ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

枇杷

2009年05月31日 | 俳句雑考

老夫婦が枇杷をもいでいた。画像は30日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   老人に枇杷熟るることくり返す     真理子

老夫婦は毎日のように枇杷もいでいるらしく、樹上は残り少なかった。


スケート

2009年05月30日 | 俳句雑考

「こんにちは」
道を歩いていると、背後で声がした。振り返ると、スケート靴を履いた見知らぬ少女が犬と一緒に家から出てきたところだった。あたりに人影はなかった。
画像は29日、鹿児島市谷山中央で写す。

    スケートの濡れ刃携へ人妻よ    狩 行

嫁いだら、淑やかにしていなければならなかった時代の作品だろうか。


続また動物園

2009年05月29日 | 俳句雑考

26日の動物園行のつづき。

 郷愁

どこから薩摩にきたのか、郷愁にかられているような小さな動物がいた。標識によるとミーアキャットといって、マングースのなかまだそうだ。

   たましひの郷愁鳥は雲に入る    草 城

マングースのなかまも、翼が欲しそうだった。

 立食い

プレリードッグという名前の小動物のつがいが、立食いしていた。夫婦一緒であれば現実優先。

   冷酒や硬貨ぴしりと卓に置き  豊 水

立飲みだろうか。まず五百円玉を卓に置いて。


教師

2009年05月28日 | 俳句雑考

動物園で女教師が象を背景に生徒たち並ばせて、写真を撮ろうとして、
「ハイ、チーズ」
と、繰り返した。画像は26日、鹿児島市平川で撮す。

   教師みな声を嗄して麦の秋     由 美

教師が写真を撮ろうとして叫んでも、後列の生徒たちは象を眺めたまま、なかなかカメラの方を向かなかった。


また動物園

2009年05月27日 | 俳句雑考

また動物園に入った。画像は26日、鹿児島市平川で撮影。

 オットセイ

仲睦まじそうにしていたオットセイのつがいが、いきなり諍いをはじめた。雌が頭にきたらしくて金切り声を発し、雄が必死に弁明に努めた。
取っ組合いでもはじめるかと眺めていると、雄雌とも水中に飛び込んですぐに陸にあがり、ねぐらに引っ込んだ。水中に飛び込んだのは、頭を冷やすためだったらしい。     

   簾越しめをとの諍ひ筒抜けに    豊 水

筒抜けになっているのは、女房の声だけと思う。

 オランウータン

オランウータンがにんげんの上着のようなものを頭からかぶっていた。昼寝をしているのではなく、目をあけていた。

   走り梅雨類人猿は人嫌ひ    令 二

一句のテーマは近親憎悪だろうか。


語る

2009年05月26日 | 俳句雑考

買物途次らしい媼ふたりが、じっくりと語り合っていた。画像は23日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   出る女代る女と語りけり    平 々

解説によると季語は出代り。奉公人の年季を更新し、入れ替わる日のことだそうだ。


真竹の子

2009年05月25日 | 俳句雑考

空き地に食べごろの真竹の子が顔を出していた。画像は23日、鹿児島市中山撮影。   

   結局は今日も筍ごはん炊く   汀 子

結局は筍ごはんが好きにちがいない。


捕虫網

2009年05月24日 | 俳句雑考

公園でこどもたちが捕虫網を持って、蝶かなにかを探していた。画像は23日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   捕虫網持たされもせず姉は従者      峠

なにかを探しているのは男の子だけで、女の子たちは捕虫網は持っていても、傍観していた。 年長者らしい女の子は、捕虫網を持っていなかった。


霧島

2009年05月23日 | 俳句雑考

曽遊の地、JRの霧島の駅に降り立つと霧雨が降っていた。画像は22日に撮影。

    霧島は霧にかくれて赤とんぼ     山頭火

高千穂も韓国岳も見えなかった。

 枝打

杉林には枝打のあとが整然としていた。

    枝打をしたるばかりの杉立てり    暮 石

杉の香りがしているはず。

 石畳

鬱蒼とした参道の石畳は、線画をえがいていた。

   新涼の靴音を待つ石畳     和 子

だれかを待っているのだろうか。おっとりと歳時記に目をやりながら、耳は澄ましている。


京鹿子

2009年05月22日 | 俳句雑考

ショッピングセンターの生垣に京鹿子に似た花が咲いていた。
帰宅して調べてみたが、真偽のほどは判らなかった。画像は21日、鹿児島市東開町で写す。

   京鹿子活けて銀座の鳩居堂    操 

鳩居堂は俳人好みの店らしい。銀座のシンボルのひとつかと思っていたが、発祥の地は京都だそうだ。


ボート

2009年05月21日 | 俳句雑考

曇天の港をモーターボートが出発した。画像は19日、鹿児島市南栄で撮す。

   ボート今波新しくいでゆきし      八 重

東京上野の不忍池で、若者がうら若き乙女に力こぶをみせながら、オールを漕いでいるのだろうか。


泰山木

2009年05月20日 | 俳句雑考

産業道路沿いの緑地帯に、泰山木の花が咲いていた。画像は19日、鹿児島市和田で撮す。

   泰山木まづ日にささぐ第一花     千代子

日は差していなかったが、泰山木の初花は上向きに咲いていたので、撮りにくかった。


滑り台

2009年05月19日 | 俳句雑考

幼女が滑り台の階段をのぼり、そして滑った。画像は17日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   滑り台土筆一本つづきけり    楸 邨

こどもが土筆を一本握っていて、滑る途中で手放したのだろうか。作者は人間探求派として有名なので、もっと適切な解釈がありそうだ。


三歳

2009年05月18日 | 俳句雑考

男の子たちが川遊びをしていた。ざり蟹を捕っているらしかった。
いちばんちいさな子に年齢を訊ねると、片手をひろげて、別の手で親指と小指を折りまげた。画像は17日、鹿児島市和田で撮す。

   三歳に恋人がゐて水遊び    智 子

五歳の男の子と、三歳の女の子のカップルだろうか。


少女

2009年05月17日 | 俳句雑考

ふたりの少女が、青芝のうえを笑いながら転げまわっていた。
箸がおちたので笑いこけているのか、転げまわっているうちにおかしくなったのか、推理できなかった。画像は13日、指宿市山川で撮影。

   鞦韆を下りて寐転ぶ芝生かな    鳴 子

省略されている主語は、少女以外考えられない。

 喫泉

転げまわっていた少女ふたりが起きあがって、競って水飲場まで駈けた。

   喫泉の穂の定まらず日焼の子    清 見

はじめて喫泉の句を読んだとき、国語辞書には載っていなかったので、泉に口をつけて水を飲むことかと考えた。