公民館は内部が透けて見え、ロビーではよく日に焼けた少女たちが書きものをしていた。
日に焼けた分、夏休みの宿題の追い込みに拍車をかけなければならないようだった。画像は30日、印西市原で撮す。
甲虫這はせ宿題はかどらず 房 子
甲虫をそろそろ自然に戻さなければならないと、分かってはいるのだろうが。
公民館は内部が透けて見え、ロビーではよく日に焼けた少女たちが書きものをしていた。
日に焼けた分、夏休みの宿題の追い込みに拍車をかけなければならないようだった。画像は30日、印西市原で撮す。
甲虫這はせ宿題はかどらず 房 子
甲虫をそろそろ自然に戻さなければならないと、分かってはいるのだろうが。
雨上がりの生垣にムカゴが実っていた。
傘を逆に開いて受け皿にし、蔓を揺さぶるといくらでも採れるが、また雨が降り出しそうな天気にもかかわらず、傘を持っていなかった。画像は29日、印西市草深で撮す。
零余子一つ摘まんとすればほろと落つ 碧 童
一つずつ採るのは、意外に難しい。
きちんと作業服を着た男が炎天下の畑に膝をついていた。雑草を抜いているらしかった。
画像は28日、印西市草深で撮す。
炎天に巌の如き人なりしが 虚 子
生前を偲んで「炎天下でも着崩れのないお人だったのに」という追悼句と思う。
祭で男の子が入道雲のような綿菓子を食べていた。綿菓子はたちまちのうちに棒となり、男の子は棒の根元から先まできれいに舐めた。
画像は18日、印西市西の原で撮影。
棒に集る雲の綿菓子秋祭 三 鬼
錯覚がテーマの句と解釈したが、自信はない。
あちこちで秋耕がはじまった。
近づいてくる耕耘機にカメラを指さし、次にその指を天に向けて一礼すると、操縦者は首を縦にふった。これまでに五回以上もそのようにしたが、首を横にふられたことは一度もない。
画像は24日、印西市草深で撮す。
秋耕やあらはの墓に手向花 秋桜子
たとえば黍を収穫したあとの秋耕。
夏祭へ向かう浴衣を着たふたりの少女が、公園の小流れを渡りあぐねていた。急がば廻れと諭したかったが、急いではいないようだった。
画像は25日、印西市西の原で撮す。
夕日あかあか浴衣に身透き日本人 草田男
一句を写真に撮りたいと思う。
マンションの12階の通路で、鍬形が仰向けになって足をばたつかせていた。拾いあげてベランダの箒の柄にとまらせると、胸を張った。
出かけるとき、自然に戻そうと考えてベランダに出たが、いなくなっていた。画像は24日、印西市西の原で撮影。
鍬形といふ男振り兜虫 かな女
鎧う戦士。
マンションの植込みに萩が咲いていた。
前日までの積乱雲と違って、雲が薄かった。巨大な箒で雲のかたまりを掃き除けたものの、少し掃き残した感じだった。画像は23日、印西市西の原で撮す。
浮いてをりゆれてをり萩咲きにけり 章 子
肌に感じない風にも萩が揺れるので、撮りにくかった。
秋耕の始まった畑の縁に、韮の花が咲いていた。画像は22日、印西市草深で撮す。
齢かな摘みて眺むる韮の花 枇杷男
一句の「かな」は言うまでもなく文語として、韮の花を撮る方も「齢かな」と思うが、こちらの「かな」は口語。
公園の噴水の水場に、男の子がふたり浸かっていた。真似たくなるほど、残暑が厳しかった。
画像は21日、印西市西の原で撮影。
待つ愉しさ噴水が穂を触れあへり 亘
俳人と待ち合わせをすると、約束の時間より早く着いても、すでに姿を現してことが多いという。
また、先日載せた五線譜のような電線があった。よく見ると、燕に加えて蜻蛉もとまっており、想像をたくましくすれば、シャープ記号にみえないこともなかった。
画像は19日、印西市草深で撮す。
パンジイや恋の曲譜の仮栞 鈍太郎
春の野で楽譜帳を閉じようとしているのだろうか。
幼稚園の葡萄棚に新しく袋が掛けてあった。むき出しの葡萄もあって、うまそうに色づいていた。
画像は19日、印西市西の原で撮す。
少年がつまむ少女の掌の葡萄 筑 邨
幼稚園児たちは、またたく間に少年と少女へ育つ。
マンションの通路から、こどもの声が聞こえてきた。
「トンボがいた」
「いた」
しばらく静かだったが、また声が聞こえた。
「トンボ、いなくなっちゃった」
「いなくなっちゃった」
カメラ片手に通路に出てみると、捕虫網と捕虫器を持った四人のこどもがいた。訊くと、二組の姉弟だった。画像は16日、印西市西の原で写す。
ひらひらと来て転ぶ子の捕虫網 加 代
蝶のように、蝶を追ってきた幼女が目に浮かぶ。