ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

磴登る

2008年08月31日 | 俳句雑考

神社の磴を下りきった男が、Uターンして登っていった。
画像は28日、鹿児島市下福元町で写す。

   つゆけき身露けき磴を登りゆく    修 

遍路姿が眼にうかぶ。


キレイデスネ

2008年08月30日 | 俳句雑考

離島の観光案内施設を見学した。画像は29日、鹿児島市南栄で写す。

 咲きつぐ

7月3日付で載せたブーゲンビリアの花は、紫をおびた紅色だったが、新しく真っ赤な花が咲きついでいた。

   天界へ 咲きつぐ沙羅の花のいろ      公 子

歳時記では沙羅の花は夏椿のことであるが、引用句の場合はインド原産の沙羅樹のように思える。

 ハイビスカス

黄色いハイビスカスは珍しいと思って撮ったが、薩摩では珍しくないそうだ。

   ハイビスカスばかり働き者ばかり    静 江

還暦が過ぎても、働いている薩摩隼人は珍しくない。

 嬉しげに

ブーゲンビリアの花にとまって、揚羽蝶がはばたいていた。

   蕊に着きはばたく揚羽嬉しげに     豊 水

ブーゲンビリアの蕊には、たっぷりと密が含まれているのだろう。

  外人

南国的な広い庭園には、人影は外人客だけだった。

    口きいて外人と知る冷房車      忠 男

「キレイデスネ」
と、行き交うとき外人から声をかけられたので、こちらも応じた。
「ビユテフル」
うなずきながらだったので、うまく発音できなかった。あとで「ワンダフル」というべきではなかったかとも考えた。


渓流

2008年08月29日 | 俳句雑考

渓流に沿って小径を歩いた。暑さはやわらいで凌ぎやすかった。
画像は28日、鹿児島市慈眼寺で写す。

 青葉

渓川は森のなかを蛇行していた。

   青葉若葉時が私を取り残す      星 城

渓川は時間のように流れが速かった。

 通し鴨


通し鴨だろうか、川石にとまって羽を繕っていた。カメラをむけると静止した。近くに仲間は見かけなかった。

   通し鴨番ひはなれてありにけり      喜 舟

鴨といえども、夏は夫婦のあいだに距離をおきたいのだろうか。

 巨人

盤石に木が生えていた。

   昼夜なき巨人の歩み年は去る             蓼 汀

巨人は時の暗喩と受けとった。木の根は盤石を伝う巨人の足のようにみえた。

 紺揚羽


紺揚羽が岩床にとまって、はばたいていた。

   一掬の風とよぎりし紺揚羽     柏 翠

一瞬のできごと。

 姉弟

姉と弟だろうか、浅瀬に浸かって何かを採っていた。

   姉弟青のみどろに入りゆけり      晶 子

ふたりは慈眼寺に避暑に来たかのように色が白かった。


句碑

2008年08月28日 | 俳句雑考

桜島の神社の境内の溶岩に、句碑が建っていた。
由来書によると、自筆の揮毫であり、つぎのように読むそうだ。画像は26日写す。

   溶岩に秋風の吹き渡りけり  虚 子

由来書によると、句意は「この溶岩は、大正13年の爆発によって流出したもので、この下に幾つかの村が埋没しているが、今はただ秋風が吹くばかりである」


錦江湾

2008年08月27日 | 俳句雑考

26日、フェリーで錦江湾を鹿児島市小川町あたりの港から桜島まで往復した。画像はそのときに写した。

 サクラジマサイジャククラブ


往路に乗り合わせたサッカークラブのこどもたちに、声をかけた。
「どこのサッカークラブですか」
「サクラジマサイジャククラブです」
「最も若いクラブ?」
「最も弱いクラブ!」
サイジャククラブにはポニーテイルの子が数人いた。

   脱ぎしシャツ振りサッカーの勝者たり    實

汗だくのシャツを、さっと脱いで。

  長閑    

何船だろうか、交叉するときサッカーの子たちが手を振ると、日焼けした若い船員が白い歯を見せて、白い手袋をはめた手を振って応えた。

   いつまでも手を振る島の人長閑     房 子

最後は爪立って。

  ヨット

海上にはヨットが浮かんでいた。甲板にいると判らないが、風はないようだった。

   傾きをもどして進むヨットの帆      悠 子

順風満帆。

  国富むかに

桜島の埠頭では人々が釣りをしており、錦江湾越しの鹿児島市街は大都会に見えた。

   壺焼や島から観れば国富むかに     海 市

鹿児島県には離島が多いが、島人はそのように思っているようだ。

  横波

海の色は碧く、船の横波は生ビールの泡のようだった。

   甲板に今日愉しまむビール乾す    和 子

 そうしたかったが、乗っている時間が短かった。


捕虫網

2008年08月26日 | 俳句雑考

幼い兄妹が捕虫網で、公園の何かを採集していた。
画像は24日、鹿児島市谷山中央で写す。

      捕虫網雲より白さ得しごとし   つとむ

夏休みも終わりに近いのに、兄妹の捕虫網はまだ白かった。


航跡

2008年08月25日 | 俳句雑考

雨催いのなか、フェリーが航跡白く出航した。画像は21日、鹿児島市鴨池で写す。

   潮追ひの航跡太し南風ぐもり    研 三

 潮追いとは満潮、干潮の際に、それと同じ方向に吹く風のことらしい。


ユーカリ

2008年08月24日 | 俳句雑考

ビル街の並木にユーカリが混じっていた。
標識によると、コアラの好物であり、動物園のある場所から移植したそうだが、コアラに囓られた痕跡があるような感じがした。画像は22日、鹿児島市鴨池で写す。

   ユーカリを仰げば夏の日幽か      虚 子

北総の旧宅のベランダから、晴れた日はニュータウン「ユーカリが丘」の超高層マンションが遠望できた。逆にそのマンションから拙宅が見えるかどうか、知りたかったのだが。


市電

2008年08月23日 | 俳句雑考

市電に乗っていると夕立が降ってきた。乗ってきた媼は座席に腰をおろすと、傘を広げて乾かしはじめた。
画像は22日、鹿児島市宇宿あたりで写す。

      多喜二忌の市電に走り追ひつくも      静 江

韋駄天走り。


烏瓜の花

2008年08月22日 | 俳句雑考

早朝、烏瓜の花が咲き残っていた。画像は21日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   妖精の編棒烏瓜咲かす     佳世子

どのように編まれて咲くのか、烏瓜が花ひらくところを見たことがない。


公園の憩い

2008年08月21日 | 俳句雑考

夜来の雷雨が去って、午前9時を過ぎても珍しく涼しく、公園は人々の憩いの場になっていた。

  母子


谷山中央の公園では若い母親が子守をし、老人たちが談笑していた。
花壇の薄紫の花にはルリマツリと名札が添えてあったが、手もとの歳時記には載っていなかった。画像は20日撮影。

  流木に陽が降る母子来て坐せば     三日女

夜来の雷雨は、これまでに経験したことがないほど凄まじかった。 公園の母子は、その恐ろしさを思い出しているようでもあった。

 帰省


慈眼寺の公園では若者がギターを奏でていた。これまでに聴いたことのない曲だった。画像は20日写す。

   帰省子を待つ地球儀とギターかな     まどか

旧盆中は帰省者で賑わったが、静けさが戻った。 帰省子は二学期が始まらないので、まだ残っているようだ。


台風対策

2008年08月20日 | 俳句雑考

隣より低く構えた木造家屋があった。台風対策だろうか。
画像は19日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   台風の浪見て墨を磨りにけり        誓 子

万全の台風対策を講じてあったゆとりから、来襲の様子を客観写生し、その一句をしたためるために墨を磨りはじめたのだろうか。


峰雲

2008年08月19日 | 俳句雑考

ふたりの天使像が大きな玉にとりついていた。渾身の力をふりしぼってどうにかしようとしていたが、玉を動かせないようだった。
画像は18日、鹿児島市谷山中央で撮す。

   峰雲にかさなりそだつ峰雲あり    梵

天使像の上空の白い夏雲も、峰のように動かなかった。


雲南合歓

2008年08月18日 | 俳句雑考

民家の柵の内に合歓に似た花が咲いていたが、葉のかたちが北総の合歓とは異なっていた。
画像とは違う場所でも咲いており、それにはウンナンネムと名札が添えてあったので、帰宅して調べた結果、漢字は雲南合歓だった。画像は17日、鹿児島市谷山中央で撮影。

  同衾

今朝6時過ぎに見に行くと、葉は北総のそれと同じように、花の名前の由来どおり同衾を想像させた。画像はそのとき写す。

   日本に小野の小町や合歓の花    あした

「象潟や雨に西施がねぶの花   芭蕉」を踏まえていると受けとった。


遊歩道 

2008年08月17日 | 俳句雑考

産業道路と並行して、熱帯植物を中心とした緑地帯が延々と続いていた。
その中心に遊歩道が蛇行していた。画像は14日、鹿児島市谷山中央で撮影。

   花冷や人影もなく遊歩道      椅智子

夕方五時を過ぎていたが、緑地帯の暑気は去っておらず、人影はなかった。