ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

仏の座

2006年02月28日 | 俳句雑考

道ばたにピンクの可憐な花が咲いていた。
帰宅して、いろいろ調べたところ、仏の座らしかった。
仏の座は、草は春の七草に入っていたが、花は手元の歳時記のどれにも載っていなかった。俳人好みの名前と思ったが。
画像は27日、印西市草深で写した。

   仏縁のある草やこれ仏の座    三幹竹

引用句は七草粥の例句から選び出した。
花が歳時記に載っていないのは、可憐なすがたと、仏の座という名前とのイメージが合わないせいか、と考えてみた。
七草の方の仏の座は、ピンクではなく、黄色い花が咲く田平子のこと、という解説もあった。


目高

2006年02月27日 | 俳句雑考

上品な面立ちの婦人が、熱心に池をのぞき込んでいた。
目高を見にきたのだそうだ。
「ことし初めて、さっき、ちらと見えたのですが、散ってしまって、見失いました」
と、いって、捜しているのだった。
一緒にのぞき込んでみたが、わからなかった。まわりに人影はなかった。
やがて婦人が、
「いました。いました。ほら、ほら」
と、おおきな声で池の面を指さした。
目を凝らしているうちに、2センチほどの目高の群が見えた。カメラに収めたが、写っていなかった。
画像はきょう27日、北総花の丘公園(印西市)で写した。

   目高ゐるとのぞきゐる子にまだ見えず      立 子

句意は、目高を見たという子に案内してもらって、その現場に行ったものの、その子が目高を再発見できないでいる、と解釈した。


大きなバッグ

2006年02月26日 | 俳句雑考

女子中学生たちが校門を出て、談笑しながら家路についていた。
なにが入っているのか、大きなバッグを提げたり、負ったりしていた。
画像は23日、印西市西の原で写した。

   退院の荷のこまごまと木の芽雨     由美子

長期入院だったのであろう。雨は雨でも、木の芽雨は明るさを感じさせる。


三椏の花

2006年02月25日 | 俳句雑考

農家の庭先に三椏の花が咲いていた。
ことしは梅や水仙がようやく咲いたが、この三椏はだいぶまえから咲いていた感じだった。
画像は23日、印西市深草で撮す。

   三椏の銀より金へ婚なりぬ     信 子

三椏の蕾が開花したときの色彩の推移。銀婚さらに金婚へと幾久しく、とまでは、言わぬが花の祝婚句と解釈した。


少年と少女

2006年02月24日 | 俳句雑考

野球の帰りらしい少年が、自転車をとめて信号待ちしていた。
青信号に変わったので、さっと渡るはずなのに、停まったままだった。
少年の顔がむいている方から、少女が歩いてきた。
画像は18日、印西市西の原で撮した。

   少年の見遣るは少女鳥雲に    草田男

歳時記によると、「鳥雲に」は、去っていく渡り鳥が雲間にかくれて見えなくなること。
引用句は、少女は鳥がかくれた雲を眺めているのだろうか。


屋根づくり

2006年02月23日 | 俳句雑考

上棟式が終わって、屋根をつくっていた。
まず屋根をかぶせないことには、雨の日は仕事にならない、というわけなのだろう。
画像はきょう23日、印西市草深で撮す。

   寒垢離や信心堅き弟子大工           子 規

信心が「深い」と「堅い」は、おなじようで、ちがうように思える。


杉と欅

2006年02月22日 | 俳句雑考

路傍に杉と、欅らしい木が並んでいた。
杉の太い根が欅を越えて延びていた。道に出ようとする欅に対し、危ないからやめたほうがいいと、根で制しているようにみえた。
しかし、考えてみると、杉にそのような善意があるはずがなかった。杉は重心を保ちながら安楽でいるために、欅の膝を借りているのかもしれなかった。
画像は10日、本埜村龍腹寺で写した。

      富士薊子の頭(づ)に手載せ父憩ふ    民 夫

父子で富士山に登ったときの吟詠。薊が咲いていたので、立ったまま一休みしたとき、父にとって、ちょうど手を休ませたい高さに、子の頭があったのであろう。


相撲

2006年02月21日 | 俳句雑考

公民館の床でちいさな男の子が相撲をとっていた。
カメラをむけると、やめてしまったので、
「相撲つづけてよ。カメラで写したいから」
と、頼むと、カメラにむかって構えた。
画像は6日、印西市原で写した。

   引組んで猶分別や角力取     太 祇

がっぷりと四つに組みながら、まわしを握りなおしているのであろう。


男ひとり

2006年02月20日 | 俳句雑考

公民館のロビーで、男がひとりパソコンを扱っていた。
自宅でしないのは、家族と離れて、ひとりになりたかったのだろうか。
画像はきのう19日の日曜日、印西市原で写した。

     ものつくる時みな一人暮の秋       紀 子

最近のサラリーマンは朝、出社しないで、自宅のパソコンで仕事をしてるという話を聞いた。年老いた親がそばにいると、仕事のじゃまになるという話も聞いた。


街灯と裸木

2006年02月19日 | 俳句雑考

朝、9時過ぎても街灯は点いたままだった。
どんよりと曇って薄暗いので点したのか、朝、消し忘れたのかは、わからなかった。
街路樹のメタセコイアは、まだ裸木のままだった。
画像はきょう19日、印西市西の原で写した。

   裸木に裸の剛さありにけり    良 生

メタセコイアはよく見ると、ぎっしりと芽をつけていた。若葉の季節の、眼に染みるようなみどりが脳裏にうかぶ。


風光る

2006年02月18日 | 俳句雑考

晴れていたが、風が冷たかった。
印旛沼まで出かけようと思って、自転車でしばらく走ったが、途中でやめた。マフラーを忘れたので、胸元がとくに寒かった。それに、印旛沼にどうしても行かなければならないわけではなかった。
画像はきょう18日、印西市草深で写した。

   風光る一と筋の道信ずべく       椿

歳時記によると、「風光る」は春の季語になっているが、春風駘蕩ではなく、鋭く光る感じなのだそうだ。
引用句からは、風よりも道が光っている情景が思い浮かぶ。


和合像

2006年02月17日 | 俳句雑考

曇っていたが、風がなく、寒くはなかった。
農家の門前に夫婦和合像が建っていた。
画像はきょう17日、印西市高花で写した。

   神遊び夫婦和合の舞に果つ        亞津子

季語として「神遊び」を載せていない歳時記がすくなくない。調べた結果、神楽のことで、冬の季語らしい。
高花の和合像の髪型は、里神楽でそのように結っているのだろうか。 


二月の三重奏

2006年02月16日 | 俳句雑考

二月の里山の木々が伐採されていた。開拓が始まったらしい。
画像は12日、印西市深草で撮した。

   開拓や斧よ木霊よ遠郭公     光 星

遠くで鳴いている郭公のこえが聞こえるということは、あたりが静かなはず。
作者は開拓の現場から離れたところにいて、伐採の斧の音と、そのやまびこと、遠郭公の三重奏に耳を澄ましているのであろう。


双子の目出度さ

2006年02月15日 | 俳句雑考

歩道に大きな乳母車がとまっていたので、近寄ってみると、双子が乗っていた。
2月にしては暖かかった。母親はコートを脱いで、双子の世話に余念がなかった。
画像はきょう15日、印西市西の原で撮す。

   寒玉子割れば双子の目出度さよ   虚 子

画像の母親は、少子化をくいとめようと、頑張っているようにみえた。


ねんねこ

2006年02月14日 | 俳句雑考

若い母親がねんねこ姿で犬を散歩させていた。
ねんねこは買ったのか、作ったのか、温かそうで、動きやすそうにみえた。
画像は12日、印西市結縁寺で撮した。

  赤児の頬ねんねこ黒襟母へつづき   草田男

赤児は黒い襟を見ているうちに、夜になったとまちがえて、眠っただろうか。