ターボの薩摩ぶらり日記

歳時記を念頭において

山茱萸

2010年02月28日 | 俳句雑考

民家の庭木になじみの黄色い花が咲いていた。
春になってまず咲くからマンサクと呼ばれるという金縷梅と確信したが、最近この確信で失敗しているので、念のため帰宅して調べると山茱萸だった。画像は27日、鹿児島市谷山中央で写す。

追記
昨年は2月26日付で「金縷梅」と題して載せている。

    山茱萸といふ字を教ふたなごころ    和 子

教えられる方は、手のひらに白魚のような指で書かれても、くすぐったいだけだったのではないだろうか。それよりも、歳時記に載っている花や鳥の漢字はどうしてかくも難しいのかと、憤慨に堪えなかったと思う。


芽と棘

2010年02月27日 | 俳句雑考

民家の生垣の薔薇が芽吹いていた。画像は25日、鹿児島市谷山中央で写す。

    薔薇の芽と棘と睦みて雨の昼     狩 行

まだ芽も棘もいたいけな段階。やがて花が咲くと、葉は軽視され棘は嫌われてしまう。


椋鳥

2010年02月26日 | 俳句雑考

椋鳥が群がって雑草のなかを啄んでいた。カメラをむけると、ほとんどが動きをやめてこちらをうかがい、シャッターを鳴らすと飛びたった。
画像は25日、鹿児島市谷山中央で写す。

   人われを椋鳥と呼ぶ諾はむ    風 生

作者は群れたがる性質を自認しようとしているのだろうか。


二月

2010年02月25日 | 俳句雑考

所用をすませてから、陽気につられてあたりを散策した。
画像は24日、鹿児島市城山町で写す。

 

公園は芝が青く、人が憩い鳩が群れていた。

   街に来る神宮の鳩春隣      脩

公園の近くには大きな神社があった。

  欅か

民家の庭木の木蓮か辛夷と桃が咲き競っていた。

   二ン月や欅はいまだ黙し立つ     和 子

画像の奥の裸木は欅だろうか。


野良仕事

2010年02月24日 | 俳句雑考

春の花を撮り歩いたあたりでは、人びとが野良仕事に精を出していた。
画像は21日、鹿児島市下福本町で写す。

 桃源郷

梨畑のようなところがあった。働いていた農夫に訊くと、桃園だった。

   百生きて嫗恥ぢけり桃の宿   華 園

桃源郷だろうか。

 鍬音


   山桜あさくせはしく女の鍬     草田男

薩摩おごじょの鍬さばきは、引用句とは逆だった。

 耕耘機

   すぐ止まり又すぐ働く耕耘機     豊 水

耕牛のような耕耘機にちがいない。

 翡翠

    翡翠の紅一点につゞまりぬ   虚 子

野良仕事の写真を整理していると、翡翠が佇んでいる一枚があった。この体験は半月前にしたばかり。


カメラ店

2010年02月23日 | 俳句雑考

駅ビルの一角にオープンしたカメラ店をのぞくと、月曜日の昼下がりにもかかわらず混んでいた。
画像は22日、JR鹿児島中央駅内で写す。    

   風邪に臥す入手の写真機添はしめて     豊 水

ライカだろうか、コンタックスだろうか。やっと手に入れたカメラと添い寝。


花々

2010年02月22日 | 俳句雑考

郊外を歩いて、春の花を撮った。画像は21日、鹿児島市下福元町で写す。

 ミモザ


   花ミモザ溢るるごとき明日はあり    美恵子

パリにでも出発する前夜の作だろうか。

 金雀枝か


   金雀枝や基督に抱かると思へ    波 郷

敗戦直後、くちすぎのためになった進駐軍相手の娼婦を詠った句とする説がある。 そのひとり鈴木しづ子への呼びかけだろうか。

   黒人と踊る手さきやさくら散る     しづ子

   まぐわひのしづかなるあめ居とりまく  〃

 沈丁


   沈丁の香をのせて風素直なる     一 歩

昨日までの寒風がうそのような春風。

 きぶし


   有求必応きぶしの花を垂示さる    海 市

鎌倉での吟詠。

 花杏か


   花杏受胎告知の翅音びび     茅舎

蜂だろうか、と追求してはいけないと思う。


木蓮

2010年02月21日 | 俳句雑考

民家の庭木に木蓮らしいが、辛夷かもしれない白い花が咲いていた。
帰宅して調べると、辛夷は花の向きがばらばらで花の下に若葉が一枚つき、木蓮は花が上を向いていて葉がつかないとの由、画像は木蓮と推定した。20日、鹿児島市谷山中央で写す。

   木蓮に白磁の如き日あるのみ      しづの女

中七下五だけでは木蓮か辛夷か判断できないと思っては、俳諧については門外漢といわれるかもしれない。


冬菫

2010年02月20日 | 俳句雑考

舗道と石垣の境のわずかな隙間に菫が咲いていた。画像は17日、鹿児島市谷山中央で写す。

   冬菫少年拳で嗚咽せり      慎 爾

会期中の冬期オリンピックで、そのような場面をテレビが放映していた。


写真

2010年02月19日 | 俳句雑考

校庭で芝生を張っていたので、作業員に写真を撮ってもいいですかと声をかけて、返事をもらう前にシャッターを押した。
すると、作業員から写真を撮ってどうするのかという意味らしい丁寧な薩摩弁が返ってきた。どのように説明したらいいか迷っていると、作業員は下をむいて作業を再開した。
翌日、知人に会って状況を説明し、確認したかったので薩摩の敬語で「写真を撮ってどうするのですか」とは、どう表現するのかと訊くと、
「鹿児島ではヨカデスヨと返事をする。その目的など訊ねない」
と、応えた。画像は16日、鹿児島市谷山中央で写す。

   春愁の吾を写真に撮るといふ     爽 波

作者は撮影目的を訊いただろうか。


深山霧島

2010年02月18日 | 俳句雑考

JR谷山駅近くの民家の庭に、躑躅が咲き誇っていた。色が深山霧島の明るい赤紫に似ていた。
画像は17日に写す。

     深山つつじ朝々霧のおろしけむ     亜 浪

深山とは奥深い山のことかと思っていたが、広辞苑によると、それは二番目の意味であって、山の美称なのだそうだ。


木瓜の花

2010年02月17日 | 俳句雑考

民家の庭に木瓜の花が咲いていた。画像は16日、鹿児島市谷山中央で写す。

   古木瓜を咲かせて陶師沈寿官       敏 郎

引用句に接して、沈寿官の窯元の木瓜の花を思い出した。2008年12月25日付の日記につぎの画像を載せている。


医者と酒屋の間

2010年02月16日 | 俳句雑考

検診の結果、医者からガンマーナントカの数値が高いから、長生きしたければアルコール類をひかえるようにと注意された。
病院を出てドアを閉めてから、アルコール類をひかえてまで長生きしたくはないと呟くと、つながれていた犬に仰視された。カメラをむけてシャッターの音をたてても、犬は仰視をやめなかった。画像は15日、鹿児島市谷山中央で写す。

   医者どのと酒屋の間の杏かな    召 波

「酒は百薬の長」が句意と解釈すると、牽強付会の説といわれるだろうか。


白孔雀

2010年02月15日 | 俳句雑考

平川動物園には何回も来ているが、白い孔雀がいるのに初めて気がついた。画像は13日に撮影。

   白孔雀白鮮かな木の葉髪       誓 子

木の葉髪とは林道を散歩していて、頭に落ちてきた枯葉をそのまま被っていることと思いこんでいたが、冬の抜け毛のことと知ったときは身につまされた。
引用句の場合は白孔雀のような銀髪だろうか。


春愁

2010年02月14日 | 俳句雑考


オラン・ウータンが布を被って座りこんでいた。画像は13日、平川動物園で写す。

やがてのっそりと歩き出した。

食餌の置き場に行ってパンを一切れくわえた。

元の場に戻って食べ始めた。

すぐに食べるのをやめて、奥に引っこんだ。表情が暗くなっていた。

   春愁か類人猿の食ほそく    

帰りのバスのなかで、オラン・ウータンのしぐさを思い返し、五七五にまとめてみようと試みた。