金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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映画:『博士と狂人』

2020-10-28 23:39:36 | 映画の感想
2020年の映画⑭:『博士と狂人』(P.B.シェムラン 監督)
★★★★☆3.5

【シネマトゥデイの内容紹介】

貧しい生い立ちで学士号を持たない
異端のイギリス人学者マレー(メル・ギブソン)と、
精神を病んだアメリカ人の元軍医マイナー(ショーン・ペン)は、
世界最大の英語辞典の編さんを通じて盟友となっていく。
しかし、英国の威信をかけたプロジェクトに
犯罪者が協力していることが判明すると、
編さん事業は行き詰まってしまう。
やがて、時の内務大臣ウィンストン・チャーチルや
イギリス王室をも巻き込む事態へと発展していく。

*****************************

わたしにヨーロッパ文化についての素養があれば、
もっといろいろ汲み取ることができないのだろうな……と思うのだけど、
今のわたしが理解できる範囲でだと、
どうも要素が取っ散らかっている印象が残った。
実話ベースの物語だそうだし、
現実はフィクションほど整理されていないものだろうけれど、
マレーの追い求める言語の世界と、マイナーの人生の交差に
ストーリー上の必然性が感じられないんだよね。
いや、マイナーに教養があるのはわかったし、
マイナーが自分の殺した男の未亡人に文字を教え、
彼女と文字でやり取りするというあたりには、
わたしの汲み取れる範囲を超えた、
何か大きな言語とのからみがあったのかもしれないけれども。

釈然としない点は多いけれども、何となく好き。
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歴史秘話ヒストリア「新発見!まぼろしの源氏物語 藤原定家の挑戦」

2020-10-28 23:20:58 | その他(ドラマ・アニメ・落語)レビュー
「武士の力を見せつけるために新古今和歌集を実朝に贈った」
とか、
「承久の乱に破れ、貴族が力を取り戻すことはないとわかりしょんぼり
 →心のよりどころにしたのが『源氏物語』」
とか、
「解釈違いです!!」
と思うところもあったけれど、知らなかったことが多くて面白かった。
「かづらき」フォントも取り上げられていた。

後鳥羽院に絶交されたことや、鎌倉の御家人の娘を息子の嫁に迎えて
承久の乱後はむしろウハウハだったことには、触れられていなかった。
自分ですべて書き写したわけじゃなく、家の者に書写させていたことも
触れられていなかった気がする。
俊成は顔も出て声つきだったのに、名前すら出てこなかったの、かわいそう。
父あっての定家だったろうに。

【メモ】
・昨年発見された写本が定家本だとされた理由は三つ
 1.サイズが他の青表紙本と同じ
 2.紙の漉き方が鎌倉時代のもの
 3.三位以上の人たちが使う「青墨」が使われていた

・『源氏物語』のオリジナルは、平安時代の間にすべて失われたと考えられている

・宇治十帖と、『源氏物語』の他の四十四帖は、
 使われている語彙を統計学の手法で比較しても、
 同じ作者が書いたと言える結果になった。

・「紫式部は救世観音の化身である」として仏像を身近に置いていた。
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