ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

照紅葉

2006年11月30日 | 俳句雑考

茅葺きの家を再訪すると、庭木が紅葉し、日を浴びていた。
画像は29日、印旛村岩戸で撮す。

   照紅葉さきほど時雨したりとか     青 畝

引用句のようには、さきほどではなかったが、前日は時雨だった。


石畳  

2006年11月29日 | 俳句雑考

雨のあがった石畳の歩道に、落葉が散っていた。
乾いている葉もあった。樹上では下枝についていて、雨に濡れなかったらしい。
画像は28日、印西市高花で写す。

   けさはけさの落葉はじまる石畳       ひろし

せっかく朝早く掃除したのに、元の木阿弥、とは逆の句意なのであろう。


架橋

2006年11月28日 | 俳句雑考

刈田のなかで、橋脚を据える工事がおこなわれていた。印西市から本埜村へ、陸橋を架けるらしかった。
画像は25日、本埜村滝で写した。

   弧となつて大橋架かる蕪村の忌     直 人

蕪村の忌日は陰暦12月24日。引用句は「橋なくて日暮んとする春の水   蕪村」を踏まえていると思う。


生活の崖

2006年11月27日 | 俳句雑考

崖上の家が九十九折の階段を設けて、崖を生活に役立てていた。崖下には温室もあった。
生活の崖は整然としてはいなかったが、雑然ともしていなかった。
画像は25日、本埜村物木で撮す。

   秋風にしずかな崖の垂れゐたり   照 敏

生活の崖は渾然一体となって、しずかだった。


色かさなりて

2006年11月26日 | 俳句雑考

kawasakiさんの花圃の中心は、コスモスから葉牡丹に移っていた。
葉牡丹に多くの品種があることは、一年前に拝見して知っていた。そのことは昨年12月15日付で「葉牡丹の園」と題して載せた。
画像は25日、本埜村滝で撮す。

   葉牡丹の色かさなりて開きそむ  かな女

画像の中心部の白いつぶつぶは、凍った露。


トンネル

2006年11月25日 | 俳句雑考

公道と私道の境は、大きな生垣がくりぬかれて、トンネルになっていた。
トンネル以外にふさわしい名称がありそうなので、調べてみると、辞書には緑門という熟語が載っていたが、運動会で臨時に設けるアーチのことだった。
画像は22日、印西市大森で撮す。

   トンネルをいでゝ遽かに秋の暮    万太郎

国境のながいトンネルだろうか。


正月がこないのに

2006年11月24日 | 俳句雑考

まだ正月がこないのに、ふたりの男が空き地に車を駐め、ひとつの凧をあげていた。凧は北風をはらんで、威勢よくあがった。
画像は23日、印西市西の原で撮す。

   老人が凧に命を入れてをり     傳

ふたりの凧あげは遊びではなく、共同で仕事を遂行している感じだった。おそらく売出しに先だってテストし、試作品にいのちを入れていたのであろう。


2006年11月23日 | 俳句雑考

薪がうずたかく野積みになっていた。
なるべく隙間がないようにと詰めて積んであり、少しくらいの地震では崩れないように、棒で支えてあったが、雨の対策はなかった。
画像は22日、印西市別所で撮す。

   薪に割る何の生木ぞ秋深く   羽 公

「薪割り」は「障子貼り」と同じように、冬支度の一環として季語かと思って歳時記をめくってみたが、載ってなかった。


小春日和

2006年11月22日 | 俳句雑考

快晴、無風。媼がひとり縁側に腰かけていた。
身なりから推して、日向ぼこではなく、仕事中の一服といった感じだった。
画像は21日、印旛村岩戸で撮す。

   玉の如き小春日和を授かりし      たかし

山本健吉は「たかしの比喩は『物の見えたるひかり』(芭蕉)をずばり捉えた時出てくるものだ」と評している。


紅葉が二倍に

2006年11月21日 | 俳句雑考

並木の紅葉が公園の池に映って、二倍になっていた。
画像は18日、印西市原で撮す。掲載までのタイムラグは、インターネットの故障が原因。

   拵へたやうな紅葉やはつ氷   一 茶

ガラス張りの建物が池に映って、初氷のイメージを描けないこともなかった。

 少女に似て


朝の公園には人影がなく、椋鳥が紅葉と戯れていた。

   気紛れな少女らに似て椋鳥の群     ゆう子

椋鳥の行動は、首尾が一貫していなかった。


緑の小鳥

2006年11月18日 | 俳句雑考

濃い緑色の小鳥が枝から枝へいそがしく飛び移っていた。目のまわりが白かった。
目白だと推定し、写真を撮りつづけたが、帰宅して再生してみると、目の白さは写っていなかった。
画像は16日、印旛村岩戸で撮す。

   見えかくれ居て花こぼす目白かな      風 生

目白は保護色の木にやどる習性があるのだろうか。


茅葺屋根

2006年11月17日 | 俳句雑考

農家の門から母屋へカメラをむけていると、家のなかから女主人が現れたので、あらためて頼んだ。
「藁の屋根がめずらしいものですから、撮らせてほしいのですが」
「どうぞ。茅葺きですが」
縁側に干した布団と、貼りかえたばかりらしい障子が日に映えて眩しかった。
画像は16日、印旛村岩戸で撮す。

      山門の茅葺厚し石蕗の花      五 郎

茅がどのくらいの厚みなのか、母屋の軒下まで近寄ってみた。手が込んでいることくらいはわかった。


実習

2006年11月16日 | 俳句雑考

保育園児の列に女子中学生が付きそっていたので、たずねた。
「なにをしていますか」
「実習です」
画像は15日、印西市西の原で撮す。

   茄子の紺緊り野良着の中学生     實

男子生徒の実習は、秋茄子の収穫ではないとは、かぎらない。


山茶花

2006年11月15日 | 俳句雑考

あちこちで山茶花を見かけるようになった。
花のすがただけでは、椿と見分ける知識がないが、歳時記には、山茶花は花がばらばらに散ると解説している。
画像は13日、本埜村物木で撮す。

   山茶花やいつしか会釈交はす仲   節 子

会釈とは、軽く頭をさげあうことかと思っていたが、漢字がむつかしいので、あらためて広辞苑を引くと「和会通訳の意」と載っていた。


指さす

2006年11月14日 | 俳句雑考

3人の男の子がジャングルジムにのぼって、所在なさそうにしていたが、そのうちひとりが、
「見ろよ、あれ」
と、顔をかがやかせて指さした。
指さす方を見たふたりも、顔をかがやかせた。
画像は12日、印西市西の原で撮す。

   話途中なれども客に虹を指す      誓 子

虹を眺めたあとは、話題は虹に移っただろうか。