金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

39:角田光代 『ピンク・バス』

2006-02-12 14:32:04 | 06 本の感想
角田光代『ピンク・バス』(角川文庫)
★★★☆☆

「ピンク・バス」と「昨夜はたくさん夢を見た」の二編を収録。
あいかわらず、ざらりとした感触の後味の悪さ。
理解しがたい独自の世界に生きている人物たちの気味の悪さ、
彼らのすぐ傍にいる人々の不安感みたいなものはリアルで、
活字を媒体にしてその「いやな感じ」が染み出してくるようだ。
この人の描く男性はろくでなしばかりで、男性ばかりでなく登場人物すべてを
甘やかさない描き方をしているような気がして、いつもどきっとする。

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38:井上荒野 『ひどい感じ―父・井上光晴』

2006-02-11 14:30:26 | 06 本の感想
井上荒野『ひどい感じ―父・井上光晴』(講談社)
★★★★☆

作家・井上荒野が、父である純文学作家・井上光晴について書いた回想録。
プロローグ「嘘吐き佐世保」の、主体の不明確な文章にはやくも挫折しかけましたが、
本編自体は筆者のいつもの文章で書かれていて、読みやすい。
恥ずかしながら、井上光晴作品についてはまったく知りません。
でも彼の人間的な魅力だとか、筆者の父親にたいする愛は十分に伝わってきて、
なんだか眠れなくなってしまった(昨晩読んでいた)。
『もう切るわ』や『森の中のママ』に使われていたエピソードの元ネタも
見え隠れしていて、おもしろく読んだ。
しかし家族にすら経歴をいつわっていたとは……


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37:小堀杏奴 『追憶から追憶へ』

2006-02-11 14:28:41 | 06 本の感想
小堀杏奴『追憶から追憶へ』(求龍堂)
★★★☆☆

大学の図書館で読む。
筆者は森鴎外の次女。
これは親交のあった芸術家たちについて書かれたエッセイで、
鴎外についてはほんのわずかに言及されているのみ。
師事していた画家・長原孝太郎と藤島武二について書かれたⅠ部が好きでした。
筆者の夫との馴れ初めにも触れられていて興味深い。

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36:文学散策の会 編 『文豪の愛した東京山の手』

2006-02-10 14:27:26 | 06 本の感想
文学散策の会 編『文豪の愛した東京山の手』(JTBキャンプックス)
★★★★★

夏目漱石・森鴎外・武者小路実篤・芥川龍之介という四人の文豪の生涯を
「山の手」という視点から切り取ったもの。
四人も扱っているので当然だろうけれど、ダイジェスト的な内容に終始して、
鴎外目当てで借りたわたしとしてはちょっぴり物足りない。
でも、今までそれほど興味のなかったほかの三人の人生については、
入門編としておもしろく読めました。
写真資料が豊富で、見たことのなかった資料も多かったし、
「胃が弱いくせに食い意地が張っており、脂っこいものが大好物」(漱石)、
「今なら痴漢呼ばわりされかねない」(実篤)等々の言い回しに思わず笑ってしまう。
あまり関係ないけど、志賀直哉の顔って素敵だよね……

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35:はやみねかおる 『機巧館のかぞえ唄―名探偵夢水清志郎事件ノート』

2006-02-09 14:25:51 | 06 本の感想
はやみねかおる『機巧館のかぞえ唄―名探偵夢水清志郎事件ノート』
(講談社青い鳥文庫)
★★★★☆

再び籐子ちゃんのところから拝借。
子ども向けとは思えない凝った作りの物語と、観念的なテーマ。
親切な説明がない分、ちょっと頭を働かせて楽しめました。
今までで一番「本格」の趣?
短編だったけれど、『魔女の隠れ里』のときのような物足りなさは
感じませんでした。
解説があったのも新鮮。
「さよなら天使」ではめずらしくまともな、人間らしい教授の一面が見られて、
ちょっぴり安心
亜衣はやっぱりレーチの男心をわかっていないのだね……。

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34:笹生陽子 『ぼくは悪党になりたい』

2006-02-08 14:24:40 | 06 本の感想
笹生陽子『ぼくは悪党になりたい』(角川書店)
★★★☆☆

笹生さんの話って、あらすじを説明しようとするとなんだか難しい。
お人よしで小心者の男子高校生が突然父親問題に直面し、
親友の恋愛トラブルにまきこまれ、ちょっぴり爆発!……といった感じでしょうか。
キャラクター造形もおもしろいし、主人公のツッコミに笑っちゃったりして、
一気に読了。
杉尾さんのロマンスにときめきました。
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33:吉田修一 『長崎乱楽坂』

2006-02-08 14:23:37 | 06 本の感想
吉田修一『長崎乱楽坂』(新潮社)
★★☆☆☆

「家」とその呪縛、解放を描いた物語。
作品としての出来はともかく、個人的にはどうも受け付けない類の話でした。
第一話の最後で強烈な嫌悪感。
実際には世の中のあちこちで行われていることなのかもしれないけれど、
小説の中でまでそんなものを見せられたくはないのです。
主人公の少年が惹かれる男たちの魅力も全然わからなかった。

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32:竹内真 『真夏の島の夢』

2006-02-07 14:18:43 | 06 本の感想
竹内真『真夏の島の夢』(角川春樹事務所)
★★★☆☆

既読の三冊がよかったので期待しすぎてしまった。
帯のあらすじでなんとなく「好きじゃない話だ……」と予感はしていたのだけど。
産廃をめぐる陰謀はおもしろかったのだけど、そのほかのストーリーと
キャラクター設定の必然性には疑問。
今田くんなんか何のために出てきたのかよくわからなかったし。
主人公格の真也をあまり好きになれなかった。
「今田のほうがいいじゃないか!」と超個人的な反発を感じた。
内面描写の少ない群像劇なので、映像化には向いているかも。

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31:高山なおみ 『日々ごはん〈5〉』

2006-02-06 14:17:28 | 06 本の感想
高山なおみ『日々ごはん〈5〉』(アノニマ・スタジオ)
★★★★★

中断せずに集中して読んだせいかもしれないけれど、
シリーズ中でいちばん、読んで「いいもの」が伝わってきた。
ふわーっとした春の陽気みたいなもの。
もちろん、日記の文章から「実際」の断片をうかがい知ることができるだけだけど、
口げんかしたり、お互い別々に好きなことをしながらも、
きちんとつながっていて仲のいい、高山さんとスイセイさんの関係が素敵。
「日々ごはん」のシリーズはこれで既刊を全部読んでしまったけれど、
ほかにもエッセイが出ているようなので探してみます。

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30:富永裕久 『図解雑学 左と右の科学』

2006-02-05 14:15:52 | 06 本の感想
富永裕久『図解雑学 左と右の科学』(ナツメ社)
★★★★☆

文化人類学・天文学・生物学等々さまざまな角度から
「左」と「右」という観念を扱った本。
「鏡像とは、左右が逆になっているのではなく、前後が逆になっているのだ」
という説明には目からウロコ。
そういうものであると疑問にも思わなかった現象についての説明が
なされていておもしろく、前半は夢中で読んだ。
しかし後半、分子だの電子だのが出てきて頭が痛くなり、
読むのをやめてしまった。
化学の成績だけはどうにもならなかったのだ。


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