映画鑑賞感想文

濫観っていうか、乱観っていうか・・・ポリシーないですけど(^^;

『真珠の耳飾の少女』'03 イギリス&ルクセンブルグ

2006-05-09 17:04:47 | Weblog
【スタッフ】
監督: ピーター・ウェーバー
原作: トレイシー・シュヴァリエ
脚本: オリヴィア・ヘトリード
撮影: エドゥアルド・セラ
美術: ベン・ヴァン・オズ
衣装デザイン: ディーン・ヴァン・ストラーレン
【キャスト】
スカーレット・ヨハンソン/コリン・ファース/キリアン・マーフィ/トム・ウィルキンソン/アラキーナ・マン
【ストーリー】
1665年のオランダ・デルフト。画家ヨハネス・フェルメール(コリン・ファース)の家に、新しい使用人がやってくる。タイル職人の父親が失明し家族を養わなければならなくなった17歳の少女グリート(スカーレット・ヨハンソン)だった。
彼女は、通常の家事の手伝い以外に、ヤン(フェルメール)のアトリエの掃除を言いつかる。丁寧にアトリエを掃除しながら、時々目にするヤンの絵に、グリートは惹かれていく。そんなグリートの様子に、ヤンも何かを感じる。
フェルメール家は、彼にベタ惚れだけれど現世的な欲求も人並みにある妻のカタリーナ(エッシィ・デイビス)と、彼女の母で一家の家計を全て握っているマーリア(ジュディ・パーフィット)、それに六人の子どもという大家族で、ヤンは絵を描くことによって彼女達を養わなければならない立場にあった。けれど彼の筆は遅く、何ヶ月もかかって一枚の絵を仕上げるような状況で、その間の掛かりは女達が宝石を売って調達しているという噂もある。家長であるヤンは、たえず世俗的なプレッシャーを受けながら、一方で完全なる孤独をもって、キャンバスに向かいあっていた。
そんなヤンが、自分の絵に自らの感性で何かを感じている少女を見たとき、心の中に漣が立つ。ヤンは、少しずつ、グリートを自分の世界に招きいれていく。そんな二人の様子に気づいたヤンの娘の
コルネーリアは、グリートに泥棒の濡れ衣を着せようとするが、ヤンはグリートを庇う。そんなヤンの態度に、妻のカタリーナも二人の関係のタダナラヌものを感じ、抑えがたい嫉妬を感じる。そして、それがついに爆発する時がくるのである・・・。

【感想】
欧米の人は、アジアの風景のエキゾチックな魅力に惹かれると聞くけれど、アジア人が感じるヨーロッパのエキゾチックな魅力が、スクリーンに溢れている映画だったなぁ。わたしは、この風景描写だけでも、十分満足なほどです(^^)。
それに、どのシーンも静止させて額縁に入れればルーブルに飾っておけるんじゃないかと思うほどで、17世紀フランドル絵画の世界がそのまま映画の中にあった。
なんて言いながら、実は、ものすごくミーハーな理由で、この映画をみたわけです。ええ、ええ、その通り、コリン・ファース狙い (^^;。で、実際、コリン、良かったよぉ~、素敵だった(^^)。世間的には、グリートを演じたスカーレット・ヨハンソンの評価が高かったようですが、まっ、それは当然ですね (^^;。っていうか、役者さんは外れなく、皆さん良かったですよ。地味なところでは、フェルメール家の家事を一切仕切っている先輩使用人さんも好い味出てたし、根性の悪いフェルメールの娘を演じてたアラキーナ・マンちゃんも徹底的に嫌な女ながら、父の愛情を求めている感じが微妙に切なくて実に良かった(^^)。
っていうか、娘だけじゃなく、みんな、それぞれにフェルメールを愛してるんですよね。妻の激しい嫉妬を炸裂させるストレートな愛情や、グリートが父と特別な関わりを持っているのを感じで意地悪をする娘の気持ちは分かりやすいけど、それに対して義母のマーリアも密やかに愛を持ってフェルメールを見ていたと思うんですよね。男女のそれとは少し違うと思うけど、冷たく強欲な顔を前面に見せながら、時に微妙に切ない表情してた義母さんも、なかなか印象的でした。あれは、絶対に金勘定だけのものじゃないと思うな。
じゃぁ、フェルメールは誰を一番愛していたか・・・彼としては、それなりに、それぞれの女性を思っていたと思うよ。妻は、決して自分が関われない部分に別の女が入り込んだと、気も狂わんばかりに嫉妬してたけど、彼としては、妻のことは女としてシッカリ愛してたと思う。少なくても、コリンの芝居からは、そう感じたなぁ。
ただ、どんなに愛されていても、どんなに愛していても、癒しがたく孤独な部分って誰にでもあるでしょ。その部分が大きい人ではあったんだろうな、この映画のフェルメールは。そして、その部分にグリートがピッタリとはまり込んだ。でも、わたしの体験からいうと、グリートに対するフェルメールの愛情って、ナルシシズムなんだよなぁ。自分の外に自分を見つけた時の衝撃と安心感・・・これは、他人を愛しく思うのとは全く別の感情だと思う。異性間のパッションを伴う愛情に比べて、決して劣りはしないものだけど、別物だと思う。
となると・・・女性側としては、どの愛され方が嬉しいのかな。全部って答えはダメだよ、どれかしかダメ。だとしたら・・・やっぱり、女性として愛される方が嬉しくない?自分の愛する人が、別の女と自分には踏み込めない世界を紡いでるのには嫉妬するだろうけど、でもそこには女として男に愛される喜びは無いんだもん。実際、グリートは、その寂しさを知ったよね。もしグリートが、彼女自身も一人のアーティストとして、あるいは芸術愛好家として、フェルメールと向かい合っていたら、決して寂しさなんか感じなかったと思うけど、そうじゃない部分があったら・・・これは切ないよ。
その点、パトロンのライフェンが微妙。義母さんにも通じるものがあるんだけど、フェルメールの才能に対する愛情が愛憎あいまってる感じで・・・と考えると、ちょっと『アマデウス』っぽくもあるかな。芸術を愛する者は、天才的な作り手に対して、尊敬や愛情と共に嫉妬も感じることがあるからね。
それから、付録的な楽しみなんだけれど、絵の具を作るシーンには、ドキドキしたなぁ。作業中に二人の手が触れるとか、とういうドキドキじゃなく、単純に絵の具を作ってるシーンの絵の具が色っぽいの。くらっとするほど (^^;。フェルメールが窓を開け、グリートに雲を見せて、何色かって聞くシーンがあって、その後に真っ青な空と雲が映し出されるんだけど、その瞬間走り出して筆を持ちたくなったもん。
というわけで、もろもろいっぱい全て大好き!!多少、好き嫌いはあるかと思いますが、よかったら見ていただきたい一作でした。
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