ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

虫か玩具か

2012年06月30日 | 俳句雑考

雨上がりの路地にメタリックな虫の玩具が落ちていたので、拾おうとすると、ぴょんと跳んだ。画像は29日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   玩具より玩具らしくて天道虫         耕三郎


メタリックな虫またはその玩具をもう一度抓まもうとすると、また跳んだ。

 追記

虫は夏季の斑猫、別名道教えとの由。


沐浴

2012年06月29日 | 俳句雑考

軽鳧が水草に分け入り、下半身は水中に没して沐浴した。画像は28日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   異教徒に 乳房見せじと初沐浴      三樹彦

軽鳧の沐浴も、道路には背をむけていた。


補植

2012年06月28日 | 俳句雑考

機械が植えた田に入って、老人がひとり丹念に補植していた。画像は26日、鹿児島市慈眼寺で撮影。

   田の補植縦横斜めに水踏んで       豊 水

こちらも孤独な補植。


 


魔術

2012年06月27日 | 俳句雑考

路面電車を手入れしている駅員のからだが宙に浮いた。画像は26日、鹿児島市 谷山電停で撮影。

    大魔術宙に人浮き年の暮      一 朗

駅員が宙に浮いたのは跳躍したからだが、マジックショーの場合は不思議でならない。

 


蜻蛉一連

2012年06月26日 | 俳句雑考

植田の上を蜻蛉が連なって飛んでいた。画像は今朝、鹿児島市慈眼寺で撮影。

   蜻蛉来て庭の蜻蛉を連れ去りし      暁 座


連なってだろうか。

 


2012年06月25日 | 俳句雑考

豪雨によって、骨董屋の野積みの甕の水嵩が増し、萍がうきうきと浮いていた。画像は24日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   萍に膏雨底なく湛へけり    普 羅


国語辞典によると、膏はうるおすという意味。


反抗期   

2012年06月24日 | 俳句雑考

親猫とは逆をむいている子猫は、すねているようだった。画像は20日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   花冷えの口をへの字に反抗期        真智子

子猫は口をへの字に結んでおり、たとえ野良の身になっても、やっていけそうだった。

 

 


巣立雀

2012年06月23日 | 俳句雑考

子雀はおのれの長い影を見ているようでもあり、見ていないようでもあった。画像は22日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   喃々と鵯は巣立を引きのばす        悦 子

子雀は巣立を早まったと、後悔しているようでもあった。

 

 


青芝

2012年06月22日 | 俳句雑考

青芝の雨滴が暾にきらめいていた。画像は今朝、鹿児島市谷山中央で撮影。

    青芝の母の孤島へ這ひ着ける     亮 介

省略されている主語は赤子。


 


子猫

2012年06月21日 | 俳句雑考

農家の門のわきの台上に、六匹の子猫が寄り合っていた。画像は20日、鹿児島市慈眼寺で撮影。

   眼があいて捨つべき子猫なかりけり          幸 子

慈眼寺の農家の女主人によると、孫からみな飼うようにと厳命されたそうだ。

巣立へ

やがて一匹が外界に興味を示しはじめた。


    其夜から雨に逢ひけり巣立鳥        一 茶

雀の例では、巣立を境に親は子離れするようだ。


台風それて

2012年06月20日 | 俳句雑考

台風がそれた錦江湾を客船が運航していた。画像は19日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   台風の生れたる地図日本小さし       暮 石

前日のテレビの予報では、日本列島は台風に飲み込まれそうだった。

 


野の花

2012年06月19日 | 俳句雑考

民家の塀の台に置かれた空き瓶や空き缶に、草花が挿してあった。どの草花も名を知らなかった。画像は18日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   名も知らぬ花に北見の春惜む      春 夫

作者の姓は佐藤。


軽鳧

2012年06月18日 | 俳句雑考

軽鳧が群をなして木之下川を泳いでいた。画像は今朝、鹿児島市谷山中央で撮影。

   浮くものを軽鳧ときめたる薄暑かな        敦


作者は見分けの難しい鴨類のなかで、軽鳧の嘴は黒くてその先が黄色いと知っていたのだろうか。

 


胡蝶

2012年06月17日 | 俳句雑考

知らない花に紋白蝶がとまっていた。画像は12日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   うつゝなきつまみごころの胡蝶哉      蕪 村

中村草田男絶賛の夢幻境。


蚯蚓

2012年06月16日 | 俳句雑考

椋鳥が空き地の地面を突っついて、蚯蚓を掘りだしていた。画像は14日、鹿児島市谷山中央で撮影。

    みちのくの蚯蚓短し山坂がち        草田男

ミの頭韻は偶然にそろったのであろう。