さっちゃん 空を飛ぶ

認知症で要介護5の妻との楽しい日常を 日記に書き留めたいと思います

久し振りのさっちゃんとの山歩きは大変でした!

2019-11-24 23:51:08 | 山登り
このブログを書くのには、個人的な感覚ではありますが、かなりの精神的エネルギーが必要です。
「トイレ」や「デイサービス」カテゴリーなど馴染みのテーマでも気持ちを入れこまないと書けません。
「山登り」カテゴリーは楽しい気持ちで書ける分野だったんですが、だんだんと書くのに気が重くなるようになって来たのは確かです。

そんなこんなで、これから書くブログは2ヶ月以上以前9月19日の山登りの記録です。
写真選びや花の名前を調べたり、書く前に準備時間が必要なのは当然なのですが、上記のことなどもあって遅れてしまいました。

夏のいちばん暑いころは沢歩きをしていましたから、山歩きは2ヶ月ぶりです。
さっちゃんの山歩き体力は落ちているでしょうから、登高距離を押さえたコースを選びました。
万が一のことも考えて、ケーブルカーのある御岳山周辺のコースを選びました。


▲御嶽駅から多摩川へ降りて、御岳渓谷沿いの遊歩道を上流へ歩きます。このあたりはカヌー競技の練習場としても有名ですから、平日でも急流にチャレンジしている人がいました。

途中の橋を渡って、御嶽神社方面へ向かいいます。


▲御岳渓谷から上の道路へ上がると、御嶽神社への入り口となる鳥居が見えます。この鳥居をくぐって道路を登って行きました。

バス道路へ入り、広々とした駐車場があったので、さっちゃんに「おしっこする?」と尋ねます。
「する」との返事なので、観光用駐車場の奥へ連れて行きますが、だんだん漏れてしまいそうな雰囲気に。
僕がズボンとパンツを下ろそうとすると、何故か嫌がって抵抗します。
何とか脱がせて、腰を下ろさせようとすると益々抵抗します。
結果は明らかですよね、パンツもズボンもかなり濡れてしまいました。
その後も、トレペで拭かせてくれません。
それでも、何とか少しは力ずくで拭いてあげました。

多分、その力ずくが逆効果だったのでしょうけれど、僕がさっちゃんに近づこうとすると離れて行きます。
下ろしていた自分のザックも背負わないまま、ここの広くて、1台も駐車してない駐車場の奥へ歩いて行くんです。
広い駐車場の端には一軒の家が建っていて、その家の裏、山側へ進んで行きます。
僕も付いて行くしかありません。
さっちゃんは駐車場の端から藪へ突入して行っちゃいました。
でも、その藪は枯れた笹竹メインでしたから、さっちゃんの力では前進できない厄介な代物。
僕はさっちゃんの手を引っ張って「ここは無理だよ。あっちから行こ!」と説得を試みますが、
さっちゃんは僕の手を振りほどきながら、大きな叫び声をあげるんです。

そこは駐車場の端の家の裏でしたから、さっちゃんの叫び声に気付いてその家の女性が窓を開けてこちらを見ています。
僕がハイキングに来たこと、さっちゃんが認知症なこと、この藪を進もうとしてることなど、事情を説明。
その女性(さっちゃんと同年配くらいでしょうか?)が「そこは無理よ。行けないわ。こちらへ回って、道路へ行かないと」
そう、さっちゃんに言うと、さっちゃんは素直に道路の方へ歩みを進めました。

道路へ出ると、玄関からその女性も出て来てくださって、「しばらく一緒に歩きましょうね」と、さっちゃんと歩いてくれました。
まだ僕には腹を立てていますから、本当に助かります。
この時点で僕は今日の計画を全面的に変更しました。
当初の予定では、すぐ先で左に分かれ、その林道の奥から一般登山道ではない尾根を登るつもりだったんです。
ただ、さっちゃんがこういう状態では歩いたこともなく情報もない未知の尾根は無理でしょう。
ケーブルカーを使って、まずは標高を稼ぐことにしました。


▲さっちゃんが振り返って見送っている女性が、この親切な女性です。この橋までさっちゃんと一緒に歩いてくださいました。最後にお願いして、さっちゃんのパンツを上げてもらったり、ズボンのチャックを閉めてもらったりしました。僕にはさせてくれなかったからです。「あら、濡れてるわね」とパンツを上げながら、おっしゃってましたね。

この方がいてくださらなかったなら、この日の山行はどうなっていたでしょう?
本当に親切で思いやりのある方でした。
ここを通る機会があれば、必ずお礼に伺おうと思っていますが、まだそのチャンスは来ていませんね。


▲ケーブルカーを使って登って来ました。さっちゃんが右膝の骨折をした後のリハビリ山行では何度も下りで使ったことがありましたが、登りで使ったのは初めてかもしれません。


▲後ろの藤棚の下で遅い朝食にして、いよいよこれから山歩きです。大塚山を経て古里駅へ下るコース。さっちゃんは先ほどまでの僕に対する怒りのようなものは消えてなくなっているようですね。普段のさっちゃんに戻っています。


▲この日は御嶽神社には寄らず、反対側の山道を進みます。ケーブルカーを使用しましたから、これからはほぼ下りの道。ときおり登りもありますが、ほんの僅かです。


▲大塚山で休憩タイム。このテーブルの左手前の大塚山山頂を経て古里駅へ下山するのです。

休憩後、さっちゃんは突然なぜだかへそを曲げてしまいました。
大塚山山頂とは逆の、ここまで来た道を戻って行ってしまいます。
さっちゃんが置きっぱなしにしたさっちゃんのザックも持って、僕は追いかけました。
「さっちゃ~ん! そっちは違うよ、逆だよ!」と叫びながら追いかけても、さっちゃんは止まりません。
追いついて、肩を掴んでも振り払われてしまいます。
あまり強引に止めるわけにもいきいませんから、どうなることやらと思いながら付いて行くしかありません。
すると、山道の分岐点が出て来ました。
まっすぐ行くと、たった今歩いてきた道なんですが、さっちゃんはどうしてだか、左の山道を戻るように進んで行きました。
どうやらその左の道は大塚山の巻き道で、古里駅への登山道でもあるようでした。
ほっ。
ザックも背負ってくれました。


▲大塚山を巻いている最中ですね。


▲だいぶん降りて来ましたね。広葉樹林の中で休憩。ここで何か事件があったか否かは忘れましたね。


ヤマジノホトトギス。庭で咲いている園芸品種のホトトギスと違って、1輪、せいぜい2輪しか咲きませんから、本当に愛おしいですよね。


アキギリ。


▲里まで降りて来て、さっちゃんにもやっと笑顔が出ました。


▲古里駅のホームです。いろいろありましたけれど、楽しかったなあ、そんな表情をしてくれています。

休憩も含めて6時間ほどの山行でしたけれど、様々な大変な課題を感じました。
さっちゃんの体力が落ちてくるのは年齢的にも仕方のないことでしょうけれど、
山へ登る意欲というか、山登りが自分は好きなんだという気持ち
最近のさっちゃんは忘れてしまっているような気がして、とても心配です。
「今度山へ行くけど、さっちゃんも行く?」と聞くと、必ず「行くよ」みたいな返事が返って来てたのですが、
明瞭な返事がないことも増えてきました。
じゃあと、「山へは行かないで家に居ようか?」と問うと、「それでもいいよ」みたいな返事だったりするのです。
山へ来てしまえば楽しそうなんですが、朝、家を出る際には、これから山へ行くんだという楽しい気持ちはないようですね。
ですから、家を出るまで、家を出てから駅へ着くまでが大変になって来ています。
途中で「帰ろう」と言い出したりしますからね。
コメント
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