ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

ダライ・ラマ、イエスを語る

2009-03-06 22:56:21 | Weblog
ダライ・ラマ、中沢新一訳、角川21世紀叢書

人の可能性を信じさせてくれるダライ・ラマという人物は、
その存在自体に「ありがとう」と言いたい気持ちになる。

1994年にロンドンで行われたセミナーの内容を文字に起こしたこの本は、
多少、ベネディクト会士の前フリが長くて、「いつ本題に入るんだよ!」という
気持ちになるものの、ダライ・ラマによる「福音書」の解釈がとても面白かった。
でも、セミナーの中心である仏教徒とキリスト教徒が一緒に行う瞑想は、
文字に起こせないことなので、収録されていない。
でも、そこに何か、濃密で豊かな時間があったことは伝わって来る。

ダライ・ラマの本を読んでいると、いつも
「学ぶこと」と「深く考えること」の大切さを教えられる。
知識と経験に裏付けられた智慧は、宗教の垣根をこえて、
柔軟に、宗教が訴えたいその本質を語る。

特に、キリスト教の「父」「子」「聖霊」を
仏教の「法身」「報身」「応身」と比較したくだりには、
「なるほどな~」と思わされた。
妄信して、無理にでも守ろうとするのではなく、可能な限り柔軟に、様々なことを考える。
これが、ダライ・ラマという人の魅力だと思うし、仏教の優れているところだと思う。

おそらく育った環境の影響だろうと思うけど、
やはり、キリスト教よりも仏教のほうが、すべてにおいてしっくりくる。
またいつか、チベットに行きたいなあ。