ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

韮の花

2008年09月30日 | 俳句雑考

一畝の韮に花が咲いていた。画像は27日、川辺町で撮影。

      一畝の韮咲き故旧ちりぢりに    青 児

季語から推すと、作者は田舎に住んでいるのであろう。


佛具店

2008年09月29日 | 俳句雑考

道の駅に仏具の店があった。地場産業として力を注いでいるらしい。
画像は27日、川辺町で写した。

   秋を待つ佛具一つを買ひ足して      ひふみ

 隠棲とはこのような暮らしであろうか。


墨とんぼ

2008年09月28日 | 俳句雑考

蝶のように翅をひらひらさせて、とんぼが飛んでいた。画像は27日、川辺町で写す。

 墨客

枯草に墨とんぼがとまっていた。カメラのシャッターの音を鳴らすと、ひらひらと飛び去った。

   横丁に碩学隠れ墨とんぼ    郁 乎

墨客でもあるのだろう。

 翅に風

墨とんぼが去ったあとに、胴の青いとんぼが黒い翅をひらひらさせて現れ、草の葉にとまった。

   翅に風あしらひとんぼ止まりをり     鳳 子

風が吹くと、黒い翅が虹色にかがやいた。


古書肆

2008年09月27日 | 俳句雑考

目抜き通りに古本屋があった。覗くと、あるじは調べものに専念しているらしく、覗かれていることに気がつかなかった。古本屋より古書肆の名にふさわしい店だと思った。
画像は27日、鹿児島市天文館で写す。

   淡色の書の並む古書肆秋灯    豊 水

難解書がずらり。


苦しみ

2008年09月26日 | 俳句雑考

目抜き通りを歩いていると、
「生活が苦しくなりました」
老人の声が聞こえた。テレビ局が新内閣の発足にあわせて、街頭インタビューをしているらしかった。
帰宅すると、テレビのニュースが目抜き通りの百貨店の閉店決定を報じた。画像は25日、鹿児島市天文館で写す。
     
   世に生くるかぎりの苦ぞも蝶生る       万太郎

蝶は羽化してから喜びが始まると思っていたが、苦しみが始まるのだろうか。


サボテンの花

2008年09月25日 | 俳句雑考

民家の門前にサボテンの花がたくさん咲いていたので、コンパクトカメラで撮したところ、写りが悪かった。翌日あらためて再訪すると、花の数は激減していた。
画像は24日、鹿児島市谷山中央で写す。

   サボテンの花の光のある如し       一 雄

古語辞典によると「あえか」の語意は「はかなげ」だそうだが、サボテンの花のような感じだろうか。


供華

2008年09月23日 | 俳句雑考

彼岸の入の朝市は、山と積まれた供華のまわりに客が集まっていた。
林檎や蜜柑などの秋果のコーナーは閑散としていた。画像は20日、鹿児島中央駅近くで写した。

   誰か早父の墓前に盆の供華     みどり女

小説であればここから物語が始まるのだろうが、俳句の場合はここで終わってしまう。


棚田のあたり 下

2008年09月22日 | 俳句雑考

台風が逸れたために、棚田の被害は少ないようだったが、伏せている稲穂が散見された。

   稲のほをおこして通る田道かな      蝶 夢

一望したところ、棚田では農婦がただひとり、伏せている稲穂を起こしていた。

 

瀑声が聞こえたのでのぞくと、滝が落ちていた。

   萬緑の底に滝あり轟けり    零 雨

瀑声が聞こえなければ、気がつかないところに滝はあった。

 鯉

源流はしばらく小さな池で休んでから、小川を下った。池にはまるまると太った真鯉が回遊しており、上目をつかってこちらを窺っているようでもあった。

   睡蓮下出て一本の鯉となる   養 三

一本の真鯉の影は、水底にくっきりと一本だった。

 曼珠沙華

池を発した小川の両岸に、曼珠沙華が対峙するように咲いていた。

   対岸の火として眺む曼珠沙華   登四郎

「対岸の火事」以上に「対岸の火」は、自分にはまったく災難が及ばないという意味だろうか。

 花芒

芒が棚田を見おろすように穂を出していた。

   次々に風落ちて行く花芒     汀 女

芒の俯瞰写生であろう。


棚田のあたり 上

2008年09月21日 | 俳句雑考

ドライブに誘われて、棚田のあたりを散歩した。棚田らしい棚田を見たのは初めての経験だったが、日本全国どこの棚田も石垣によって支えられているのだろうか。
画像は20日、鹿児島市郡山で写す。

   空へ棚田豊の秋なり嫁に来い    博 明

石組みの手伝いは、させないのであろう。

 源流

薩摩半島を代表する川の源流には、秋海棠が咲いていた。

   そのほとり秋海棠の濡れ易し   夜 半

暴れ川の源流と思えなかったのは、秋海棠のせいであろう。

 黒揚羽

曼珠沙華から曼珠沙華へと、黒揚羽がわたり翔けていた。

   黒といふ派手な色あり黒揚羽    淳一郎

曼珠沙華が原因なのか、一句からは喪服美人を連想した。

 蕎麦畑

畑に蕎麦の芽が育っていた。

   種蒔や祖先の恩地無二の畑     桜 子

畝をつくらずに種をばらまいた感じだったが、それで効率よく蕎麦が稔るであれば、たしかに「祖先の恩地」であろう。

 ひともじ

農夫が種蒔をしていた。葱の種を蒔いているのだそうだ。

   ひともじに日のさす畠持ちにけり   樗 屋

ひともじの漢字は一文字で、葱のことだそうだ。女房詞ではネギはキと一音だったからという。


野牡丹

2008年09月20日 | 俳句雑考

民家の庭に二種類の紫の花が咲いていた。
丈が高い方は野牡丹と知っていたが、低く垂れている方はあちこちで長期にわたって咲いているものの、名前を知らなかった。画像は13日、鹿児島市慈眼寺で写す。

   野牡丹の一と日の命けさあえか      風 生

薩摩の花は生命力が旺盛なのが多く、野牡丹も「あえか」という感じがしなかった。もっとも、感じがしなかったのは「あえか」とは見た目にどういう状態なのか、理解していないせいかもしれなかった。


2008年09月19日 | 俳句雑考

天気予報がはずれて、台風が本格的に薩摩半島に上陸するはずだった夕方には、白雲を冠った桜島のわきに虹がかかった。
画像は18日、鹿児島市谷山中央で写す。

   刻一刻虹はおのれを溶かしをり   つねこ  

桜島の虹はもう少し前景を選んで撮りたかったが、すぐに消えてしまった。


白鷺

2008年09月18日 | 俳句雑考

抜き足差し足忍び足と、川の中をゆっくり歩いていた白鷺が、いきなり水中へ首を突っ込んだ。水しぶきがあがった。
画像は12日、鹿児島市谷山中央で写す。

     うしろより鷺も足抜く蓮根掘       柯 城

泥鰌を油断させているのだろうか。


白い彼岸花

2008年09月17日 | 俳句雑考

空き地の隅のあちこちに、白い曼珠沙華、というよりは別称の白い彼岸花が咲いていた。
画像は16日、鹿児島市谷山中央で写す。

   彼岸花の白きは幽冥界のもの      白葉女

手前の彼岸花よりもやや離れたところの彼岸花、さらに離れたところに仄白く咲いていた彼岸花は、まさに引用句のような感じだった。


海紅豆散る

2008年09月16日 | 俳句雑考

雨の鋪道に海紅豆の赤い花と黄ばんだ葉が散っていた。
画像は14日、鹿児島市谷山中央で写す。

     散り敷きて焔くづさず海紅豆       静 二

あらためて海紅豆の花をみると、色だけでなく形も焔に似ている。