ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

鴨そぞろ

2011年01月31日 | 俳句雑考

池に鴨が泳いでいた。画像は28日、市来串木野市で撮す。

   池に浮く鴨もそぞろや草萌ゆる   たかし

北帰の時期が迫って鴨が落ち着かなくなってきた、と解釈して、念のため広辞苑で「そぞろ」を引くと、七つの意味があって、七番目に「気持ちが落ち着かないこと」と載っていた。
一番目の意味の「何となく心のすすむさま」にしたがって「万物が動き出し、鴨の動きも積極的になってきた」と解釈してみたが、まだ五つの意味が残っている。


尉鶲

2011年01月30日 | 俳句雑考

枯野の石のブロックに一羽の尉鶲がとまっていた。
カメラを向けて少しずつ近づくと、少しずつ去った。画像は28日、市来串木野市で撮す。

   良寛の手鞠の如く鶲来し   茅 舎

歳時記によると、鶲は色鳥の代表格。


市来串木野の花

2011年01月29日 | 俳句雑考

  緑萼梅

路傍に野梅が咲きはじめていた。緑萼梅だった。
画像は28日、市来串木野市で撮す。

   探梅のわれを見つけてくれし梅      鷹 夫

緑萼梅は探梅をあきらめた直後に見つけた。

 菜の花

やはり路傍に、枯れきった草花と一緒に一叢の菜の花が咲いていた。

   被写体のピンボケ花菜ハレーション      良 一

被写体は佳人だろうか。


文旦漬

2011年01月28日 | 俳句雑考

最初は白かった手作りの文旦漬が、天日に干しているうちに橙色に変わった。
画像は26日に撮影。

   手造りの文旦漬をお茶受けに     容 子

文旦と朱欒はおなじだということを、歳時記を引いてはじめて知った。


鶺鴒

2011年01月27日 | 俳句雑考

鶺鴒が川石を発ち、一閃しては戻った。画像は26日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   鶺鴒のひかり飛ぶものついばめる    草 堂

帰宅して引用句を探し出して、鶺鴒が一閃するのは餌をついばむためだと知った。


うかれ猫

2011年01月26日 | 俳句雑考

薩摩に住みついてから2年半になるが、はじめて飼猫を捜す貼紙をみた。
こちらでは人と猫の距離が、関西や関東より離れていると感じている。
画像は24日、飼主の住む鹿児島市谷山中央から1,2キロ離れた和田で撮す。

   白日に晒されてゐてうかれ猫   芒 子

谷山中央から消えた猫は、いまごろ和田で浮かれているのだろうか。歳時記によると、恋猫とうかれ猫は同じ猫。


2011年01月25日 | 俳句雑考

甲突川の磴に鳩が集まって、日向ぼこをしながら川面をながめていた。
画像は22日に写した。

     しやぼん玉磴を一段づつ降りる    克 己

数多くのしゃぼん玉が磴を流れ降りていくなかで、一段ごとにひとつずつパチッと消えたという叙景句だろうか。
しゃぼん玉をながめているうちに作者はこころが若やぎ、つれて体力も若返って、一気に磴を降りたという句意だろうか。 


桜蕾む

2011年01月24日 | 俳句雑考

22日、甲突川の遊歩道でロケットを撮る前は、枝上の雀に似た小鳥を視たり撮ったりしていた。
雀だとしたら、これほど眼がぱっちりした雀は見たことがないと考えていた。
枝には桜の蕾が点々、というより粒々に育っていた。

   初桜蕾したがへ楚々として     ともえ

多姉妹の長女のように。


   ロケット

2011年01月23日 | 俳句雑考

甲突川の歩道をカメラを提げて、小鳥の声を眼で追ってきょろきょろしていると、初老の紳士から声をかけられた。
「2時37分、もう間もなくですね」
「?」
「撮りに来られたのでしょう?」
「?」
種子島から打上げるH2Bの写真を撮りにきたのかと、勘違いしたのだった。
あわてて前に進み、ロケットを撮って液晶画面で結果をみると、川を前景とする写真はみな失敗だった。
舌を打ちながら戻ると、ベンチに座っていた媼から,注意された。
「ここに踏みとどまって撮れば、川も写せたのに」
といった意味の薩摩弁だった。
画像は22日、鹿児島市の甲突河畔で写す。

   ロケットや鉄の兎のひとっとび   聡 雄

打上げ現場での属目吟と思う。


寒梅

2011年01月22日 | 俳句雑考

民家の庭木が二輪の白梅を咲かせていた。画像は21日、鹿児島市和田で撮す。

   晩成といふはなかなか梅寒し    純 一

大器晩成を標榜しながら、なかなか達成できないものだ、という句意だろうか。寒中に凛と咲く梅を見ながら、寒い寒いを連発する自分を省みての自嘲句。
辞書には「なかなか」についていつかの意味があるので、もっと正鵠を射た解釈があるかもしれない。


薔薇の実

2011年01月21日 | 俳句雑考

木と竹で造った玄関の横の薔薇に、赤い実がついていた。
画像は14日、鹿児島市谷山中央で写す。

    薔薇の実を真理のごとく掌にとりぬ     美恵子

薔薇が実を結ぶという真理、これまで知らなかった。


仲良し

2011年01月20日 | 俳句雑考

厳寒の路地をふたりの女の子が仲良さそうに歩いていた。
画像は19日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   北風衝いて往くなり幼姉妹なり   南 方

仲良しのふたりの関係は姉妹か、友達かわからなかった。


賞状

2011年01月19日 | 俳句雑考

廃屋の撤去作業がおこなわれている路地に、骨董類が集められ、そのなかに賞状が含まれていた。
神武天皇即位紀元二千六百年を記念して、明治勲章八等に叙せれた賞状だった。画像は18日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   我と我が叙勲の額の煤払ふ      夏 雄 

歳時記によると、煤払は新年を迎えるために、一年間の煤を払って家屋内外を清めること。
作者はわが身とわが身のつぎに大事なものしか、清めなかったのだろうか。


雪柳

2011年01月18日 | 俳句雑考

民家の庭に雪柳が点々と咲き始めていた。画像は17日、鹿児島市和田で撮す。

    なりゆきに任す余生や雪柳     由 子

風を受け流す雪柳のように。


風花

2011年01月17日 | 俳句雑考

ベランダにでると、雪が降っているのに日が照っていた。
画像は17日、鹿児島市谷山中央で写す。

   風花の金閣金を深めけり   喜 城

これまで気がつかなかったが、松雲寺が金色に見えた。