ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

海紅豆

2011年05月31日 | 俳句雑考


気象士はテレビでそう言っていたが、逸れたので台風一過といえるかどうか、ひさしぶりの青空をバックに海紅豆の花が民家の庭に咲いていた。
画像は30日、鹿児島市谷山中央で撮す。


   海紅豆咲き焼酎の甕ひとつ    時 彦


海紅豆は房総でもよく見かけたが、鹿児島の県木なのだそうだ。

 


時計草

2011年05月30日 | 俳句雑考


ベランダに時計草が咲いていた。画像は29日、鹿児島市谷山中央で撮す。


  問わんとすことを問われて時計草     千佳子


「どうして時計草というのだろうか」と聞こうとすると、相手に先手を打たれてしまったのだろうか。


額の花

2011年05月29日 | 俳句雑考


マンションの植込みに、額の花が梅雨にぬれながら咲いていた。
画像は今朝、鹿児島市谷山中央で撮る。

 

  この頃の雨読晴読額の花    狩 行


めったにない梅雨晴間も、耽読生活。


花石榴

2011年05月28日 | 俳句雑考

民家の庭に石榴の花が咲いていた。画像は27日、鹿児島市谷山中央で撮る。

    花石榴情熱の身を絶えず洗ふ      草田男

歳時記によると、スペイン語のグラナダは石榴のことで、6月のアルハンブラ宮殿には石榴が咲き乱れるそうだ。


緋合歓

2011年05月27日 | 俳句雑考


寺院の境内に緋合歓が咲いていた。画像は25日、鹿児島市谷山中央で撮る。


   盃は老を養ふ合歓の花
        原 裕


北総に住んでいた頃は、よく「養老乃滝」の世話になった。


鳥交む

2011年05月26日 | 俳句雑考

駝鳥の一種だろうか、雄が雌に乗って羽ばたいていた。
もう一羽の雄がやはり羽ばたきながら、その行為を正面から見据えていた。
画像は25日、鹿児島市の平川動物園で写す。

   身に余る翼をひろげ鳥交む        狩 行

駝鳥は交むとき以外に、翼をひろげることがあるのだろうか。

 恋というには

 

 雄が雌から降りると、見据えていた雄が代わって乗ろうとしたが、雌は逃げた。

   鳥交る恋といふには淡すぎし       甲子雄

雄は雌のあとを追ったが、雌から降りた雄の方は、我関せず焉と翼をたたんでそっぽを向いた。


赤い長靴

2011年05月25日 | 俳句雑考

梅雨入り二日目、バスを待っていると赤い長靴を履いたおごじょが通り過ぎた。
画像は24日、鹿児島市高見馬場で撮影。 

   河岸の子の赤き長靴三の酉        杏 子

東京築地の魚市場で、ひとりだけ赤い長靴を履いたお侠娘が思いうかぶ。
早じまいして、浅草の三の酉では「お手を拝借」と叫び、一本締めの音頭をとるような。


松葉牡丹

2011年05月24日 | 俳句雑考

民家の門のわきに松葉牡丹が一群、糠雨をうけて輝いていた。
画像は23日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   松葉牡丹ぞくぞく咲けばよきことも      ひさを

わかりやすい素直な句と思う。


蒲生郷

2011年05月23日 | 俳句雑考

蒲生郷を案内してもらった。画像は22日、姶良市で撮す。

 日本一の楠

日本一と折紙のついた境内の楠には、木戸がはめ込まれていた。なかは八畳敷ほどの洞だそうだ。

   西南の役見し大樹楠若葉     瑞 史

その当時、蒲生では官軍への投降事件があったらしい。

 どくだみ

武家屋敷街の一角に門を構えていないので、庭が丸見えの家があり、石橋のわきにどくだみが咲いていた。

   どくだみのいま花どきの位もつ         樹実雄

薩摩藩では俸禄十石以下の位の家には、武家門が与えられなかったそうだ。


京鹿子

2011年05月22日 | 俳句雑考

ショッピングセンターの駐車場の脇に、京鹿子が咲いていた。
画像は21日、鹿児島市東開町で撮す。

   日が差せば命のいろに京鹿子      爽 青

複数の歳時記が例句として載せている。

 

 


緋躑躅

2011年05月21日 | 俳句雑考

白亜の病院の緋躑躅が雨に洗われていた。画像は20日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   春愁のかぎりを躑躅燃えにけり         秋櫻子

歳時記をめくると、躑躅とカンナは「燃ゆ」とつづく例句が多いが、いずれも花が緋色と受けとることにしている。


猫の手

2011年05月20日 | 俳句雑考

信号待ちのワゴン車の胴に「猫の手貸します」と書いてあった。
とりあえずカメラに収めて、意味を訊ねようと運転席に近寄ると、信号が青になって走り去った。
画像は19日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   来る日来る日匆忙として木葉髪     青 畝

猫の手も借りたい日々を過ごしているうちに、秋も終わりになると頭髪が薄くなっていた、という句意だと思う。


屈む

2011年05月19日 | 俳句雑考

夫婦だろうか、男女ふたりがせまい畑に屈んで、こまかい農作業をしていた。
画像は16日、鹿児島市中山あたりで撮す。

   いつか星ぞら屈葬の他は許されず        紀音夫

同じ土葬でも、のびのびと横たわりたいと願う。

 


麦秋

2011年05月18日 | 俳句雑考

山田の麦が熟れていた。画像は17日、鹿児島市中山で撮す。

   麦秋や老ゆるに覚悟などいらぬ          八重子

初夏の季語なのに秋がついているせいか、歳時記の麦秋の項には老いをテーマにした例句が多い。


花卯木

2011年05月17日 | 俳句雑考

民家の庭に、紅と白の卯木の花が一本の木に競い合って咲いていた。
画像は16日、鹿児島市谷山中央で撮す。

    紅卯木蘂をつばらに咲き初むる      和 子

古語辞典によるとツバラは委曲と書き、詳しいさま。