ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

虚無の信仰

2010-07-28 20:49:25 | Weblog
昨晩、梅干しを陰干しした。
夜21時ごろに干して、朝7時に取り込んだ。
かわきぐあいがちょうどよかった。
私の記憶にある梅干しの姿と同じだった。

ということは、
20年前は、いまの夜の気温が昼間の気温だったのだろう。
そういえば、30度を越えることもそんなになかったし、
朝のラジオ体操の時間、もっと涼しかったと思う。
天日干しは、きっとほんの少しの時間でよかったんだ。
いやはや。

スピノザの『エチカ ー倫理学』にトライしてみた。
でも、案の定、最初の30ページでギブアップしてしまった。
キリスト教の神を「あるもの」とするために展開される論理は、
その「神」を切望していない私にとって、
最初からまったく興味をもてないものだった。

いきなり高いハードルに挑みすぎたと思い、
『虚無の信仰 西欧はなぜ仏教を恐れたか』という本を読むことにした。

西欧が仏教にふれたとき、
仏教は虚無を広める信仰、魂の消滅を説くおそろしい宗教だと思われた。
西欧の価値観は、今私たちが会社で接する「成長」「拡張」そのままだ。
それに反して仏教は、「涅槃」を説く。
19世紀、ヨーロッパこそが世界の中心だと信じていた西洋人に、
インドで生まれた仏教という思想が、理解できたわけがないだろう。

この本は、西欧が仏教にいかに戸惑い、
理解ができず、そして勝手なイメージをつくりあげたのかを
わかりやすく示してくれる。
そして、そこで繰り広げられた論争は、
行き詰まったヨーロッパの姿の判じ絵だった。

文明の出会いの歴史として、とても面白い。

固有物としての「ある」の文明と、相互が影響し合ってうまれる「縁起」の文明。
レヴィナスがいう「イリヤ(ある)」の深遠なる口を覗き込むのなら、
私は、「縁起」のなかで自分が希薄になるほうがいい。


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