そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

ジャージの二人

2009年06月21日 | 人間/社会派ドラマ

2008年 日本 93分
■2009.5.16 DVD
■監督 中村義洋
■出演
   堺雅人(息子)  鮎川誠(父親)
   水野美紀(息子の妻)  田中あさみ(花子)
   ダンカン(岡田さん).  大楠道代(遠山さん)

 《story》

「ワケあり親子の、何のしない夏休み。」
「ジャージ貸します。」


北軽井沢の別荘地に、フリーカメラマンの父親と会社をやめたばかりの息子がやってきた。2人は、あ亡き母がためていた小学校のジャージを着て過ごす。携帯もつながらない、のんびり流れる時間。しかし、父は再婚の女性との離婚の危機、息子は妻の不倫という、それぞれが悩みを抱えていた。しかし、お互いにそのことに触れる機会がない。再び山荘を訪れたのは、息子の妻を交えた3人。他の男を好きになりながらも、腕を組もうとする妻。その腕をいつの間にか払っていた。再び山荘を訪れたのは、腹ちがいの妹と3人。こんな山奥にまで来て、ビデを見たがり、器機を借り、レンタル店を捜していく。母と父の危機を垣間見る。そして、過ぎていく日々。

 その悩みは深刻なはずなんだけど

山荘の自然に包まれたのんびり流れる時間の影響なんだろうか。何でもないように過ぎていく日々。ここでは、自分の中にある悩みを感じなくてもいいのかもしれない。感じなくても生きていけるし、感じる必要もない。感じなくても、それは悪いことではない。逃避と思わなくてもいいんだよと、そのジャージは黙って教えてくれる。しかし、それは一時のこと。現実の世界とのつながりを象徴するように、携帯のつながる空間がある。ついそこに足が向いてしまうし、そこにいかなければいけないような思いになる。そして、世の中が(現実が)刻一刻と変化していることを知る。何て言うのかなあ。現実の世界では、抱えている悩みに押しつぶされ、どの方向に行けばいいのか、どうやっていけばいいのかわからず、その気力もなくしてしまう。でも、ここでは、遠くからその悩みを、まるで自分から少し離れて見ているよう。トマトがたくさん集まってくることに、笑っていられる心の余裕があるんだ。それは山荘の力なのか、ジャージの影響なのかわからないけど、ちょっと現実から離れて見ることも必要なんだと思う。


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