紅白の山茶花が咲いている下で、媼が路上を掃いていた。画像は28日、鹿児島市谷山中央で写す。
山茶花の花のこぼれに掃きとどむ 虚 子
掃除しているうちに山茶花の落花にゆきあたったので、そこで掃くのをやめたという句意だろうか。もっと的確な解釈がありそうだ。
梵妻だろうか、境内に隣る空き地で女人が落葉を掃きあつめていた。
画像は27日、鹿児島市谷山中央で写す。
掃き了へて落葉をとむる箒かな 蛇 笏
箒が4本みえるが、4本でとめれば風で落葉がとぶ心配はなさそうだ。
茶の花の蘂に、蜂がとまったり離れたりしていた。
歳時記によると蜂は春、茶の花は冬の季語。画像は26日、鹿児島市谷山中央で写す。
冬蜂の死にどころなく歩きけり 鬼 城
まだ暦のうえでの冬のせいか、薩摩の蜂は長生きし続けそうだった。
民家に丈が追いつきそうに伸びて、ポインセチアの葉が赤くなり、黄色い花が咲いていた。
画像は23日、鹿児島市谷山中央で写す。
ポインセチア愛の一語の虚実かな 源 義
小説のテーマにすると、長編になりそうだ。
住宅街の空き地に皇帝ダリヤがたかだかと咲いていた。花は見慣れていたが、名前は最近知った。
画像は23日、鹿児島市谷山中央で写す。
鮮烈なるダリヤを挿せり手術以後 波 郷
歳時記によると、ダリヤには世界で3万以上の園芸品種があるそうだ。
民家にかかった梯子にサンタクロースの身に扮した3人の人物、ではなく人形が屋根に上がろうとしていた。
画像は21日、鹿児島市谷山中央で写す。
街角にサンタ来てゐる神の留守 とめ子
歳時記によると、神の留守は神無月のこと。
民家の植込みにシクラメンの花が咲いていた。画像は18日、鹿児島市谷山中央で写す。
恋文は短きがよしシクラメン 櫻桃子
つぎの句は、虚子が女弟子愛子に送った句。
虹たちて忽ち君の在る如し
虹消えて忽ち君の無き如し
そして、死ぬまえの女弟子からつぎの電報を受けとったといわれている。
ニジ キエテスデ ニナケレド アルゴ トシ アイコ
百貨店の北海道物産展は熱気がたちこもり、やっとの思いで身欠き鰊の生干しを手に入れた。
画像は16日、鹿児島市金生町で写す。
喪が終り顔なき鰊夜も干す 京 子
おなじ身欠き鰊でも、棒鱈のように固くなるまで干すのだろうか。