映画鑑賞感想文

濫観っていうか、乱観っていうか・・・ポリシーないですけど(^^;

『CODE46』 '03 英

2006-05-09 17:05:19 | Weblog
【スタッフ】
製作: アンドリュー・イートン
監督: マイケル・ウィンターボトム
脚本: フランク・コトレル・ボイス
撮影: アルウィン・カックラー/マルセル・ザイスキンド
美術: マーク・ティルデスリー
衣装: ナタリー・ウォード
編集: ピーター・クリステリス
音楽: ザ・フリー・アソシエーション
【キャスト】
ティム・ロビンス/サマンサ・モートン/オム・プリ/ジャンヌ・バリバール/デヴィッド・ファーム
【ストーリー】
貧富というよりは、それを越えた保護枠内と外という徹底的な差が出来てしまった未来の社会。ただし、保護枠内といえば聞こえはいいが、別の見方をすれば徹底した管理の下にある世界だということでもある。そんな社会では、自分の身元を示すパペル(パスポートとビザの機能を持つ滞在許可書)が不可欠である。ということは、必然的に、パペルの偽造も行われる。そして、それを取り締まる部署もできる。ウィリアム(ティム・ロビンス)は、その偽造パペルの調査員。上海で偽造パペルが見つかった為に、会社から派遣されてくる。ウィリアムは、すぐに犯人を見つけ出す。けれど、それを報告しないまま、個人的に彼女に接触する。ウィリアム自身も、自分の行動の理由は分からない・・・何かが、二人を結び合わせるのだ・・・。

【感想】
SF映画って、難しいんですよね。SF小説好きな私としては、めったに満足できるSF映画には出会えない。まだまだ、脳内イメージの方が、映像化されたそれより、広がりがあるみたいです。
けれど、この映画は、その点を、かなり巧く誤魔化してくれたなと思います。場所設定を上海にしたのが、正解だったんじゃないかな。もともと、東洋と西洋、あるいは近代的なものと古いものが混在する都市だから、ほとんど違和感なく「過去に取り残された地域」と「未来に向かって暴走する世界」が、観客の中で共存できた気がします。
物語的には、今ちょうど旬の話題じゃないでしょうか。クローン技術が、再生医療として、我々の生活の中で、いよいよ現実味を帯びてきているから・・・ふうむ。だけど、これだけ遺伝子管理ができるなら、近親相姦を忌避することもない気はしました。だって、近親相姦が禁止されている理由って、生まれてくる子どもが病気になりやすいからなんでしょ。そこを管理できるんなら、CODE46は必要ないんじゃないの。それよりは、クローン管理を徹底するほうが自然じゃないのって思うもの。その他にも、気になる点がないでもないのだけれど、基本的に、この映画には科学偏重現代に対する警鐘の要素があるわけだし、バランスが取れていない世界というのは、設定として正しいのかもしれないですね。それに、一番メインであるラブストーリーの部分でも、この世界の歪さが、二人に悲劇性を与えるわけなので、仕上がりの悪い世界というのは重要な要素なのかも。
でも、そんなことより・・・とっても印象的だったのが、ウィリアムの「遺伝子が100%同じだと、同じ人間なのか」という質問に「いいえ違います。だって、生きていく環境が違うでしょ」と、きっぱりとした答えが返ってきたこと。そうだよねぇ、わたしもそう思う。「わたし」って決してDNAじゃないんだよ。同じDNAでも、違う出来上がりになる、その違うことができる余地にこそ「わたし」があるんだと思う。この対話だけでも、この映画を見た甲斐があったな。というわけで、なかなか面白い映画なのでした。
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