真夏の薩摩には赤い花が目立つ。
海紅豆
民家の庭に名を知らぬ花が咲いていた。帰宅して調べると、海紅豆らしかった。
画像は26日、鹿児島市谷山中央で撮す。
火の国に火のいろ保つ海紅豆 照 子
鹿児島の県の花はミヤマキリシマ、県の木は海紅豆と楠だそうだ。
ハイビスカス
槿に似ているが、より色が鮮やかな花が民家に咲いていた。ハイビスカスと推定した。
画像は28日、鹿児島市谷山中央で写す。
ハイビスカスばかり働き者ばかり 静 江
薩摩隼人には働き者が多いようだ。
朝5時47分、カーテンをひらくと、太陽は桜島に隠れており、あたりは影絵のようだった。桜島は噴煙らしいものをかかげていた。
画像は24日、鹿児島市谷山中央で撮影。
似て非なるもの噴煙とよなぐもり 裕 明
歳時記によると「よなぐもり」は霾晦と書き、黄砂が降ること。
早朝の涼しい一刻、路上を猫が歩いていた。画像は23日、鹿児島市西谷山で撮影。
イマシカナイイマシカナイと恋の猫 桃 子
歳時記では、猫の恋の季節は春に限られている。
路上の猫が向う先には、石垣の上に猫がいた。
もう既に子猫が申す好き嫌ひ 朗 人
子猫が申す好き嫌いは食べものか、恋の相手か。
連休明けの昼前、薔薇園には園丁のほか人影がなかった。その理由はすぐにわかった。
画像は22日、鹿児島市平川で写す。
命ある日々が青春薔薇を観に 宏 晃
そう吟ずる作者が羨ましい。
園丁
園丁老ゆ公爵の名の薔薇咲かせ 昭 彦
園丁は断熱材で日ざしを遮っていた。それが仕事ならやむを得ないが、薔薇は汗を流しながら観賞するものではなかった。
里山を背にして、青田がひろがっていた。北総でよく見かけた風景だった。
画像は21日、鹿児島市慈眼寺で撮す。
山々を低く覚ゆる青田かな 蕪 村
北総だけでなく、昔からこの時期になると、日本のいたるところでよく見かけた風景なのであろう。
夕立一過、街中を流れる川が濁り、獲物をとるチャンスなのか、そのなかに夏鴨が首を突っ込んで泳ぎまわっていた。
画像は18日、鹿児島市谷山中央で撮影。
夕立来て右往左往や仲の町 虚 子
見えなかったが、川魚も右往左往していたはず。
動物園では象が竹を食べていた。青竹の幹を足で踏みつけ、鼻で枝葉をちぎって口の中へ運び入れていた。
画像は13日、鹿児島市平川で撮影。
花吹雪象はいよいよ目を細め 敦 子
薩摩の象は「花より竹ごわす」と、言いたげに目を細めていた。