金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

61:江國香織 『ウエハースの椅子』

2006-03-19 11:51:48 | 06 本の感想
江國香織『ウエハースの椅子』(ハルキ文庫)
★★★★★

再々々々読くらい?
ひいさまに貸してたのが戻ってきたので、帰りの新幹線で途中まで読み、
夜寝る前に読了。
Reading Batonでも挙げたのだけど、江國作品の中でいちばん好きな本です。
江國さんの本は出たら必ず読むし、好きだけれど、
「もんのすごく好き! 文庫落ちしてなくても買う!」というわけではない。
でも、これは別格。
すじはあってないようなものだけれど、ひとつひとつのエピソードを綴る文章が
詩のようで、ノスタルジーと感傷に満ちていて、文章そのものを楽しめる。
ため息が出る。

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60:宮城谷昌光 『孟嘗君〈5〉』

2006-03-18 11:53:04 | 06 本の感想
宮城谷昌光『孟嘗君〈5〉』(講談社文庫)
★★★★☆

最終巻で突然スケールが大きくなり、時間の流れも早くなって、
内容がやや表面的な部分にとどまりがちになってしまった気もする。
しかし、なにはともあれこれにて完結。
いったいどこまでが史実とされている部分なのかさっぱりわからないのだけど、
田文の数奇な運命を思い、最後の再会でじーんときてしまった。
国際情勢がよく理解できていなかったので、やっぱりもう一度読みたい。

あとがきを読んで、「やっぱり白圭がかっこよすぎたのね……」と納得。

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59:宮城谷昌光 『孟嘗君〈4〉』

2006-03-12 11:54:54 | 06 本の感想
宮城谷昌光『孟嘗君〈4〉』(講談社文庫)
★★★★★

公孫鞅が死んじゃった……!!
あまりのあっけなさに呆然。
主人公が田文なので仕方ないのかもしれないけど、本人視点ではなく
遠いところですでに起こったできごとを聞くという形式で話が進んだので、
ぽかーん……。
人柄が前面に出てきた洛芭は、またもやわたしのきらいなタイプの
ヒロインになりそう。
毒殺しようとしたり巫女になりすましたりしてた頃のほうがいいよ!
宮城谷氏とはとことん女性の好みが合わなさそうです。

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58:狗飼恭子 『幸福病』

2006-03-09 11:56:09 | 06 本の感想
狗飼恭子『幸福病』(幻冬舎文庫)
★★★★☆

もしわたしが男で、近くにこんなに可愛らしい女の人がいたら、
きっと好きになっちゃうだろうなあ。
もちろん本を通して人柄の一部分をのぞいたにすぎないのだけど、
狗飼さんってとてもとても可愛い女の人だろうなと思うのです。

狗飼さんを知ったきっかけは、本屋でたまたま目に留めて買った
『薔薇の花の下』。
仕事やまわりの世界に対する感覚に共感して、安心して、
自分にはないまっすぐさ、素直さに惹かれたのでした。
内容としては一冊目の『愛の病』のほうが好きなのだけど、
表現のしかた、ものごとのとらえかた、素直すぎるくらいの言葉が
やっぱりいい。

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57:川島誠 『800』

2006-03-06 11:57:30 | 06 本の感想
川島誠『800』(角川文庫)
★★★★☆

中沢と広瀬、800Mランナーであるふたりの対照的な高校生の視線で描かれる、
青春小説。
おもしろかった。お風呂で一気読み。
女王さまな伊田さんがかっこいい!
買って手元に置いておきたいな……という一冊なのだけれど、
短編集『セカンド・ショット』で感じた「毒」がやっぱりあって、
100%好きだとは言い切れないため、★4つ。
広瀬と山口の、ゆがんだというか、病んだような、ズレた感覚が気持ち悪い。
妹の描き方もなんだか妄想の具現化という感じ。
裕福で治安のよい街に住む側のほうが実は……というのも
作者の狙いなのだと思うのだけど。

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56:野中ともそ 『カチューシャ』

2006-03-05 11:59:26 | 06 本の感想
野中ともそ『カチューシャ』(理論社)
★★★☆☆

人よりテンポが遅い主人公かじおと、露悪的な美少女カチューシャを中心に、
カチューシャの祖父ショウセイ、義侠心に富んだ不良の香坂などなど、
登場人物が魅力的。
作者のあたたかな視線もいいですね。
学校とか教室というのは高校生にとっては自分の生活の大部分を占める社会で、
その中でどのように生きていくのか、自分のスタイルを貫く主人公たち。
きれいごとに終始せず、きちんと現実の厳しさも織り込んでいるのがいい。
主人公とカチューシャのキャラクターがちょっと不鮮明に感じられたり、
ネタを盛り込みすぎて不消化なところに物足りなさを感じたりもしたのだけど、
このくらいがちょうどいいのかも。
輪からはずれてしまいがちな子の背中をそっと押してくれるような、
やさしいお話でした。

知らない作家さんだったのだけど、おもしろかったので
ほかの作品も読んでみようかな。

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55:岡田芳朗 『アジアの暦』

2006-03-03 12:01:21 | 06 本の感想
岡田芳朗『アジアの暦』(大修館書店)
★★☆☆☆

暦って数学・天文学と密接なかかわりのあるものだし、
難しいものを一般向けにだいぶんわかりやすい状態にして
書いてくれているのだとは思う。
でもわたしには読み通す根性がなかった……。
読解力が足りないのか、中国の暦のところですでに置いてきぼりの感。
口絵とコラムはおもしろかった。

インドのカレンダー、見るだけで疲れる。

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54:よしもとばなな 『王国〈その3〉ひみつの花園』

2006-03-02 12:03:01 | 06 本の感想
よしもとばなな『王国〈その3〉ひみつの花園』(新潮社)
★★★★★

雫石、試練の巻。
あんなにやさしく誠実だった真一郎くんが……
彼の美点はそこなわれていないはずなのに、
よくないところばかりが目に付くようになって、
「小さい男」になっちゃったのが悲しい。
実際そうだよね、きれいに遠ざかることなんてできないのよね……としんみり。
楓と雫石が話し合っているところで泣いてしまった。

1・2巻に引き続き、やさしくきれいな光がぎゅっと凝縮されているような物語。
片岡さん、いい男! 
そしてミステリアスなおばあちゃんの謎が明かされる日は来るんでしょうか。

(雫石の丁寧語の不自然さが急に気になりだした……書き言葉に近いから?)

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53:宮城谷昌光 『孟嘗君〈3〉』

2006-03-01 12:04:17 | 06 本の感想
宮城谷昌光『孟嘗君〈3〉』(講談社文庫)
★★★★★

三巻目になりましたが、中だるみの気配もなく、あいかわらずの面白さ。
風洪(白圭)が去り、田嬰に引き取られた田文は成長するにしたがって
才を発揮。そして孫子大活躍!
時代背景をまったく理解してなかったのだけど、
漢文に出てきた人物を発見し、ようやく歴史上の位置づけがわかってきた。
根っからの悪役というのもいるのはいるのだけど、
悪役で登場した人物のかっこいい面が明らかになったり、
友好的な関係を結んでいた人物の残虐な面が見えたりと、
人物の多面性が強く押し出されているような気がする。
姿を消した美少女が今後どうかかわってくるのか気になります。

とりあえず三巻まで図書館で借りましたが、これ、おもしろいから買いますよ。

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