ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

北京色

2014-10-21 21:23:03 | Weblog
香港の学生たちの主張を見ていて、
そういや、もとから共産党の支配下で生まれた人以外で、
「中国人民」になりたいと言う人はいないと思った。

私が知ってる上海人は、自分を「上海人」だと思っていて、中国人民とは思っていない。
外省のアホどもと一緒にするな、ぐらいな勢いだ。
ついでに、香港人は自分たちよりも「ハイカラ」なので、目の上のたんこぶくらいな感じ。
中国人民だと思うのは、抗日のスローガンを叫んでいるときくらいじゃないだろうか。
それすら、上海人はダサいからやらないだろう。
だから上海だけで独立したい、などと言い出す。

それにしても、香港の学生は、粘るし、すごいなあ、と思う。
大陸の大学生たちは、もうすっかり、あきらめきっている。
天安門事件のようなパワーの発露はなく、長いものに巻かれつつ、
もうバブルは終わった後の世代なので、とりあえずなんとなく、という感じだろうか。

バブルのツケと言うべきか、北京はすごい大気汚染だ。
今日は上海も空気が灰色だったらしい。
上海のスタッフが、灰色のことを、「北京色」または「PM2.5色」と言っていた。
それでイメージが共有できるくらいだ。

そんな昨今、日本と中国が違うなあと思うことがある。
日本では、もし首都東京が北京並みの空気汚染だったら、東京人は差別されるだろう。
日本は1945年の頃から、被爆者に対する偏見と、
原爆の被害地の人たちには言われのない差別があった。
高度経済成長期には、公害発生地区の人も。
そして、いまは福島の原発が同じような差別を生み出しているという。

でも、中国ではそういう話を、あまり聞かない。
もっとも、ぜんぜん違う差別はある。
出身地による差別は、それこそ日本よりひどいだろう。
でも、環境汚染をネタに、その地域すべてを差別する、
しかもそれが都市レベルであることは、あまり聞かない。

とにかく、汚染がひどい地域からは「逃げ出せる」人が勝ち組、
逃げ出せない人は負け組、くらいな違いだ。
だから、一番は、中国という国から逃げ出せる人が勝ち組だ。
香港の人たちとは、自分の生まれ育った土地に対する愛着心が全然違うと思う。

だからこそ、中国人が日本に対して抗日運動をやると、
最近はすごく猜疑的に眺めてしまう。
あんたらそこまで、愛国心あるっけ? 自分の故郷に愛着あるっけ?と。

でもそれは、実際に抗日戦争を戦った人たちの想いとは違うと思う。
あの時代の人たちは、どこの国の人たちも、
自分の国のために一生懸命戦ったと思う。
日本も、中国も、韓国も、そして他の国の人たちも。
それは、否定されるべきことではないだろう。


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