金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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213:岡本綺堂『玉藻の前』

2020-10-10 21:52:57 | 20 本の感想
岡本綺堂『玉藻の前
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

明治から昭和初期の劇作家・小説家である岡本綺堂の戯曲。
初出は「婦人公論」[1917(大正6)年]。
昔から祟りがあると言い伝えのある古塚の森に迷い込んだ
幼なじみの美少女、藻を救い出した少年、千枝松。
しかし、その日を境に、素直だった藻は人が変わったように
冷淡となり、彼女は千枝松を捨てて、
関白、藤原忠通の侍女になってしまう。
藻と千枝松の美しく切ない悲恋物語。

**********************************

ずいぶん前に読んだのだけど、記録するのを忘れていた。

以前読んだ漫画版、原作は岡本綺堂だったんだな。
玉藻の前伝説にオリジナル要素を付け加えて
悲しくも美しい、切ない物語に仕立てている。
文章も全く古びておらず、流麗。
玉藻と、忠通・頼長・信西をからませて、
保元の乱へ至るストーリーになっているのにも無理がない。
この保元の乱との絡みは、
岡本綺堂のオリジナルなのかと思ったけれど、
そうではなくて結構昔からある話なのね。

玉藻の前
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212:塚本邦雄:『藤原定家―火宅玲瓏』

2020-10-01 10:05:53 | 20 本の感想
塚本邦雄 『藤原定家―火宅玲瓏 (1973年)
★★★★☆

塚本邦雄全集第5巻より。

読むのにすごく時間がかかった……!
旧字&旧かなづかいだからというのもあるけれど、
そこは慣れたらたいした問題ではなく、
ただただもう、憎悪に満ちた世界が息苦しい。
自分と互角に渡り合える才能を持っているのは
良経だけだったという定家の不遜、
その良経に対して抱く、殺意につながるほどの嫉妬。
後鳥羽院と相互に嫌悪を抱きあい、
避けられないと予感していた通りに衝突し、
後鳥羽院が隠岐に流されてもずーっと
自分を恨んでいるであろう院に怯えつづける。
だれも愛さず、だれにも愛されず、
醜い老人になっても歌のことになると途端に切れを見せる
定家の姿が、妄執めいていて恐ろしい。

登場人物の多くが、だれかをさげすんだり憎んだり
嘲笑したり憐れんだり。
(特に実朝のあばたを馬鹿にした飛鳥井雅経が嫌だわ~!)
美しさ、優しさとは程遠い世界なのだけれども、
最後に清涼感が残るのは、
きれいごとばかりじゃない人生が終わった、
というところから来ているのかしら。

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