何の木だろうか、公園の紅葉がはじまっていた。
画像は27日、鹿児島市谷山中央で写す。
紅葉谷知りつくしたる案内かな 庄 蜂
角川大歳時記には紅葉する木として楓、満天星、葡萄、柿、梅、漆、櫨、桜、白膠木、柞、櫟が季語として掲げられているが、ぜんぶ知っている案内人。
郊外に行くと、桜島を背にして稲が稔っていた。
画像は24日、鹿児島市滝ノ下で写す。
美しき稲の穂並の朝日かな 路 通
滝ノ下の穂並はよく垂れていた。
曼珠沙華
穂並を背にして曼珠沙華が咲いていた。
近頃の西日冷まじ曼珠沙華 蓼太
歳時記によると「冷まじ」は「スサマジ」と読み、秋の季語。冷然、凄然とした雰囲気なのだそうだ。
民家の石垣の内から外へ、萩が咲きなだれていた。
画像は23日、鹿児島市谷山中央で写す。
萩の風何か急かるる何ならむ 秋桜子
秋になったら何かしなければならないことがあったが、それが思い出せないという句意がろうか。
雨中の緑地帯に曼珠沙華の名にふさわしい花が咲いていた。
画像は彼岸の入りの20日、鹿児島市谷山中央で写す。
曼珠沙華喜寿と思えぬ美女ばかり 千枝子
そういわれれば、写真で拝見する閨秀俳人は美女ばかりと思う。
コスモスの原種に似た花が線路脇に咲いていた。
写真にして眺めているうちに、関心が線路内に生えている草に移った。
画像は19日、鹿児島市谷山中央で写す。
夏草に汽罐車の車輪来て止る 誓 子
引込線の終点でSLを受けとめる勁い夏草。
駐車場」の隅の草むらに、淡色の彼岸花が群れ咲いていた。
画像は17日、鹿児島市谷山中央で写す。
彼岸花の白きは幽冥界のもの 白葉女
おなじ花でも歳時記には、曼珠沙華の方が彼岸花より例句が多く載っているが、曼珠沙華は「赤い花ならー」の歌の印象が強いので、引用するのに彼岸花を選んだ。
露草
民家の庭隅に露草が群れ咲いていたので、庭いじりをしている主婦に声をかけた。
「みごとな露草ですね」
主婦こちらをしばらく見ていたが、ぽつりと言った。
「トレニアといいますが」
帰宅して歳時記ではその名を探し出せなかったので、薩摩露草と命名した。
画像は16日、鹿児島市谷山中央で写す
蓼の花
道の辺に蓼の花が咲いていた。画像は14日、鹿児島市平川で写した。
いのちなり露草の瑠璃蓼の紅 波 郷
肺患の成形手術を前にした吟詠と思う。
民家の生垣に小さな赤い花が咲いていた。
これまでに見たことがないか、見たことがあっても注意を払わなかった花だった。
帰宅して調べた結果、丁字らしかった。画像は14日、鹿児島市平川で写す。
丁字咲き夫婦が一つづつ咳す 双 魚
一方があくびをすれば、片方もするような夫婦。