そよかぜから-映画

見てきた映画の記録です
ネタばれあるかも、気をつけて

丘を越えて

2009年08月12日 | 人間/社会派ドラマ


2008年 日本 114分
■2009.5.24 日本映画専門チャンネル
■監督  高橋伴明
■出演
   西田敏行(菊池寛)  池脇千鶴(細川葉子)
   西島秀俊(馬海松)  余貴美子(細川はつ)
   嶋田久作(佐々木茂索).  猪野学(長谷川伸策)
   峰岸徹(細川徳蔵)

 《story》

「讃えよ、わが春を」

下町育ちの細川葉子は、女学校卒業後、知人の紹介で文藝春秋社の面接を受ける。社長の菊池寛の目にとまり、個人秘書となる。菊池との活動は下町とはちがった魅力があり、菊池のだれをも包み込む温かさに惹かれつつも、葉子は若い編集者である馬海松への恋心を深めていく。満州事変が勃発し、馬は母国朝鮮に帰ることになる。

 菊池寛という名前は知っている。でも実際の人物については知らない。この映画はフィクションだというが、どこまで作られていて、どれが実際に近いのか分からない。豪快で優しい人物像のようだ。小説や雑誌を作ろうとするあの時代の活気が魅力。のんびりとはしていないのだろうが、時間がゆっくり流れているように感じる。戦争さえなかったら、生きている歓びにあふれているのかもしれない。振り返ればよき時代とも言えるのかも。

 公式サイト「丘を越えて」 


三たびの海峡

2009年08月11日 | 人間/社会派ドラマ


1995年 日本 123分
■2009.5.24  日本映画専門チャンネル
■監督  神山征二郎
■出演
   三国連太郎(河時根)  南野陽子(佐藤千鶴)
   風間杜夫(徐鎮徹)  永島敏行(金東仁)
   岩城滉一(安川)  李鐘浩(河時根の青春時代)
   林隆三(佐藤時郎)  白竜(黄錠壽)
   伊佐山ひろ子(黄英姫) 趙方豪(玄泰遠)
   樹木希林(ハルモニ)  泉ピン子(幸子)

 《story》

「許しますか。憎みますか。」

韓国・釜山で暮らす元在日韓国人の河のもとに、同胞の除が尋ねてきた。50年前の太平洋戦争末期の日本での出来事が脳裏に蘇る。河は、北九州の小さな炭坑に連行され、山本三次労務監督のもと、地獄のような生活を送った。脱走した者には、すさまじいリンチ。中には自殺する者もいた。河は、命がけで脱走し、逃げ切る。そこで働き、日本人の千鶴と恋におちる。終戦を迎え、千鶴とともに韓国に渡る。しかし、韓国では日本人女性を連れた河は村八分にされる。千鶴は、生まれた子どもを連れて、ひとり日本に戻る。以来、河は千鶴や子どもと顔を合わす子ことなく50年を過ごす。不治の病に冒された河は、日本に渡る決意。炭坑跡の仲間達の墓に参り、息子に会う。選挙に出馬していた山本を見つけ、同胞の墓に連れてくる。そこでもみ合いとなり、山本を殺してしまう。河もまた、病のために力つきる。

戦争は悲惨な出来事ばかり。その中でも、差別が一番いやだ。人間の弱さがそこに出てしまう。私も弱い人間だから、きっと差別的な言動を平気でしてしまうにちがいない。あとで後悔するかもしれないけど。戦争状態の中で、小心者ほど弱い立場の人間を見つけ苦しめる。自分の苦しみを押しつけることで、自分が楽になろうとしたり、不満をはらす。そうなりたくないと思う。どんな状況の下でも、人の事を考え大切にできる自分になりたい。助けを求められたとき、その人の立場になって、できるだけの行動がとれる人間でありたい。河さんも、そんな人たちの力で生き抜くことができたのだ。