柵にとまっている色鳥は磯鵯の雄に似ていたが、帰宅して図鑑でしらべるとすこし違うようだった。上目使いで樹上を仰いでいるので、巣立ったばかりで巣が恋しい幼鳥だったかもしれない。
画像は28日、鹿児島市谷山中央で撮影。
色鳥の吹かれしやうにゐずなりぬ 典 子
小鳥は風にのるのが上手のようだ。
蕎麦に花が咲いて、紋白蝶が寄ってきた。歳時記には蕎麦は春季の約束になっているが、当地では春にも種をまいている。画像は23日、鹿児島市中山で撮影。
いかめしき門を這入れば蕎麦の花 漱 石
武家屋敷だろうか。
水上で対峙していた水馬同士が目にもとまらぬ速さでぶつかり合うや、すぐに別れた。画像は24日、鹿児島市慈眼寺で撮影。
水面の硬さの上の水馬 樹実雄
水馬は地上ではどうなるかと想像してみたが、イメージが湧かなかった。
京鹿子の花に紋白蝶がとまっていた。きちんと翅をそろえて。画像は22日、鹿児島市中山で撮影。
日が差せば命のいろに京鹿子 爽 青
京鹿子にすでに血色の悪い枯れた花があると思ってよく見ると、蕾のようだった。
木之下川で青鷺と鴉が対峙していた。画像は20日、鹿児島市谷山中央で撮影。
退 散
やがて烏が飛び去った。
盆僧が烏鷺の遊びをせむと来し 磐 井
烏鷺の争いとは囲碁のたとえ。烏と白鷺のイメージがうかぶが、白石が青い碁石をみたことがある。
木漏日が照らす枝に糸蜻蛉がとまっていて、ときどき少し飛んだ。微細な羽虫を捕らえているようだった。画像は6日、鹿児島市慈眼寺で撮影。
糸蜻蛉記憶横切るやうに飛ぶ 立 夫
糸蜻蛉が羽虫を追うときは素早かった。