ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

軍鶏

2006年03月31日 | 俳句雑考

民家の庭すみに鶏小屋があり、軍鶏が餌を啄んでいた。
カメラのシャッターの音をひびかせているうちに、くちばしを噤み、赤い顔をさらに真っ赤にした。
画像は30日、白井市清戸で撮した。

   八方を睨める軍鶏や芋畑     茅 舎

引用句の軍鶏は、ひきつれている大勢のめんどりに、睨みをきかしているのだろうか。


保育園の花見

2006年03月30日 | 俳句雑考

桜の名所の小室公園(船橋市)のなかを、そろいの赤い帽子をかぶった幼児たちの列が通った。
ふたりずつ手をつないでおり、保育園の花見らしかった。
しんがりのふたりが道草をくって、列から遅れたので駆けた。駆けているうちに男の子の帽子がずりさがり、目がみえなくなったので、女の子が直した。
画像はきょう30日に撮した。

   ふらふらと来ては花見の留守居かな     丈 草

引用句の留守番役は、家と桜のあいだを行ったり来たりしているのだろうか。


夢の花

2006年03月29日 | 俳句雑考

ことしもリラの花が咲いた。
昨年はそのことを4月24日付の日記に書いた。
画像はきょう29日、印西市西の原で撮した。

   真昼間の夢の花かもリラの花   友 二

作者は桜を見ると、つぎのように詠じている。

    今生の今日の花とぞ仰ぐなる   友 二


諸葛菜

2006年03月28日 | 俳句雑考

諸葛菜が咲きほこっていた。
むかし、先輩から花大根と教えられ、ながいこと、そう思っていた。
あるとき、女流俳人から、
「大根には、大根の花が咲くでしょ」
と、あきれかえられて、自分および先輩のうかつさを反省した。
いま、あらためて調べてみると、花大根の別称を認める歳時記と、認めない歳時記があった。
画像は27日、印西市深草で撮した。

      足もとに点るむらさき諸葛菜      時 彦

歳時記には、諸葛菜はムラサキハナナ、オオアラセイトウ、ヒソクサイともいうと載っている。


叱られて

2006年03月27日 | 俳句雑考

日曜日のきのう26日、中学校の校庭で女子チームがソフトボールの試合をおこなっていた。
ワゴン車が何台もとまっており、対校戦のようだった。
試合が終わると、陣をつくって、指導者の話を熱心に聞き入るチームがあった。指導者は大きく股をひらいていた。選手のかたい表情から判断すると、指導者は叱っているらしかった。数枚撮った写真のどれも、カメラの方を見ている選手は、だれもいなかった。
画像は印西市西の原で撮した。

   叱られてゐて風鈴を聞きゐたり       鈴 風

作者は「おなじことを、何回いわせるのだ」と、叱られていると思う。


三味線草

2006年03月26日 | 俳句雑考

公園に若い母親が乳母車を押して現れた。
草が萌えはじめたところで、乳母車をとめて、なかから幼女をそとに出した。
幼女は草を摘みはじめた。
画像は24日、本埜村滝野で撮した。

   摘み来しは三味線草の類かな   夜 半

蕪村に有名な「妹が垣ね三味線草の花咲きぬ」という句があるが、ながい間、三味線草は特別の花で、めったに見ることができないと思っていた。
引用句の作者は、正確には三味線草を知っているのだろうか。そうではないのだろうか。


踏ん張って

2006年03月25日 | 俳句雑考

殺風景な民家の庭に、大木の根もとが置いてあった。
よそから運ばれて、ここに置かれたのか、ここに生えていたのが、このようなかたちになったのか、わからなかったが、安定感があった。
テレビで大相撲を観戦していると、大木の根もとを連想した。力士のしきりとイメージが重なったようだった。
画像は19日、印旛村岩戸で撮した。

   踏ん張つて四十を越えぬ相撲取      羅 川

相撲は秋の季語。秋の風趣がテーマと受けとった。


おやまの大将

2006年03月24日 | 俳句雑考

男の子が数人、遊びまわっていた。
ひとりは工事現場の道具のような棒を持っていた。石碑のうえにかけあがると、棒をふりまわして、みんなに指図しはじめた。
ちびっこ野球の四番打者がつとまるような、怪力の持ち主だった。おやまの大将らしかった。
近寄ってみると、碑上の子は髪の毛がながく、赤っぽい靴をはいていた。
「その棒はどうしたの」
と、聞くと、
「落ちていたので、拾いました」
と、ていねいにこたえた。棒を手にとってみると、発泡スチロール製で、なかがくり抜いてあった。棒を返しながら、
「女の子なんだね」
「男です」
「髪の毛がながいけど」
「2年のときから、伸ばしました」
と、いうので、べつの男の子に聞いた。
「どう見ても、女の子に見えるよね」
その子はこたえた。
「見えません」
画像は23日、西の原公園(印西市)で撮した。

   腹当や男のやうな女の子     筍 吉

引用句の女の子は、金太郎のイメージにそっくりなのだろうか。


新米新酒

2006年03月23日 | 俳句雑考

本埜村中根の奥津城に出かけた。
墓前には新鮮な供花にかこまれて、ワンカップが供えられていた。容器には「新米新酒 一番しぼり」と記されていた。
以前に訪ねたとき、ミニチュアの缶ビールが供えられてあったことを思いだした。
画像は彼岸明けの23日に撮した。

   だぶだぶと桝をこぼるゝ新酒かな     牛 伴

もちろん、枡は大きな受け皿に乗っているイメージが思いうかぶ。


古草と新草

2006年03月22日 | 俳句雑考

農家の庭の一角で、山羊がみどりの草を食べていた。
角がはえていなければ、白豚とまちがえそうなほど、よく肥えていた。
画像はきょう22日、本埜村龍腹寺で撮した。

   新草を古草つつむ妻癒えむ   渚 男

作者は古草のしぐさを吉兆と受けとったのであろう。


黄水仙

2006年03月21日 | 俳句雑考

路傍に黄色い水仙が咲いていた。
画像はきょう21日、印旛村岩戸で撮した。

   道端の垣なき庭や黄水仙         普 羅

歳時記によると、白い水仙は冬、黄色い水仙は春の季語。
画像の背景の藁葺きの家に近寄ってみると、石垣の尽きるところ、生垣 がつづいていた。


辛夷と雲

2006年03月20日 | 俳句雑考

辛夷の蕾がようやくふくらみ、春の雲と白さを競っていた。
画像はきょう20日、西の原公園(印西市)で撮した。

   一弁のはらりと解けし辛夷かな    風 生

公園の辛夷のそれぞれの蕾も、解けているとしても、まだ一弁だった。


春雨じゃ

2006年03月19日 | 俳句雑考

今朝、外をみると、けむるように雨が降っていた。
マンションの屋上のアンテナに、野鳥のつがいが休んでいた。鳩と雀の中間くらいの大きさで、公園などでよく見かける鳥に似ていた。
この際、名前をおぼえようと思って、いろいろ調べてみたが、わからなかった。
画像は印西市西の原で撮した。

   楢林春禽微雨を愉しめる      麦 南

歳時記によると、この季節に見かける野鳥で、名前がわからない場合は、「春禽」ですませていいらしい。
画像の春禽も「春雨じゃ,濡れて参ろう」の気分のようだった。


梅とヒマラヤシーダ

2006年03月18日 | 俳句雑考

東祥禅寺のちかくの民家の塀越しに白梅を眺め、写真におさめようと液晶モニターをのぞいた。
アングルをいろいろ変えているうちに、梅の木のうしろに林立している常緑樹に注意を引かれた。帰宅して調べてみると、ヒマラヤシーダのようだった。
2日まえ、東祥禅寺の檀徒から、甘茶の花らしい赤い花をヒマラヤシーダと教わったが、植物図鑑によると、花は咲かない木だった。
画像はきょう18日、印旛村瀬戸で撮した。

   老梅に老残といふもののなし      ひろし

画像の梅も老梅であろう。かたちでは梅を見習えないので、せめてこころを見習いたいと思うが、それもできない。

  トントンさんへ

いつもコメントをありがとうございます。東祥禅寺で16日に撮したのは、つぎの花でした。


甘茶の花

2006年03月17日 | 俳句雑考

東祥禅寺(印旛村瀬戸)の境内に、赤い小さな花が咲いていた。
檀徒らしい男が手ぶらで、山門の脇から入って、近づいてきたので訊ねると、
「ヒマラヤシーダだね」
ヒマラヤシーダは、クリスマスツリーにする杉の一種ではなかったかと、首をひねっていると、こんどは僧坊から高齢の梵妻が現れたので、おなじ質問をしたが、笑みをうかべて黙っている。
袖を引っ張られたので、そちらに顔をむけると、檀徒がじぶんの耳を指でさしていた。梵妻は耳が遠いというサインらしかったので、大きな声で重ねて聞くと、
「甘茶の花と聞いてます」
と、梵妻はいった。
すると、また袖を引っ張られたので、檀徒をみると、こんどは指で軽く頭を叩いていた。梵妻は頭がおかしいというサインらしかった。
檀徒が梵妻に説教をした。
「顔をみると、風邪が治っていないのに、寝ていないで、ふらふらと外に出ては、死んでしまうよ」
「いいんです。このごろ、さきに死んだひとたちが、うらやましくなりました」
と、応えたので、横から口を挟んだ。
「どうして、うらやましいのですか」
「なにもしないで、すむでしょう」
「おいくつになられましたか」
「86、くらい」
「くらい、ですか」
「正確な歳は、忘れてしまいました」
と、恥じらいをみせた。
画像は梵妻と檀徒。石塀の上の赤い花が甘茶。16日に撮した。

   地を指せる御手より甘茶おちにけり   草田男

歳時記には、甘茶が灌仏会の象徴として載っていたが、その花は見あたらなかった。