丸謙二郎(大牟田刑事)
   松嶋菜々子(浅川玲子)  真田広之(高山竜司)
   雅子(山村志津子)

《story》

「リングの恐怖は、始まりにすぎなかった」

貞子の遺体が発見されたが、解剖の結果死後1~2年であることがわかる。貞子は井戸の中で30年近く生きていたことになる。舞は高山の死の真相を探るべく、高山の元妻である浅川親子の行方を追っていた。浅川の部下である岡崎や、浅川のいとこの智子が死んだときそばにいた友人の女子高生の入院先を訪ねた。そして、浅川親子を発見するのだが、その子どもの陽一に、女子高生と同じような不思議なことが起こっていることに気づいた。母親が交通事故で死に、舞は陽一を連れて、大島の貞子の家を訪ねる。そこに、女子高生の不思議な現象を調査していた川尻医師が現れる。そこで、陽一の中にいる貞子の怨念を浄化する実験が始まった。

 超能力と科学
ずんずん迫ってくる恐怖が少し変化したなあ。見えないものが見える恐怖ってあるよね。そこに怨念が関わると死んだ人の気持ちのすさまじさを感じて怖くなる。でも、超能力めいたもの、物を動かすとか透視するとか、ちょっとちがう。そこに人の気持ちが見えない。特殊な能力だ。貞子の怨念って何だろうか。何に対して気持ちをぶっつけているのだろうか。次第にわからなくなってきた。「生きたかった」そんな思いをもっと全面に出すような仕掛けがほしいな。井戸から何度もはい上がろうとする、光に向けて必死に手を伸ばす、一点を見据える心。父を伊熊博士を恨んでいたか。それとも愛する人を想っていたか。ただただ、生への執着か。その思いを怨念とし、振り払おうとする科学とは何なのだろう。あの実験もよくわからないなあ。結局、舞の愛が難関を越えさせたとしか言いようがない。しかし、最後に岡崎の後ろに立つ人物は、貞子の怨念がただ他の人に向きを変えただけだといいたいのか。新たな怨念が生まれたのか。怨念の進化なのか。リングの題材は好きなんだけど、もっと工夫できないものかと思ってしまう。

 怨念
人は恨まれていると思っただけで、自分の心が苦しくなって、精神がおかしくなって、狂ってしまうこともあるという。人にどう思われるかを気にして生きている人ほど、きっと悪いことを重く受け止めてしまうのだろう。ああ、恨んでいるだろうなあ、自分のことを悪く思っているだろうなあ、そう思うだけで参ってしまう。うまくできないだけに、特にそう感じてそう思って悩む。あっけらかんとしていられる人ってすばらしいよね。小泉さんが『鈍化力』の大切さって言っていたけど、まさにそうだと思う。あの人は人の痛みを感じないから、弱い立場の人をあっさり切り捨てることができる。それがかっこいい言葉でやられたら、それでいいんんだと妙に納得してしまう。怨念を感じない鈍感力がほしいなあ。そして、打って出ることができるかっこよさは尊敬に値するよ。やったことは腹が立つけど。ああ、怨念が辺りを漂ってるよ。

ドリームガールズ

2007年03月11日 | ミュージカル


2006年 アメリカ 130分
■原題「Dreamgirls」
2007.3.3 TOHOシネマズ緑井
■監督 ビル・コンドン
■出演
  ジェイミー・フォックス(カーティス・テイラーJr.)
  ビヨンセ・ノウルズ(ティーナ・ジョーンズ)
  エディ・マーフィ(ジェームズ・“サンダー”・アーリー)
  ジェニファー・ハドソン(エフィー・ホワイト)
  アニカ・ノニ・ローズ(ローレル・ロビンソン)
   ダニー・グローヴァー(マーティ・マディソン)
  キース・ロビンソン  シャロン・リール
  ヒントン・バトル  ジョン・リスゴー   
  ロバート・チッチーニ

《story》


「夢は永遠に生き続ける」

1962年デトロイト。エフィー、ローレル、ディーナのコーラストリオは、歌で成功しようとさまざまなオーディションにチャレンジしていた。ある日、カーティスという男が、ジミーのバックコーラスにならないかと声をかける。カーティスは、全財産を投げ打って、彼らを売り出す。その後、3人は、「ドリームガールズ」としてデビューし、一躍有名になる。しかし、カーティスは、歌のリーダーをエフィーからローレルに変えるのだった。そこから亀裂は生じ、途中でエフィーはメンバーから降ろされることになる。そのエフィーのお腹には子どもがいた。新しいメンバーを迎え、ますますドリームガールズは売れていった。しかし、カーティスとメンバーとの亀裂も大きくなっていった。

 見応えのあるミュージカル
だれかが言っていたけど、確かに音楽や歌に興味がなくても、引き込まれていく映画だった。体全体で歌うというのはこういうことかと納得できた。口先で歌う歌が小さく感じられた。エディ・マフィーの歌も迫力があった。俳優というのは、さまざまな技術があるものだなと関心した。
しかし、売れるためには金が必要だということにがっかりきた。特に黒人だからという偏見や差別があった。でも、たとえお金を使って売り出したとしても、それを聞いて認めるのは国民だ。下手な歌は、心に響かない歌は受け入れない。あとは実力の世界だ。
人間は、もうこれで満足だという限界を知らない。ひとつうまくいけば次を求める。小さな舞台で歌っているときが幸せだったかもしれない。一度、上を見て進み始めたら止まらない。心が満たされていくはずなのに、隙間が広がる。ジミーだって死ななくてすんだのに。解散ということがその隙間を埋めることだったなんて。でも、それが実は最高の道だったりしてね。

公式サイト「ドリームガールズ」 

  信用されてない
何がつらいって、それは信用されてないこと。頼りにされてないこと。料理なんてやらせてもらえない。広島風のお好み焼きを作ったことがあるが、黙って食べて、たくさん残された。うどんを作ってもそばを作っても、みそ汁を作っても、つけものを作っても、私が作ったものはだれも食べない。私が買ってきた食料品は、いつまでも手がつけられることなく、捨てられる。意見なんて求められないし、いつの間にか私抜きにして事は進んでいく。まあ、寝て食べるだけの居候みたいなものだ。風呂の水を汲むポンプが便利だよというとバカにされた。でも数ヶ月後に誰かが同じ事を言ったら採用された。そんなことはいっぱいある。睡眠は1時間30分の倍のリズムがいいんだって、と言ったら信用されなかった。バカにした雰囲気で、どこに書いてあるのかだってさ。それでなくても、いつも自信をなくして小さくなっているのに、休日になるともっと情緒不安定になってしまう。好きな映画も遠慮していけなくなった。塾のお金がかかって暗に節約を押しつけられた。タバコもお酒も飲まない。何の楽しみがあるのだろう。あなたは、あの北向きの暗い狭い部屋で1日中縮こまっていなさい。ああ、そうだね。


春のワルツ

2007年03月10日 | その他

■2006年3月~5月、全20話完結 韓国KBSドラマ
■原題「SpringWaltz」
■2006.10.5~2007.3.1 BS2 
■監督 ユン・ソクホ
■出演 
   ソ・ドヨン(ユン・ジェハ/スホ-松田 洋治)  
   ハン・ヒョジュ(パク・ウニョン-加藤 忍)  
   ダニエル・ヘニー
   (ジェハの親友-フィリップ・ローゼンタール-比留間 由哲) 
   イ・ソヨン
   (ジェハの幼なじみ-ソン・イナ-林 真里花)   
   ウン・ウォンジェ(スホ子ども時代)  
   ハン・ソイ(ウニョン子ども時代) 
   ホン・ミジョン(ウニョンの親友-チェ・ジャヘ-小島幸子)

《story》

「思い出してはいけない、キミのことを。そして、僕のことも・・・・。」


スホは父親に連れられ、父の故郷の島に戻った。そして父の幼なじみヘスンと出会う。スホはヘスンの娘のウニョンと兄妹にように過ごす。ある日、スホの父は、ウニョンの手術のお金を持って逃げる。ヘスンは彼を追いかけるが、疲れ果て交通事故で死んでしまう。ウニョンとスホも父と母を追って島を出る。しかし、ウニョンは倒れ、病院に運ばれてしまう。手術のお金を作るために、スホはジェハとして生きることを決意する。
15年後、ジェハはフィリップとともに、オーストリアでピアノコンサート開くほどの実力を持っていた。初めての海外旅行でオーストリアに来たウニョンは、道に迷っているときフィリップに助けてもらう。そしてお互い何も知らず、ウニョンとジェハは再会する。一方、ジェハの幼なじみのイナもジェハに会うためにオーストリアにやってきていた。彼女は、韓国でジェハのピアノコンサートを開く計画を立てていた。
韓国で再会した4人、ジェハ、ウニョン、フィリップ、イナに待ち受けている運命は・・・。

 四季の中で一番いいかも
四季シリーズはどれも人生の糸のもつれが巧妙に仕掛けられ、それを少しずつひもといていくわくわくするようなおもしろさがあった。そして、その中でその糸を自分の元に引き寄せようとする人物も必ずいるのだった。そんなシリーズの中で一番素直に見ることができたと思う。あまり無理がない。「冬のソナタ」の記憶喪失、「夏の香り」の心臓手術、「秋の童話」の自殺の」ラストシーンなど、現実離れしすぎたり、ドラマとしていきずまり感があったり、おもしろいんだけど、無理が隠せない感じがした。「春のソナタ」は、そんな無理が目立たない。ラストもハッピーエンドですっきりしていた。ウニョンの拒否の心と受動の心とがうまくマッチしていた。一番目を向けなければいけないのはフィリップかもしれない。彼の愛こそ純粋ですべてを包み込むことができる本当の愛だったと思う。「私の名前はキム・サムスン」でもそんな役だった。彼なしでは、二人の糸はほぐれなかった。

 ハッピーエンドのあとが怖い
一番幸せなところまで登りつめたら、あとは下るだけ。そう考えるのはよくないと思うけど、「春のワルツ」のあの二人が、ずっとずっと幸せに暮らしていくだろうか。何年か先には大喧嘩して、離婚して、お互いに憎しみ合う。ハッピーエンドなんて、本当はありえない。映画の中だけの世界。その後のことを考えてはいけないのだ。現実は、今が順調にいっていれば、この後、何か問題が起こるぞと心配になる。人生は浮き沈みの流れの中にある。今が不幸せでも、きっといつか幸せが訪れると信じて生きる。でも、何が幸せなのかをもっと追求しなければならない。反対に何が不幸なのかも。

悪魔の棲む家

2007年03月10日 | ホラー

2005年 アメリカ 90分
■原題「The Amityville Horror」
■2007.3.1 wowow
■監督 アンドリュー・ダグラス
■出演
   ライアン・レイノルズ(ジョージ・ラッツ-義父)
   メリッサ・ジョージ(キャシー・ラッツ-母)
   ジェシー・ジェームズビリー・ラッツ
             (ビリー・ラッツ-兄)
   ジミー・ベネット(マイケル・ラッツ)
   フィリップ・ベイカー・ホー(キャラウェイ神父)
   レイチェル・ニコルズ(ルリサ)

 《story》

「そこに入ってはいけない。そこに住んではいけない。
                       その真実を知ってはいけない。」


1974年11月13日午前3時15分。ニューヨークの郊外にあるしゃれた家の地下室に寝ていた男が目を覚まし、何かに誘われるように、一家を惨殺した。そして1年後、ラッツ一家がその家に引っ越してきた。その直後からラッツ家に異変が起こり始めた。ベビーシッターのリサは、クローゼットに閉じこめられ狂乱。相談されてやってきた神父も、何かに怯え逃げるように家を出ていった。そして、ジョージは、取り憑かれたように薪を割ったり、ビリーに厳しくあたるのだった。一家はこの家の恐怖に飲み込まれていくのだった。

公式サイト「悪魔の棲む家」

 やっぱり見てしまう
取り立ててよかったわけじゃないけど、やっおぱり見てしまう。だからといって後悔はしない。ホラー映画は好きだ。いつか、「おおー」って心を動かされるホラーに出会いたいものだ。ただ血しぶきが出ればいいというものではない。ゾンビのようなモンスターが出ればいいわけじゃない。納得できる物語と、奇抜なアイデアがほしい。でも、初めからつまらないかもしれないと思っても、やっぱり見てしまうだろうなあ。子どもの頃、テレビでやていたドラキュラの映画を、指の間からのぞいて見ていたように、こわいものにあこがれる。さらに、映画として巧妙に作られているものを求めてしまう。

 受験に向けて初めての塾
一番上の子が中3で初めて行った塾。自分から、進んで行った。その同じ塾に三番目の子も初めて行った。自分から、とは言えない。一番甘やかされていて、自分で物事が決められないタイプ。行ったどう、と言われれば行くし、言われなければ何もしない。真ん中の子は塾には行かずに、自分で勉強した。それが一番いいんだけど。親バカだから、9時半に帰るはずが、10時過ぎても帰らないと心配する。自身過剰なくらい、自分からこうしたいああしたいと言えればいいのだけど、それができていないだけ、余計に不安で心配になる。家から外に向けて目が向き、自分一人でも進んでいこうとする気持ちになればいいのだけど。

長い散歩

2007年03月04日 | 人間/社会派ドラマ

2006年 日本 136分
2007.2.24 サロンシネマ2
■監督 奥田瑛二
■出演
   緒形拳(安田松太郎)  高岡早紀(横山真由美)
   杉浦花菜(横山幸-サチ)  
   松田翔太(ワタル-旅の青年)
   大橋智和(水口浩司-真由美の情夫)
   原田貴和子(安田亜希子)
   木内みどり(安田節子)
   山田昌(アパートの管理人)
   津川雅彦(医師)  奥田瑛二(刑事)

《story》

「人生は長い散歩。愛がなければ歩けない」

高校の校長をしていた安田は定年を迎えた。しかし、妻は死に、娘とはうまくいかず、家を出る。借りたアパートの隣には、若い母と幼い娘、そして男が出入りしていた。その母はアルコール依存症で、娘にいついもつらく当たっていた。若い男がいるときは娘は戸外に追い出された。ある日、安田は、娘と男が二人でいるとき、娘の泣き叫ぶ声を聞く。竹の棒を持って駆けつけ、男を殴る。そして、娘を連れて家を出た。「青い空の雲を見に行こう」と、列車に乗る。心を閉ざした少女、妻子への後悔の思いを背負った老人の旅が始まった。

 自分にできること
この元校長の安田の気持ちが痛いほどよくわかる。職場では厳格に一生懸命に仕事をこなしてきたのだろう。でも、家庭はストレスのはけ口にさえならず、いらいらする場でしかない。娘に対しても、自分の教育観が先にくるから、心から接することがdけいない。本当はそうしたいんだけど、体も心も言うことをきかない。家を明け渡すことが精一杯なんだ。それも言葉足らずで受け入れてはもらえない。一人で生きる。それが自分にできること。
そして虐待されている少女をその場から離してやること。それは、自分の家族への罪滅ぼしか、自分の後悔への念へ支えなのか。ただ言えることは、老人と少女の何かが重なった。それは「いっしょにいること」ではないだろうか。お互いの心の寂しさを暖めてくれる、いっしょにいるだけで、安心していられる。いてほしい。
老人にとって、少女との旅は、ある意味自分の心の満足感を得ること。自分勝手な思いからかもしれない。表面的には少女を助けようとしているが、実は自分の心の穴をふさいでくれる唯一の仲間なのかもしれない。

公式サイト「長い散歩」

 『まゆみのマーチ』 重松 清  新潮社 【BOOK】
不登校の話があった。親との死に別れがあった。兄妹の再会があった。親子の絆があった。この短編の中にいっぱいつまっていた。
最近よく考える。親の死に目にどんな表情で向かうだろうか。通夜にしても葬儀にしても、きっと私はじっとしているだけだろう。むしろ、自分の方が早く死なないかと思っている。きっと弟がしきるだろう。つまらない兄だから仕方ない。自分にできることも、その力も才能もない。不登校の妹。歌がやめられない妹。自分だったらどうするだろうか。歌がやめられない子が教室にいたら、この早川先生のように、何とか止めさせようとするだろう。そうしないと授業も話もでいないだろうな。それを受け入れる余裕があれば何かちがった道が見えたかも。それでも、他の子どもたちの保護者は許さないだろうなあ。どっちみち、まゆみちゃんにとっては同じ道が待っているのだろう。この孝司にとって不甲斐ない母親は、実は怒ることなく優しさで人を包む人だった。「まゆみのマーチ」は人の心を和やかにさせるものだった。子どもだろうと大人だろうと、言われてみたいし、言ってみたい簡単な言葉だった。それは、あなたが「好き」それだけ。マンガの『孫悟空の大冒険』の歌に合わせて、「まゆみが好き、好き、好き」と歌うんだ。どんな人生を送っても、それが言える人生はすばらしいよ。

らせん

2007年03月04日 | ホラー

1998年 日本 97分
■2007.2.25 GayO
■監督 飯田譲治
■出演
  中谷美紀(高野舞)  佐藤浩市(安藤満男)
  佐伯日菜子(山村貞子)  松嶋菜々子(浅川玲子)
  真田広之(高山竜司)  鶴見辰吾(宮下)
  小木茂光(前川警部補)  伴大介(伊熊平八郎)

《story》

「あいつは死んだはずなのに」

安藤は、幼い息子を海で死なせ、自分も自殺することばかり考えていた。ある日、同級生の高山の司法解剖をすることになる。そして高山の体から、安藤あての暗号メモが出てくる。安藤は、高山からの呪いのビデオを抹殺してほしいというメッセージだと受け取る。山の元妻の浅川とその息子の死が不自然であることから、高野舞とその真相を探っていた安藤は、舞と深い仲になる。その後、舞が行方不明となり、屋上の通気口の中から死体で発見される。そして、舞の体を通して蘇った貞子と出会う。貞子は、安藤の息子を生き返らせる代わりに、高山の遺伝子を組み込んだ受精卵を要求する。

 アイデアはおもしろいけど
ここまでくるとただの世界征服者だ。全人類を敵に回して、世界を支配しようとしているにすぎない。1個の人間がそんな能力を持つとしたら、世界は終わりだ。「リング」とつながっているようで、本質は変わってしまった。まるで宇宙からやってきたエイリアンみたいな怪物だ。生きていた貞子という人間の純粋な思いなど消え去ってしまった。純粋だったからこそ、その思いから生まれた呪いには恐怖があった。そして、貞子の思いを感じようとする行為も納得できた。しかし、もうだめだ。高山もただの悪党に過ぎない。

力道山

2007年03月03日 | 人間/社会派ドラマ


2004年 韓国/日本 149分
2006.3.31 サロンシネマ1
  2007.2.24  wowow
■監督 ソン・ヘソン
■出演
   ソル・ギョング(力道山)  中谷美紀(綾)  
   萩原聖人(吉町譲)  藤竜也(菅野武雄)  
   船木誠勝(井村昌彦)  山本太郎

《story》

「日本人がいちばん力道山を知らない」

「ヒーローなりたかったのではない
 ヒーローになるしかなかったのだ」

1944年 第二次世界大戦下。キムは相撲部屋で、“朝鮮人”と言われていじめられていた。町中で空襲警報が鳴り、そこで初めて綾と出会う、手をとって防空壕に逃げ込む。
このままでは自分の人生は開けないと思ったキムは大きな賭けに出た。綾の身元引受人であり、東浪関の後見人である会長“菅野”の前で、泥棒呼ばわりされる朝鮮人となり、彼の前で「会長、私は相撲がしたいだけです」と叫ぶ。そして会長から「力道山」の名をもらい、表舞台に出ていく。
1951年勝ちすすんでいったが、大関より昇進することはなかった。差別の壁がそこにもあった。相撲協会の役員の前で髷を切り、相撲の世界から飛び出した。力道山は西洋のスポーツであるプロレスと出会う。菅野会長の力を借りて、アメリカにプロレスの修行に出た。帰国後、日本プロレス協会を設立、テレビ中継の中の力道山は、アメリカのレスラーをなぎ倒すヒーローとなっていった。

「Always三丁目の夕日」で、初めてテレビが家にやってきて、近所の人が集まって、力道山のプロレスの試合をみんなで見ているシーンがあった。ほのぼのとしていた。でも、あのみんなのヒーローだった力道山にも壮絶な人生があった。確かに日本人は力道山を知らない。

日本に住んでいた在日朝鮮人の日々とは、生きることで精一杯だった。彼らを追い込んでいたのは私たち日本人。力道山も生きることで精一杯だった。活躍したいとか、ヒーローになって有名になりたいとか、そんな夢や希望の世界ではなかった。相撲が好き、でもがんばる道をふさがれてしまう。自分を生かす道がここしかなかった。そんな落ち着かない人生。じっとだまって回りを見つめるなんてできない。それだけに、綾が哀れに見えてしまう。彼が冷静になって自分の元にもどるのをじっと待っていた。

彼を強くしたのは「差別への対抗」かもしれない。彼を歴史に残るヒーローにしたのも。しかし、差別ほどいやなものはない。意識的に意図的に相手をいじめるのはいやだ。彼の力は、差別に立ち向かうところから生まれていることが、何よりつらく思える。

オフィシャルサイト「力道山」

 2007.2.24  wowow

 どこかでブレーキがかけられたら
こんなにも突っ走らなければ生きていけなかった。止まることも、許すことも、優しく微笑むことも、できなかった。きっと、心の奥底では、戦いがあったのだと思う。もし、立ち止まることができたなら、彼の人生はもっと変わったかもしれない。今も華々しい歴史に刻まれているけど、それよりもっと、華やいだものになったと思う。その華やかさというのは、強さだけど求めたものと違い、穏やかな心のゆとりからくるもの。彼が描いた、プロレスをもっと庶民の身近に置くことができるものだと思う。それは一途に彼を思うあやがいるからこそできることであって、あやが彼をあきらめてしまったところで、彼の輝きも消える。実際の力道山はどうかわからないけど、あやとの安らかな生活を送ることさえできたら。
しかし、やまる所を知らない力への道は、彼が小さい頃から味わってきた差別からきていることはまちがいない。彼をのし上げたのも差別へ立ち向かう力であり、彼を潰したのも差別を受けたボロボロの心だったのだと思う。

 『茶色の小壜』 恩田 陸  新潮社  【BOOK】
この子壜に入っていたものは「血液」・・・淡々と流れていくストーリーに、実は異常な世界が平行して流れているような気がした。そうではないのかもしれないが、私にはそう思えた。子壜に血液を入れて集めることが異常だ。あの薄ら笑いって、猟奇殺人事件の犯人が、殺人を犯し満悦した笑いなのかもしれない。でも、いつもは人の中でだれもが認めるだけの仕事や活動をしている。そして、その異常さを表に出すことはない。もうひとつの異常は、人への関心から、さまざまな方法を使って調べていく私自身だ。興味を持ったとしても、そこまで調べようとはしないだろう。二人は通じるものがあったのかもしれない。最後はどうなったのか、実のところよくわからない。