映画鑑賞感想文

濫観っていうか、乱観っていうか・・・ポリシーないですけど(^^;

『剣鬼』

2010-09-10 12:39:59 | Weblog
1965年 日本
監督:三隅研次
出演:市川雷蔵、佐藤慶、姿美千子、五味龍太郎、睦五郎、工藤堅太郎、戸浦六宏、内田朝雄

というわけで、三隅研次監督&雷蔵さんの「剣三部作」、第三作目の『剣鬼』です。

犬と人間の間に生まれた犬っ子だとさげすまれ、誰にも相手にされず、孤独に暮らしている無足の斑平。けれど彼には花作りの才から、馬よりも早く走る才も、さらには偶然山中で見かけた老人の居合術の稽古を見ているだけでその極意を習得してしまう武術の才まであって・・・ちょっと尋常じゃない天才青年なんですよね。けれど、人柄的には少し白痴的な感じがあって・・・能力を御家の勢力争いに利用されてしまう。人に認められたり求められたりすることなく育ってきたため、認めてくれる人、求めてくれる人の為に、一生懸命働いてしまったという感じですかね。

とにかく、悲劇的な人生なんですが・・・主人公が自分の欲で動いていないので、執念とか怨念とかいったものがなく全体的に淡々としていて、ドロドロしたイメージはない映画です。ただ、主人公の斑平が、オールマイティーな才能を持ちすぎているのが、あまりにも非現実的で笑えちゃうところではあります。

それにしても・・・雷蔵さんは、いろんな役ができる人ですよね。ノーブルでナルシスティックな役にダダはまりするくせに、その真逆な役にも違和感がないです。ただ、そう・・・何をやっても下品にはならないかな・・・うん、粗野な役は、ちょっと無理かもしれませんね。今回も、立ち回りが美しい。斑平は居合いの達人なので、大人数相手の大立ち周りの時にも、たえず剣を鞘に納めるんですが・・・その仕草がとてもステキであります、はい。


『OBERON日記』
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『生声日記』
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『斬る』

2010-09-10 12:18:14 | Weblog
1962年 日本
監督:三隅研次
出演:市川雷蔵、藤村志保、渚まゆみ、万里昌代、成田純一郎、丹羽又三郎、天知茂

秘められた生い立ちをもつ若者、高倉信吾。しかし、養父である信右衛門に愛情深く育てられ、藩主の牧野遠江守公にも可愛がられ、けっして裕福とはいえないいにしろ、それなりに幸せに育っていた。しかし、彼が遠江守公に寵愛されることを快く思わない池辺親子は、信吾の妹の芳尾を嫁に貰えなかった事への恨みもあり、信右衛門と芳尾を斬殺して脱藩逐電する。信吾は彼らを追い、無事に討ちはたすのだが、そのまま行方を眩まし、放浪の旅にでる・・・というようなお話。

『剣』の感想で言った様に、『剣』『剣鬼』と合わせて、三隅研次監督&雷蔵さんの「剣三部作」の一つで、第一作目にあたりますね。けど、この映画は、雷蔵さんより、脇の女性たちが凄いのですよね。信吾の実の母役の藤村志保さん、信吾が流浪の旅に出てから出会った姉弟の姉で、弟を逃がすために追っ手の前に全裸で立ちはだかり、大立ち周りをした田所佐代役の万里昌代さんが、ほんと強烈です。というわけで、この映画をご覧の際には、ぜひとも女性陣にご注目ください。

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『剣』

2010-09-10 11:58:54 | Weblog
1964年 日本
監督: 三隅研次
出演: 市川雷蔵、藤由紀子、川津祐介

ストイックに剣の道に打ち込む剣道部主将の国分次郎。そのあまりにも真っ直ぐな姿勢に心酔する後輩もいるが、当然、反発するものもいる。そして、彼の価値観・美意識が、現実の世界から乖離していることを認めざるを得なくなったとき、国分が選んだ道は・・・

『斬る』『剣鬼』と合わせて、三隅研次監督&雷蔵さんの「剣三部作」といわれている作品ですが・・・わたしは、断トツにこの『剣』が好きです。正直に言うと、三島由紀夫さんの小説はあまり好きではないのですが、雷蔵さんが三島作品に出ると、なぜか超好みな仕上がりになるんですよね、困ったことです(爆)。

というわけで、もう何度も見ている映画なのですが・・・これを、主人公の国分くんと、あまり違わない年頃に見たときには、そりゃあもう強烈に共感したのですよ。ラストまで含めて共感したのですよ。けれど、今となると、やっぱりラストはイタダケマセンね。それが、わたしが三島ワールドに嵌れない理由なんだと思いました。

そうそう、国分さんに憧れている後輩が、国分さんの真似をして笑うと、別の後輩が「国分さんの笑顔はもっと美しい」っていうシーンがあるんですが・・・まったくもって、そうなんですよね。あの笑顔を演じられる市川雷蔵という人は、やっぱり凄い役者さんだったんだなぁと思います。


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『サマータイムマシン・ブルース 』

2010-09-10 11:36:46 | Weblog
2005年 日本
監督:本広克行
出演:瑛太、上野樹里、真木よう子、佐々木蔵之介、升毅、与座嘉秋、川岡大次郎、ムロツヨシ、永野宗典、本多力、三上市朗、楠見薫、川下大洋、伊藤紘介、石田剛太、酒井善史、諏訪雅、中川晴樹

大学のSF研のメンバーたちが、部室のクーラーのリモコンが壊れて暑いので、それを何とかするためにタイムマシンを使ってリモコンが壊れる前の昨日にタイムトラベルするという、まことに馬鹿馬鹿しいお話(^^)。

なんでも、監督がヨーロッパ企画の芝居が好きで、上田誠さんに脚本を書いてもらったらしいですよ。たしかに、ああ~、うん、ヨーロッパ企画臭がする(笑)。だから、基本的には、好きな世界です。ヨーロッパ企画も好きだし、SFも好きだし、小ネタを積み重ねたようなオバカな構成は大好きですからね。

けど・・・やっぱり舞台向きなのかな・・・映画だと、ちょっと散漫になっちゃって、集中しきれないような気はしました。でも、そう、今言ったように基本的には大好きな世界ですから・・・ええ、基準値以上には十分楽しみました、はい(^^)。

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『食料品屋の息子』

2010-09-10 11:05:15 | Weblog
2007年 仏
監督:エリック・ギラド
出演:ニコラ・カザレ、クロティルド・エスム、ダニエル・デュヴァル、ジャンヌ・グピル

30歳にもなってパリでプータローをしているアントワーヌ。そんな彼のもとに、田舎で食料品屋を営んでいる父親が倒れたという知らせが届く。父の入院中、田舎に戻り、移動販売を手伝ってくれないかという母親の願いを、お金を貸してもらうことを条件に引き受けるアントワーヌ。実はアントワーヌには密かに恋心を抱いている友人のクレールがいた。彼女は27歳だけれど、大学に行こうと勉強している頑張り屋。彼女を援助してイイ格好したいがために借りたお金だった。クレールは、勉強に専念するためにも静かな田舎に行きたいと、帰省するアントワーヌに同行。それにはルンルンのアントワーヌだが、もとが不順な動機で引き受けた仕事だから、どうにも身が入らない。移動販売先の高齢の客たちとも、家族とも、そして肝心のクレールとも、アントワーヌの身勝手から関係が拗れ、クレールはパリに戻ってしまう。ドン詰まりになってはじめて何となく工夫をしはじめたアントワーヌは、次第に仕事にも馴染み、客たちとの仲も良好になっていく。そんな時、父が無理やり退院してきた・・・というような話。

なんていうかね・・・ふわっと可愛くて、ふわっと優しくて、なんだか好い映画ですよ。登場人物がみんな、程ほどに身勝手で、程ほどに優しさをもっているから、白々しくないんですよね。だから・・・そう、等身大な感じに好感が持てます。そういう物語に、また風景か良く合っているんですよ。ほどほどに美しい田舎の風景。観光地にできるほど美しさを売りにできる風景ではないけれど、田舎の好さは十分に持ち合わせているのが、ほんと物語にピッタリでした。お客のじいちゃんばあちゃんたちも、ちょっと面倒くさいんだけど、ちょっと可愛くもあり・・・これも等身大な感じで好感がもてました。ラブストーリーの部分もあるんだけど、あまりそれを前面に押し出さず、動機付け程度にしているのも、個人的に好きでしたし・・・お気に入りの一作になりましたよ(^^)。

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『マイ・フレンド・フォーエバー』

2010-09-09 18:25:20 | Weblog
1995年 米
監督:ピーター・ホルトン
出演:ブラッド・レンフロ、ジョゼフ・マゼロ、アナベラ・シオラ、ダイアナ・スカーウィッド、ブルース・デイビソン

エリックは母と二人暮らし。自身が幸せそうではない母は、エリックのことを考える余裕はなく、エリックは寂しい家庭生活を送っている。ある日、エリックの家の隣に、デクスターという少年と母親が引っ越してきた。かれらは友達のように仲がよく幸せそうに見えたが、実はデクスターはHIVに感染していた。初めはデクスターに距離を置いていたエリックだったが、苛められているデクスターをエリックが庇ったのをキッカケに、二人の仲は急速に近くなった。息子に友達ができて喜ぶデクスターの母、エイズ感染を恐れてデクスターと付き合うことを禁じるエリックの母。そんな大人の思いとは関係なく、二人は一緒の時間を楽しむのだった・・・というようなお話です。

奇をてらったところが一つもない、王道の安心できるドラマです。HIVの問題やら、親子の問題やら、子ども時代への郷愁やらが、盛り沢山に組み込まれているのですが・・・冒険しない構成によって、それらが全てキレイに消化されたのかなと思います。作り手たちが「すごい」とか「すばらしい」と評価してもらうために作られた映画じゃなく、ちゃんと伝えたいことがあって、それを伝えるために欲を捨てて作られた映画なのかなって思いました。

単に少年が病気になって可愛そうとか、差別はいけませんとか、そういうことだけでなく・・・生きるってどういうことなのかな・・・単に命ながらえればいいのかな・・・そういうことも、小難しくなく問題提起しているし・・・子どもは子どもなりに、親は親なりに考えることもできるようになっていますしね。

ただ・・・これってリアルだなって思ったのは・・・大人の許容範囲と、子どもの発想や行動の範囲って、やっぱり違うんですよね。子どもの世界を理解している大人でも「あいや~、それはちょっと駄目でしょ」ってことを、子どもたちは沢山するんですよね。けど、まっ、その境界線を描いているところも、地味にこの映画の好いところだと思いますね。

ちなみに・・・一番すきなシーンが・・・ラストで活かされてくるのに参りました。あのシーンは好いです・・・あの一シーンだけで、わたしはこの映画を評価しますね(^^)。

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『スラムドッグ$ミリオネア』

2010-09-09 14:21:34 | Weblog

2008年 英
監督:ダニー・ボイル
出演:デーヴ・パテール、マドゥル・ミッタル、フリーダ・ピントー、アニル・カプール、イルファーン・カーン

スラム生まれのジャマールが、テレビの人気クイズ番組に出演して、次々に正解、高額の賞金を手に入れそうになる。無学な若造であるジャマールが、なぜ難しいクイズの答えを知っているのか、きっと不正をしているに違いないと疑われ、警察に連行され尋問されることになる。そこで彼は、自らの生い立ちを語り始める。

メジャーな映画賞を獲得した映画ですよね。わたしの周りの映画好きな人たちの評判も、とても良かった気がします。でも、今まで見ていなかったの・・・まっ、いつものことですけど(^^;。

で、たしかに面白かったです。クイズの問題と、彼の生い立ちの中で体験してきたことが全てリンクするっていう構成は、ご都合主義が過ぎるだろう感がない事はないですけど・・・そういうアザトさを差っぴいても面白かったです(^^)。

ただ・・・ラストの問題、あんなに簡単なので良いんですかね。日本人には簡単でも、インドの方には簡単じゃないのかな・・・そんなことはないように思うんですけど。わたし的には、そこで何か最後のクライマックス的な“現実と問題のリンク”が起こるのを期待したんですが、けっこう肩透かしでした。そこにこそ、何かの意図があるのかな・・・それを、わたしが読み取れなかっただけなのかな。

まっ・・・でも、楽しく拝見しました。好い映画だと思います。まだ未見の方は、どうぞ安心してご覧ください(^^)。

『スラムドッグ$ミリオネア』公式HP
http://slumdog.gaga.ne.jp/



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