■1991年 日本 116分
■2008.6.16 日本映画専門チャンネル
■監督 中原俊
■出演
塩見三省(1号) 相島一之(2号)
上田耕一(3号) 二瓶鮫一(4号)
中村まり子(5号) 大河内浩(6号)
梶原善(7号) 山下容莉枝(8号)
村松克己(9号) 林美智子(10号)
豊川悦司(11号) 加藤善博(12号)
久保晶(守衛) 近藤芳正(ピザ配達員)
《story》
「陪審員全員が“無罪” しかしその部屋からは 誰も出られなかった」
ある事件のために、12人の陪審員が集められた。男性、女性、若い人、年輩の人、さまざまな職業の人が集まった。若く美しい女性が、口論の末、夫を走ってきたトラックの目に押し倒し死なせたという。殺意もないし、酒癖の悪い夫に追いかけられ、偶然の出来事とされ、全員一致で無罪。だれもが帰ろうとしていたとき、討論好きの男が有罪ではないかと自分の意見好感を求める。自宅から離れた道、帰りを予想していないピザの注文から女性の殺意を感じ、みんなの気持ちが有罪へと傾いていく。全員一致でないと陪審員を交代して新たな審議となる。無罪にこだわる3人。さらに話を進めていくと、子どもだけでは食べきれないピザ、すぐに帰ろうとしていた母親。ちぐはぐな証言者の姿が見えてくる。再び無罪に・・・討論好きの男が有罪にこだわる理由は・・・。
何を見るかによって変わる
これはこわいことだなと思った。外見や雰囲気だけでは決められない。でも、それだけで人を判断してしまいがちだ。美しい人だから、悪いことをしそうにない人だから。反対に、いかにもいかつい顔の一癖もふた癖もありそうな人だから。たとえ悪いことをしたとはいえ、そんなことで審判されてはたまらない。冤罪が増える。たとえ、一生懸命に考えても、無罪と有罪は紙一重。一つの物事でもどう見るかによって変わってしまう。目撃証言一つとっても、それを信じるか、そうでないかによって変わる。真実は一つだとはいえ、それを紐解くことはそう簡単なことではない。時間が必要だし、さまざまな資料が必要だ。意図的に資料を捜査すれば、判断も変わってしまう。これはこわいことだ。
見間違うこと、聞き間違い、ただの感、なんとなく・・・そんなことで白黒判断してはいけない。話をしっかり聞かなければいけない。そしてさまざまな角度から考えなければいけない。一つボタンを掛け間違うと大変なことになってしまう。そのためには時間をかけ、冷静な心と、考えようとする気持ちが必要だ。勝手に決めつけるのではなく、気持ちを聞くことが大切だ。相手にどう思うかの判断をさせることも、反省の気持ちを出させることも。たとえ過失であったとしても、一つの命が消えてしまったことは事実なのだから。