ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

オクラの花

2006年08月31日 | 俳句雑考

オクラの花が咲いていた。
歳時記では別名アメリカねり。「ねり」の意味を調べてみたが、わからなかった。
画像は30日、印西市草深で写した。

   山雲はひかりを含みオクラ咲く    禎 子

山にさえぎられて、雲以外は日かげになっているのであろう。画像の花を撮ったときは、朝曇りだった。
引用句のテーマは、雲とオクラの花の照応と受けとった。


静かな蝉

2006年08月30日 | 俳句雑考

公園の木に蝉がとまっていた。
静かに、微動もしなかった。俳句では啞蝉というはずであるが、現在は差別用語になったのではないかと思い、調べたところ、刊行されたばかりの角川俳句大歳時記には、つぎの例句などが載っていた。
画像は28日、印西市高花で撮す。

   啞蝉も鳴く蝉ほどはゐるならむ    青 邨

歳時記は、鳴く蝉は雄、鳴かぬ蝉は雌だと教えている。


秋思

2006年08月29日 | 俳句雑考

西の原公園(印西市)で、父と子が模型飛行機をとばしていた。印旛飛行場の跡であり、終戦直前の一時期、特攻隊の基地だったらしい。
画像は27日に撮った。

    「戦死す」と重き秋思や未完の絵     フミ子

秋は思うことが多いとして、秋思は季語になっており、秋思祭は菅原道真の詩「秋思詩篇独断腸」にちなんでいるそうだ。


捕虫網

2006年08月28日 | 俳句雑考

マンションのごみ置き場に、捕虫網が立てかけてあった。
持ち主は夏休みの残りの日数と、宿題の残りの嵩を計算して、もはや蝶や蝉を追いかける暇はないと判断し、処理したのだろうか。
画像は25日、印西市西の原で写した。

   盆過ぎの草ばかり打ち捕虫網      隆 信

ごみ置き場の捕虫網は、土ばかりも打っていたようだった。


白秋

2006年08月27日 | 俳句雑考

ドッグランの柵を白く塗りなおしていた。
作業員はまぶしいのか、できばえに満足なのか、目を細めて丹念にペンキを使っていた。
画像は25日、印西市草深で写す。

      白秋と思ひぬ思ひ余りては         比奈夫

辞書によると、五行説で白を秋に配するので、白秋というのだそうだ。


棄西瓜

2006年08月26日 | 俳句雑考

丘の畑に多くの西瓜が採り残されていた。
ビニールハウスをたたんだばかりの感じだった。
画像は23日、印西市草深で撮す。

   棄西瓜散華し始じむ丘の雲     樵 人

広辞苑は、散華を戦死と解釈するのは誤りだと指摘しているが。


ブロガー冥利

2006年08月25日 | 俳句雑考

トントンさんから姑案山子の原版をいただいた。
ブロガー冥利に尽きる。ありがとうございました。
画像はその版画。

   めくばせはピカソの絵より今朝の秋    良 子 

俳諧的な表現による黙示がテーマと受けとった。
歳時記によると「今朝の秋」は、立秋の日の朝のこと。


茗荷の花と子

2006年08月24日 | 俳句雑考

ひっそりと茗荷の花が咲いていた。その花を支えるようにして、茗荷の子が起っていた。
歳時記には茗荷の子は夏、花は秋の季語として載っている。夏のはじめに筍をいただいた農家をたずねたところ、裏山に案内されて、見せてもらった。
画像は23日、印西市草深で写す。

   茗荷の子花かかげては地を祀る    東門居

茗荷の花は一日のいのちだそうだ。


夏期講座

2006年08月23日 | 俳句雑考

公民館でパソコン講座がひらかれていた。
ほとんどの受講生は、家庭にあるパソコンに触ったことがないらしく、まず、絵を描かされていた。
画像は22日、印西市原で写す。

      母であり妻であり夏期講座にも            美佐子

夏の講座だけが季語なのは、古い歳時記によると、主に夏休みの学校の施設を利用してひらかれるため。


草引き

2006年08月22日 | 俳句雑考

炎天下、農婦が草を引いていた。
畑土に刻まれた足あとは、陰が濃かった。
画像は21日、印西市深草で写した。

   日かげりぬ束の間を草引くべかり     貞

空には二、三片の白い雲が、太陽の遠くに浮かんでいた。


雁来紅

2006年08月21日 | 俳句雑考

農家の私道と畑の境界が、さまざまな植物で縁どられていた。
葉が紅く色づいているのは、雁来紅と推察した。雁が渡ってくるころに紅くなるので、そう名づけられたそうだ。別名は葉鶏頭、かまつか。
画像は19日、本埜村滝野で写す。

   暮るるとは知らず雁来紅と居る     舗 土

秋の日が釣瓶落しになったころの嘱目吟だろうか。


大夕立

2006年08月20日 | 俳句雑考

夕立に急襲されて、ホームセンターへ逃げ込んだ。
あたりが薄暗くなり、雷光でも走りそうな雰囲気になった。
篠つく雨のなか、男が駐車場へとび出した。駆けてはいたが、全力疾走ではなかったので、カメラを向けることができた。
画像は19日、印西市草深で写す。

   雨粒の顔に当りてより夕立    美 典

粒といっても、大粒であろう。


蕎麦咲く

2006年08月19日 | 俳句雑考

ベランダにに撒いた蕎麦の丈がひょろりと手摺を超え、花が咲いた。
種は北総花の丘公園の相談室で飯田先生にいただいた。
画像は18日に撮す。

   八月の雨に蕎麦咲く高地かな    久 女

土が痩せていても, 蕎麦は育つと聞いていたが、事実らしい。実を結ばないうちに結論を出すのは、時期尚早かもしれないが。


なお苦しみを

2006年08月18日 | 俳句雑考

中年の男女が前を歩いていた。
男が足をとめずに、歩道わきのメタセコイアの葉先を軽く突いた。近寄ってみると、蝉の脱殻が縋っていた。
画像は17日、印西市原で写す。

   空蝉のなほ苦しみを負ふかたち     狩 行

地中におけるすがたのまま、殻を脱いだのであろう。