ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

アジサイ

2014-07-05 14:27:00 | Weblog
梅雨は鬱陶しいけど、東京の道は、靴も洋服の裾も汚れないので、比較的快適だ。
私が小さかった頃は、駅までの道で、すっかり泥がはねたものだけど、いまはそんなこともない。
同時に、日本人の潔癖さも加速したような気もする。

会社の近くで見つけたアジサイは、非常に美しかった。



埃まみれでない花を見ると、ここが上海ではなく、東京なのだと実感する。

昨日は、夕方から会社の中国エリアで
「どうしてまた、何度も同じミスを繰り返すのか」というようなトラブルがあって、
もしかして行けないかもと思ったのだが、
なんとか遅刻しつつも聞きに行った。

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所主催の
「チベット亡命政権 議員講演会 チベット近況報告と中道のアプローチについて」。

亡命政府の議員が3人来日していて、
現在の状況や取り組みや、亡命政府としてのメッセージを紹介してくれた。
議員のうち1人は、中国チベット自治区で育ち亡命した人。2人はインドで育った人だった。



日本人は、まずチベットの問題云々の前に、中国人という人たちを知らないと思う。
チベットが交渉している相手は、あの漢族たちなんだ。
他人の話になんか耳を傾けない。軍事力と経済力が価値観のすべてである、あの人たちだ。
そして、あの漢族に対し、亡命政府は中道の和解策を訴えつづけている。

もともと、チベットという独立国であったけれど、中国からの独立は求めないので、
せめて、中国の行政区に取り込まれることによって分断されてしまったアムド、カム、ウツァン地方、
現在の青海、甘粛の一部、四川の一部、そしてチベット自治区を1つの行政区として、
チベット人による自治によって、文化と歴史を守れる生活を保証して欲しい、というものだ。

いま、中国に住むチベット人(チベット族)には、中国人としての基本的な権利すら与えられていない。

私たちがよく見かける街でうるさい人たち=日本を訪れている多くの中国人は漢族であり、
チベット族やウイグル族は、漢族では簡単なパスポートの取得はおろか、
甘粛、青海、四川のチベット族は、チベット自治区に入ることすらできない。

漢族はいくらでもチベット自治区に入れる。
チベット族はいくらでも漢族の土地に行くことはできる。
でも、そもそもチベットであった青海、甘粛と四川の一部に住むチベット人は、
ラサに行くことができない。聖山カイラスにも行けない。

チベットの土地の企業はすべて漢族による運営で、
チベット語は第2言語のため、漢語(中国語)ができなければ、仕事にすら就けない。

以前は1年に何千人という亡命者がいたが、現在は中印の国境警備が厳しくなり、
年間数百人も亡命できないという。
でも、国土も産業もない亡命政府が、自分たちの国民を守るのは至難の業だ。
チベット亡命政府は、国土も産業も、そして軍隊も持たない政府なんだ。

時々、ラマに特殊な能力があると信じて「救ってください」とすがりに行く日本人を見かけるけど、
もしそんな能力があったら、ラマたちは国土を人民解放軍に取られることもなかったろう。
とっくのとうにチベット問題を解決しているだろう。
こんなにも、いまチベットに住むチベット人たちが、
ダラムサラの同胞の政府に希望を見いだしつつ、救いには来てくれないと絶望することもないだろう。

もし、私たち日本人が、過去の「侵略戦争」と呼ばれる戦争を少しでも反省するのなら、
満洲国建国や国民党の首都南京攻略を反省するのなら、
いま、同じことをやっている中国に対しても、言わなければならない。

あなたたちの中国が国家としての形を変えたとき、
いま何十年にも渡って、あなたたちが抗日ドラマを流し続けるように、
この先のチベットの人たちは、あなたと地続きのところで、あなたたちを恨み続けるのですよ。
ひいては、あなたちの子孫のためにならないと思いませんか。
だから、基本的な中国人としての権利がもらえるだけでいいと言っているのだから、
それだけでも、改善していきませんか、と。

そのためには、海外からの声が必要だと思う。
軍事力も経済力も持たない人の意見なんて、聞く耳持たないのが漢族なのだから。


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