2025年4月某日とうとう85回目の誕生日を迎えた。
サプリメントの力を借りながらだが、認知機能はいたって健全と思い込んでいたら、視聴覚機能同様にいささかお粗末な経験をしてしまった。
琴の始まりは自家用車の廃車を考え始めてどこに頼んだらいいのだろうと検索したところから・・。
いきなり豪勢なホームページが現れて、手続きその他すべてをその会社〈カー・ネクスト〉がやってくれて、おまけに事故車でもなにがしかで買い取ると宣伝文句が並んでいる。
こちとらの自動車は大事故など起こさぬうちに廃車にしようという考えだから、走行距離は6万キロ未満で日々の買い物には欠かせない足だった。
それでも前回やっと自動車運転免許証の視力検査をパスした苦労を思い出し、次の高齢者認知機能検査や試験場まで行っての実地技能検査が煩わしくなって廃車を思い立ったのだ。
そうした心の迷いに付けこむようなカー・ネクストの誇大広告にまんまと引っかかった。
バカ正直に個人情報打ち込むと某月某日に査定のドライバーを差し向けると24時間受付の女性スタッフから返事が来た。
当日電話を待っているといきなり女性の声で僕の自宅近辺まで来ているという。
朝の9時ちょうどである。
おやおやカー・ネクストの女性スタッフから何らかの指示があるのかと思っていたら、それは差し向けられた女性ドライバーからの電話だった。
「え? こんなに早く・・」
こちらが慌てた。
目印の場所まで行ってみると確かに女性の姿が・・。
「クルマで来たんですか」
「いえ、電車とバスを乗り継いで」
「ひやー、それはご苦労様。それでどこから?」
「千葉です」
「それは大変だったね」
隣の隣の県から来たと聞いて、こちらが恐縮してしまった。
「じゃあ、駐車場まで行きますか」
僕が先に立ってクルマまで案内した。
〈つづく〉
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