■1997年 アメリカ 102分
■原題「Turbulence」
■2007.10.27 wowow
■監督 ロバート・バトラー
■出演
ローレン・ホリー(テリー・ハロラン)
レイ・リオッタ(ライアン・ウィーバー)
ヘクター・エリゾンド(アルド・ハインズ刑事)
ベン・クロス(ボーエン機長)
ブレンダン・グリーソン(スタッブス)
キャサリン・ヒックス(マギー)
《story》
「緊急事態発生! L.A、上空、操縦不能」
「管制塔は、残されたスチュワーデスに全てを託した」
クリスマスイブ。5人の乗客と2人の殺人犯と4人の護送刑事を乗せた旅客機が、ニューヨークを飛び立った。一人の犯罪者ライアンは無実を主張し紳士的な態度を取り、乗務員のテリーも好感的に感じた。もう一人の犯罪者は見るからに威嚇的だった。彼は、トイレに行き、ついてきた刑事を殺し、銃を奪った。テリーは人質になってしまったが、彼女を救ったのがライアンだった。パイロットの一人は、銃撃戦に巻き込まれて死亡。テリーが操縦室に行ってみると、もう一人のパイロットも乱気流で頭を打ち死んでいた。テリーは管制塔と交信し、自動操縦にセットした。客室では、ライアンが狂気の姿に変貌し、客たちに襲いかかっていた。テリーは、ライアンの本性に気づき、抵抗しながら、旅客機を操縦する。ライアンは、旅客機もろとも死ぬつもりだった。逃げられない空間でのテリーとライアンの戦い。無事に空港に着陸できるのか。
簡単に犯人に逃げられるなんて
映画としては、楽しめた。空を飛んでいる旅客機の中で、殺人犯と一対一で戦うスリルと同時に、パイロットのいないこの旅客機を着陸させられるかという、綱渡りをするような展開で楽しめた。執拗に旅客機を墜落させようと襲いかかる犯人。最初の、彼女の元に訪れたときは優しい男性だったのに、一変してしまった。護送刑事達のなんとだらしないこと。特に一緒にトイレに入った刑事は、目の前で凶器を手に入れていることに気づかないなんてね。アメリカではこうして民間の飛行機で犯人を護送するんだね。日本ではどうなんだろうか。一緒に乗り合わせたお客たちは災難だね。いくら無事に着陸できても、殺された者たちのことを考えるとハッピーエンドとは言えないね。この映画は、WOWOWの予定表を見て、いつか見たいと思っていた映画だ。ホラーと同じく、アクション、SF、サスペンスなど、五つ星にはならなくとも、見てみたい映画はある。肩の凝らない、余暇を使って何となく見る映画。映画館では見ないだろうなあ。余程お金と時間があるときだけ。そんな映画だ。無事着陸できてよかった。楽しめました。
■2005年 アメリカ 134分
■原題「BROKEBACK MOUNTAIN」
■2007.10.26 wowow
■監督 アン・リー
■出演
ヒース・レジャー(イニス・デル・マー)
ジェイク・ギレンホール(ジャック・ツイスト)
ミシェル・ウィリアムズ(アルマ)
アン・ハサウェイ(ラリーン)
ランディ・クエイド(ジョー)
リンダ・カーデリーニ(キャシー)
アンナ・ファリス(ラショーン・マローン)
スコット・マイケル・キャンベル()
ケイト・マーラ(アルマ・Jr)
《story》
「はじまりは、純粋な友情の芽生えからだった」
1963年、イニスとジャックはブロークバック・マウンテンの農牧場の季節労働者として雇われる。ともにキャンプしながら羊の放牧の管理をするのだった。次第に意気投合しはじめ、友情が生まれてくる。そして、ある日自然な形で肉体関係を持ってしまう。二人の関係は、心の中に罪悪感を抱きつつも、キャンプが終わるまで続き、二人は別れ別れとなった。
イニスは、アルマと結婚し、二人の子どもとともに、貧しいながらも慎ましい生活を送っていた。ジャックは、ロデオをきっかけに知り合った農機具販売会社の娘と結婚し、一児をもうけ、金銭面ではゆとりある生活を送っていた。ジャックは、数年ぶりにイニスに手紙を書き、会いにいく。二人は、ブロークバック・マウンテンの自然の中で愛を確かめ合う。イニスは、何度も仕事を休んではジャックと会い、家計は苦しくなっていく。そのことが原因でアルマと別れてしまう。その後も年数回の逢い引きを続ける。イニスは、働かなければ娘達の養育費が払えない胸の内をぶつける。ジャックは、こんなに愛しているのに数回しか会えない苦しみをぶつけるのだった。そして、イニスの元に突然の訃報が・・・。
あるのかな、こんなことって
よくわからないなあ。好きになることはあるかもしれない。でも、肉体関係って、どなってしまうのか考えてしまう。言葉以上に相手のことが気になったり、好きになったり、それを愛と感じたりすることはあるだろう。会いたくなることもあるだろう。でも、求めてしまうことは想像できない。だから、自分の家庭を壊してまで求めることが理解できない。友人と遊びすぎて家庭を顧みないならまだわかるのだが。
ただ、あの景色は最高だ。二人で羊を追う生活も最高だ。二人の関係も自然な関係だぞって言ってるみたいだけど、なんだかそう思わされているようで、自然の美しさと、禁断の関係は別。雄大な自然にあこがれるし、二人の親友としての関係もうらやましい。ただ、満足を得る関係は、そういうこともあるのかな、としめくくる。男女の関係以上に切ない、とは思えなかった。
公式サイト「ブロークバック・マウンテン」
■2006年 メキシコ/スペイン/アメリカ 119分
■原題「EL LABERINTO DEL FAUNO/PAN'S LABYRINTH」
■2007.10.25 サロンシネマ1
■監督 ギレルモ・デル・トロ
■出演
イバナ・バケロ(オフェリア)
セルジ・ロペス(ピダル大尉)
マリベル・ベルドゥ(メルセデス=大尉に仕える)
ダグ・ジョーンズ
(バン=牧神、ベイルマン=怪物)
アリアドナ・ヒル(カルメン=オフェリアの母)
アレックス・アングロ エウセビオ・ラサロ
パコ・ビダル フェデリコ・ルッピ
《story》
「だから少女は幻想の国で、永遠の幸せを探した」
1944年スペイン。内戦終結後もゲリラたちはフランコ将軍の圧政に反発。以前として戦いは続いていた。オフェリアはおとぎ話が大好きな少女。臨月を迎えた母とともに、再婚相手のピダル大尉の元に向かう。途中母の具合が悪くなって休んでいるとき、偶然拾った石が近くにあった石像の目にはまった。すると口から昆虫が飛び出てきた。将軍の屋敷の近くで、妖精になった昆虫のあとをつけて迷宮を見つける。そこにはバンがおり、オフェリアは地底の魔法の王国のプリンセスであると告げる。満月の日までに3つの試練を乗り越えれば、魔法の国に帰れるという。オフェンスは、試練に立ち向かう決意をする。
童話の中でハッピーエンド
現実は、あの冷酷なピダル大尉に殺されてしまうのだ。ピダル大尉は、他人の痛みなんて感じない。自分の痛みさえ感じない。ぬくもりのひとかけらもない。しかも頭脳は明晰、館はするどい。悪の道をのしあがっていく素質十分すぎるくらいだ。
現実は変えられない。オフェリアが魔法を使えるようになり、悪を退治して、親子共々幸せに暮らしましたとさ、で終われたら最高だね。しかし、現実と童話は重ならない。彼女がただ殺されたのではなく、試練を乗り越えて、童話の世界で英雄になれたことが何より幸せな結末だ。彼女は殺されたけど、ハッピーエンドだったと言えると思う。彼女の心の中は、魔法の国にたどり着くことができたのだから。
唯一、現実と童話の世界が重なった、あのミルクが入った洗面器の怪しげな木。母親を救ってくれそうだった。でも、暖炉に放り込まれてしまった。今一度、同じものを作っていたら、母親は助かったかもしれない。いや、やっぱり死ぬ運命だった。だから、焼かれてしまったのだ。
決して食べたり飲んだりしてはいけない迷宮で、彼女が口にしたぶどう。なぜなんだ。あんなに賢い子なのに。ここで食べさせてもらっていないわけでないと思う。何が彼女を誘惑したのだろうか。妖精たちが、「食べてはいけない」と何度も止めようとしたのに。それを振り払って食べてしまった。幸せへの誘惑。それとも、いたずら心。童話の世界の、必ず通る道。童話の世界のクライマックスに通じる道。言われたことをしなければいけない。でも、最後に弟を傷つけなかった。それが、大きな試練への道だった。心の中はすばらしいハッピーエンド。
公式サイト「パンズ・ラビリンス」
■1976年 アメリカ 130分
■原題「King Kong」
■2007.10.24 wowow
■監督 ジョン・ギラーミン
■出演
ジェフ・ブリッジス(ジャック・プレスコット)
ジェシカ・ラング(ドワン)
チャールズ・グローディン(フレッド・ウィルソン)
ジャック・オハロラン(ジョー・パーコ)
ジョン・ランドルフ(ロス)
ルネ・オーベルジョノワ(ロイ)
ジュリアス・ハリス(ボーン)
デニス・フィンプル(サンフィッシュ)
ジョン・ローン(中華料理店のコック)
《story》
ペトロックス社は新たな油田を求めて、南太平洋の島に調査船を送った。いつも霧に囲まれた伝説の島がそこにあった。動物学者のジャックは、その島が霧に覆われているのは、巨大な動物が生息しているのではないかと考え、調査船に密航する。ある日、漂流しているボートを発見。映画撮影のために香港に向かう途中嵐にあって難破した生き残りのドワンが乗っていた。。霧に包まれた島を発見した一行は上陸し、巨大な柵の中で生活する原住民を見つける。原住民は、ドワンを差し出すように要求してきたが、船に逃げ帰る。その夜、原住民は船に近づき、ドワンをさらう。ドワンは生け贄としてつながれた。現れたコングは、ドワンを丁寧に扱った。ドワンに愛情を持って接した。ジャックたちは、ドワンを救出するためにコングを追う。調査団は、コングで一儲けしよう、生け捕りにするための罠をしかける。ニューヨークに連れてこられたコングは、頑丈な鎖につながれていた。大勢の観客の前でコング披露のセレモニーが行われた。ドワンが囚われの演技をしているところに、多くの記者が押し掛け、襲われていると思ったコングが暴れ出す。鎖を断ち切って、ドワンを追う。ドワンを見つけたコングは、故郷の島の様子と酷似した世界貿易センタービルに向かう。その頂上で、戦闘機に撃たれ落下する。
懐かしく見ることができたね
最新の「キングコング」は、この1976年版以上の期待をしてしまう。それは、映像だけでなく、どれだけ感動できるかだ。コングとドワンの報われぬ愛情がどんな形で感動を与えてくれるかを考えてしまうからだ。そういう意味では、まだまだ1976年版の方が心に残った。無理はいっぱいあった。あまりに簡単な島の発見、巨大過ぎる柵、あれはどこの木を使ってどうやって作ったのだろう。コングの不自然な動き。コングを求めて、行きは難関を越えて行くのに、帰りはあっという間に帰り着いた。きっとつぶしてしまうだろう人を握る場面。どうやって船に乗せたのか。どうやって鎖につないだのか。謎は多いが、昔は単純なスト-リーで満足できた。今は、ついつい現実と比較してしまう。
当時、あのコングの手は話題になった。巨大な手、リアルに動き。ワゴンの胸をなでるシーンは、コングの無邪気な思いを表現してくれた。
金儲けしか考えない人間が命を軽んじるのはいつものこと。あの島で密かに暮らしていれば幸せだったのにね。人間の欲望の犠牲になったコングの悲哀さがある。現代の生き物たちも大なり小なり、こうした人間の欲望の犠牲になっているのだろうな。
■2006年 アメリカ 110分
■原題「Lady in the Water」
■2007.10.22 wowow
■監督 M・ナイト・シャマラン
■出演
ポール・ジアマッティ(クリーブランド・ヒープ)
ブライス・ダラス・ハワード(ストーリー)
ジェフリー・ライト(デュリー)
ボブ・バラバン(ハリー・ファーバー)
サリタ・チョウドリー(アナ・ラン)
M・ナイト・シャマラン(ビック・ラン)
フレディ・ロドリゲス(レジー)
《story》
「急いで、ハッピーエンドまで、もう時間がないわ」
「この秋、眠れぬ夜に贈る」
アパートの管理人クリーブランドは、電球を交換したり空調を修理したり、住み込みで単調な生活を送っていた。ある夜、クリーブランドは庭でストーリーという少女を見つける。彼女はプールの地下水路を住処にしていて、「ナーフ」という妖精であることをつきとめる。女子大学生の母が語る伝説と酷似していた。ストーリーは魔物に襲われ故郷に帰ることができないでいた。ストーリーは特殊な予知能力を持ち、アパートの住人への予言と運命がつながっていた。ストーリーを自由にするには、住人は一致団結して謎を解かなければならない。クリーブランドは、自分の過去を直視し、住人は自分達の運命を信じなければ団結はできない。そして、この賭けに挑まなければ、ストーーリーどころか人間の運命をも変えることができない。
まるでゲームみたい
大人が子どものように目を輝かせてゲームをやっているみたい。もっと幻想的な映像があるのかと思っていたが、期待はずれ。あのモンスターだけがうろうろしていて、現実に入り込んでいるけど、妖精はまるでそう思いこんでいるだけに見える。チラシは不気味なほど幻想的なのに、映画はクリーブランド一人が騒いでいて、仕方なく住人も参加しているみたいな感覚だった。
人間と水の中の妖精は元々仲が良かった。人間が水から離れてしまって、妖精を置き去りにした。平和をもたらす妖精がそばにいなくなり、人間戦争を繰り返すようになった。この伝説も無理があるように思えて仕方ない。全体的に無理して作った作品に見えた。
公式サイト「レディ・イン・ザ・ウォーター」
■2001年 アメリカ 133分
■原題 「I AM SAM」
■2007.10.21 DVD
■監督 ジェシー・ネルソン
■出演
ショーン・ペン(サム・ドーソン)
ミシェル・ファイファー(リタ・ハリソン=弁護士)
ダコタ・ファニング
(ルーシー・ダイヤモンド・ドーソン)
ダイアン・ウィースト(アニー=隣人)
ロレッタ・ディヴァイン(マーガレット)
リチャード・シフ(ターナー)
ローラ・ダーン(ランディ)
ブラッド・アラン・シルヴァーマン(ブラッド)
ジョセフ・ローゼンバーグ(ジョー) スタンリー・デサンティス(ロバート)
ダグ・ハッチソン(イフティ)
《story》
「いっしょなら、愛は元気。」
スターバックスで働くサムは、7歳の知能しかない。ある日、ホームレスの女がサムの子を出産。病院から帰る途中、その女は逃げ去り、サムは一人でその子を育てる。向かいに住んでいる引きこもりの女アニーの手助けを受けながら、サムの子ルーシーはすくすくと成長していった。ルーシーの7歳の誕生日に、ルーシーは保護施設に強制的に入れられてしまう。サムは、エリート弁護士のリタに弁護を頼む。社会奉仕の精神を同僚に見せるために、サムの弁護を引き受ける。サムの友人たちも障害があり、なかなかうまく証言できない。隣人のリタも勇気を出して証言台に立ったのだが、相手にやりこめられ自信をなくす。そして、サムは親権は認められたものの、ルーシーは里親と暮らすこととなる。サムは、その里親の近くに引っ越し、認められた時間にルーシーに会いに行く。ルーシーは、毎日夜中に家を飛び出し、サムの家にやってきるのだった。里親は、2人の深い愛情の深さを感じるのだった。
人を愛する気持ちは何より強い
何かのテストで7歳の知能だと判断されたとしても、心の中にある人を想う気持ちは誰よりもたくさん持っている。むしろ知能のことを言われない人間の方が、偏った愛情しか持てないこともある。動物たちだって、子どもを思う気持ちは、命がけで子どもを守ろうとする行動に現れる。
画一的に判断するのではなく、サムのサポートをする形で援助できる体制がほしい。けっこう私たちの身の回りでは、黒か白のようなどちらかに決めなければならないことが多い。それ以外の選択肢がないのだ。白だけど黒としての援助があってもいいのかもしれない。
私たちは、弱い立場の人に「援助する」と言う。しかし、リタのように助けようとして、自分が助けられていることがよくある。励まされたり、元気づけられたり、意欲をもらったり・・・。人は、愛情や一生懸命にがんばっている姿に心を動かされるものなのだ。サムとルーシーの未来は不安がいっぱい。でも、里親やリタやアニーたちがきっとサポートしてくれると思う。幸せに暮らしていけると思う。
ところで、ルーシーの母親はどこに行ったんだ。何をしているんだ。情けない。
■1999年 アメリカ 100分
■原題「Stir of Echoes」
■2007.10.21 wowow
■監督 デヴィッド・コープ
■出演
ケヴィン・ベーコン(トム・ウィツキー)
キャスリン・アーブ(マギー・ウィツキー)
イレーナ・ダグラス(リサ)
ザカリー・デヴィッド・コープ(ジェイク・ウィツキー)
ケヴィン・ダン(フランク)
ルシア・ストラス(シェイラ)
コナー・オファレル(ハリー)
《story》
「その叫びに、憑りつかれる」
「彷徨う声が、木霊する」
配線工のトムは、妻と一人息子の三人で、つつましくも幸せな生活を送っていた。ある日、妻の姉から催眠術をかけられ、「精神の扉を開け」と暗示をかけられたのち、一変する。トムは、破壊的な暴力的な幻想を見始めた。そして、自宅のソファーで女の亡霊を見た。トムの息子も、得体の知れない何かと会話していた。ある日、息子のベビーシッターとして来た女が、息子を連れだしたことから、女の姉のサマンサが行方不明になっていることを知る。そして、「掘れ」というメッセージを受け、庭や地下倉庫を掘り始める。ついにサマンサを発見する。彼女は殺され、そこに隠されていた。彼女の死の真相が明らかになっていった。
あっと驚かない結末
シックス・センスのようにはいかなかった。鳥肌が立つような驚きはなかった。そうだろうな、と思いつつ、そうなった。
最初に、サマンサの亡霊がソファーに現れた時は一瞬びっくりした。だから、それ以後の「びっくり」を期待してしまった。何もなかった。あっと驚かない結末なんておもしろくないよ。
「エコーズ」って何だろうと考えた。木霊、反響、死人から発するメッセージの反響かな。ここから出してほしいという訴えなんだろう。たまたま催眠術にかかったトムがいたから、その亡霊の声を聞くことができたけど、私のような鈍感な人間だったらどうするのだろう。何も気づかない、わからない。きっと、いろんな不幸な出来事で気づかせようとしてくるんだろう。それでも気づかずに、私は何て不幸なんだろうと嘆くのだ。
公式サイト「エコーズ」
■1955年 アメリカ 115分
■原題「EAST OF EDEN」
■2007.10.20 BS2
■監督 エリア・カザン
■出演
ジェームズ・ディーン(キャル・トラスク9)
ジュリー・ハリス(エイブラ)
レイモンド・マッセイ(アダム・トラスク)
リチャード・ダヴァロス(アーロン・トラスク)
ジョー・ヴァン・フリート(ケート)
ロイス・スミス(アン)
アルバート・デッカー(ウィル・ハミルトン)
バール・アイヴス(サム保安官)
《story》
1917年カリフォルニア州サリナス。農場を経営するアダム・トラスクには双子の息子がいた。兄のアーロンは真面目な好青年。弟のキャルは何を考えどんなことをするのかわからない無鉄砲で頑なところがあり、家族や世間と壁を作っていた。ある日、死んだと聞かされていた母を見つける。自分は、酒場を経営しているふしだらな母の血を受け継いでいるのだと考えるようになる。父のアダムに気に入られたいキャルは、冷凍レタスで大損した父の手助けをしたいと、母に頼み融資してもらい、大豆を育てる。戦争が起き、大豆は高騰し、大きな利益を得る。父の誕生日にそのお金をプレゼントしたが、どこで盗んできたのかとつっかえされる。逆上したキャルは、秘密にしていた母のもとに、兄のアーロンを連れていく。アーロンは、母に対し自分と同じ清く美しいイメージを持っていたため、父と母が別れた真相を知ると、自暴自棄となり、志願兵となって町を去る。信頼を置いていた息子のアーロンが去り、倒れた父は半身不随となり寝たきりとなる。アーロンの恋人のアブラは、キャルを許すように父アダムに語りかける。父はキャルを呼び、自分の世話をしてくれるように頼む。
あのやり切れなさ
ああ、あれがジェームズ・ディーンなんだ。何度かさらりと見た記憶があるが、今一度見て、あのはにかんだような素振りはまさしく彼なんだと思った。彼だからこそ、この映画は半世紀たった今でも輝いている。キャルの心を満たすためにどれだけのことが犠牲になったかを考えると、ハッピーエンドだとは言えない。アーロンはどなるのだ。恋人のアダムはキャルとともに生きるのか。死んでしまう父。息子との最悪な再会場面。このあとのあの母は・・・課題は山積みだ。父親から一言をもらうために、どれだけの犠牲をはらったか。彼がそれらを見据えられるようになったときに、新たな苦悩が始まるのだと思う。そう考えると、この一家は不幸をみんなが背負って生きていくことになるのだ。映画として、ジェームズ・ディーンのあの独特な演技を語るものとして、この映画はこれからも輝き続ける。
「エデンの東」神に背いたアダムとイブという人間世界と神の世界を隔てる場所。人間が神の世界に入ってこないように、燃えて回る火の剣が置かれているところ。神の祝福のない場所。それがキャルのいた場所。多分、これからもそこから離れられないのだ。
■1984年 日本 102分
■2007.10.17 BS-i
■監督 大林宣彦
■出演
原田知世(桂木万里)
高柳良一(タロウ・ワタナベ=日系三世)
峰岸徹(深谷有一) 赤座美代子(村田圭子)
エティエヌ・ワモウ(酋長)
ジル・ピーターソン(トム)
ジョルジュ・ワヘオ(ジェローム)
泉谷しげる(タイチ・ワタナベ=タロウの父)
高橋幸宏(桂木次郎)
小林稔侍(青山良男)
小河麻衣子(山本福子)
入江若葉(マダム・ヒロコ) 室田日出男(西尾久造)
松尾嘉代(桂木光子) 乙羽信子(石川貞)
《story》
桂木万里は、幼い頃に父に聞いた「天国にいちばん近い島」の話が忘れられないでいた。いつかいっしょに行こうと言っていた父が急死し、高校生ながらも冬休みを利用して旅に出る決意をした。目指すはニューカレドニア。ツアーでの参加だったが、現地では自転車を借りて一人で散策。そのとき、日系三世のタロウと出会うが名前も聞かずに分かれてしまう。その後、万里の話を聞いた深谷という男が、イル・デ・バン島に彼女を案内するが、思う島ではなかった。再び再会したタロウに教えられた島にも行ってみたがそこもちがっていた。万里はその島でエイにさされ倒れてしまう。ツアーの滞在は過ぎ、一人取り残されてしまった。ホテルを追い出され、タロウの家に行った。次の日、エッセイストの村田圭子と戦争未亡人、石川貞が訪れる。石川が滞在しているホテルに万里は移る。そこで、村田と深田が出会う。彼らは20年前の恋人どうしだった。万里の仲立ちで、離ればなれになっていた愛をむすび合うことができた。一方、タロウは手紙とお金を万里の荷物とともに送る。その手紙には、これで「日本に帰ってください」とあった。万里は、すぐにタロウのもとに飛んでいく。そしてタロウに告げる。「天国にいちばん近い島を見つけた」と。
何が天国なの
そういえば学生の頃、この本を読んで同じ思いをしたことがあった。題名にわくわくしながら読んでいくんだけど、結局何が天国なのかわからずじまいだった。今でもそうだけど、「天国」のイメージがはっきりしないのだ。極楽浄土や天使の住む天国を思ってしまう。そこで、不思議なことが起こり、死んだ父親と会う。またはこの世ではありえないことが起こってあっと言わせる。そんなことをいつの間にか想像していたのだと思う。今回は、映画では何を天国と言っているのか確かめたくて、昔の原田知世が見たいのと、大林監督だから何か発見があるかもしれないと少し期待しながら見た。しかし、演技がイマイチ。時をかける少女では良かったが、あのままではね。ニューカレドニアに着いたとき、自然を天国というなら、その国自体が天国だと言えるだろうな。連れて行かれた島だって美しい空や海、緑がいっぱいあった。原住民だって親切だった。いったい何を天国というのだろうと、最後まで見たが、結局恋したことだったんだ。がっかりで終わった。戦争未亡人がここで登場する意味、タロウの存在。深田と村田の恋って何。頭が悪くて結びつかなくて、何かちぐはくのような気がして消化不良だった。ニューカレドニアである意味がわからない。
■2007年 日本 106分
■2007.10.14 シネツイン2
■監督 荻上直子
■出演
小林聡美(タエコ=大学の先生)
市川実日子(ハルナ=高校の先生)
加瀬亮(ヨモギ=タエコの生徒)
光石研(ユージ=浜田の主人)
もたいまさこ(サクラ)
薬師丸ひろ子(マリンパレスの女将)
橘ユキコ 中武吉 荒井春代 吉永賢
里見真利奈
《story》
「何が自由か知っている」
春先のある南の町、小さな飛行場にプロペラ機が着陸した。「来た!」ユウジたちは浜辺の海の家の準備をして、その女性サクラを迎える。送れて、思いトランクを引きずって砂浜を横断し、宿舎の浜田に到着したタエコ。迷わずにたどり着いたタエコは、ユージに「ここにいる才能がありますよ」と言われる。朝目覚めると、足下にすわってあいさつするサクラ。浜辺で行う不思議な「メルシー体操」・・・浜辺の海の家でサクラにすすめるかき氷。落ち着かないタエコは、もう一件のホテルに向かう。しかし、そこは働く体験ホテルだった。すぐにそこを飛び出し、元の浜田に向かうが、重いトランクをひきずりとぼとぼと農道を歩く。サクラは自転車に乗り迎えにいく。後ろに乗せてもらうタエコ。どういうわけか、ハルナたちはタエコをうらやましがる。タエコを探しにきたヨモギを交え、たそがれる経験をする。物々交換のかき氷・・・不思議な空間にタエコは癒されていく。
何となく癒される空間
これは何なんだろう、と首をかしげたくなるけど居心地がいい。大きな感動も、登場人物の詳細な説明も、びっくりするような転換も、何もないんだけど、ほのぼのとしてくるのはなぜなんだろう。正直言って、何度も見たくはならない。映画館で何気なく見るのにちょうどいい。つまらなくてあくびがでるわけでもない、切なくて涙があふれるわけでもない。でも、そこに行ってみたくなる。黄昏れてみたくなる。浜辺でかき氷を食べたくなる。のんびり本でも読みたくなる。毎日の仕事を、ちょっと休んでみたくなる。それでもいいと思いたくなる。そんな不思議な映画だ。お金があれば・・・時間があれば・・・とつい現実と比べたくなってしまう。ふらっと町を出ることなど到底できるわけはない。せいぜい映画館にふらっと出かけるくらいだ。それも後ろ髪を引かれながら。映画館に入ったらそれも忘れてしまうけど。またいつか何となく見たくなる映画だろう。
ところで、なぜ題名が「めがね」なのか。みんなめがねをかけているから、なんて理由にならない気がする。めがねに秘められたものは何なのか。あるけど意識しないもの。いつも意識していないし、その存在価値なんて考えたことないけど、朝になればそれを探し身につける。本当はとっても大事なもの。
公式サイト「めがね」