ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

日本はいい

2011-06-14 19:57:05 | Weblog
日本は静かでいい。

上海で泊まっていたホテルは、安ホテルだったからしょうがないのだけれど、
夜遅くまでカラオケの音が聞こえてくるし、
なんといっても窓のすぐ外側の踊り場に、
ホテルの人の物干があって、夜中にタオルを干しにくる&歌っている。
なぜ、夜中の2時に上機嫌で歌えるのか、
階段をガンガンと大きな音を立てながら登り、
下の階の同僚に大声で何かを叫べるのか、その神経が、やはりわからない。

ま、そんなことは中国では普通のことだから、しょうがない。

今回上海に行く前に、漫画『虹色のトロツキー』を読み、
旅には『謎解き「張作霖爆殺事件」』を持って行った。
そして、昨日、むかし日本の租界があったあたりを歩き、
やっぱり、私はオタク文化を追いかけるよりも、こっち向きなんだよな、と思った。

オタク文化は、いま、中国でも盛り上がりつつあるけれど、
「流行しそうだから」という理由で無理に触れようとすると、
やっぱりすぐに反動がくる。
肌にあわないものは、好きな人に、たまに教えてもらうくらいでちょうどいい。

上海の旧日本租界があったところは、中心から少し離れている。
確かにあそこなら、いろいろと謀略をめぐらせるのに好都合だったろう。
でも、大陸は広く平らで、山も海も、住んでいるところから臨むことはできない。
きっと、あそこに住んだ日本人は、すごく寂しかっただろうと思う。
上海には街路樹もあるし、公園もあるし、緑はそこそこあるのだけれど、
山や海の色を見て季節を感じる習慣が、日本人には染み付いていると思う。
あとは星座。上海は星も見えない。

中国が大好きで、中国に住む人もいるけれど、
多くの日本人にとって、それが望まない人事異動であるひとつの理由は、
山、海、星が遠いことにあるのではないかと思う。

戦争のころ、帰国するには、船しか方法がなかった。
いま、飛行機の本数は多いし、3時間くらいで気楽に帰れる。
敗戦の夏、みんながどんな気持ちで祖国を目指したのかと思うと、
いまからでも間に合うのなら、一緒に連れて帰ってあげたいと思った。
北京では感じなかったような気持ちだ。
多くの人が亡くなった南の島に行くと、もっとこんな気持ちが募るのだろう。