金木犀、薔薇、白木蓮

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15:山口晃 『ヘンな日本美術史』

2017-01-21 19:42:37 | 17 本の感想
山口晃『ヘンな日本美術史』(祥伝社)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

山口晃、初の書き下ろし「画論」!

自分が描いたということにこだわらなかった「鳥獣戯画」の作者たち。
絹本に白色を差すまでの絵師の心細さ。
「伝源頼朝像」を見たときのがっかり感の理由。
終生「こけつまろびつ」の破綻ぶりで疾走した雪舟のすごさ。
グーグルマップに負けない「洛中洛外図」の空間性。
「彦根屏風」など、デッサンなんかクソくらえと云わんばかりのヘンな絵の数々。
そして月岡芳年や川村清雄ら、西洋的写実を知ってしまった
時代の日本人絵師たちの苦悩と試行錯誤……。

絵描きの視点だからこそ見えてきた、まったく新しい日本美術史!

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あー面白かった!

上の内容紹介は非常にまじめなんだけども、
文章にユーモアがあって読みやすく、なおかつ勉強になる。
自分で見たときには気づかなかった視点で絵を紹介してくれているので、
「言われてみればそうだ」という発見が多かった。
学生の頃から、資料集に載っていた月岡芳年の絵が好きだったんだけど、
あの絵の良さも言語にしてもらって初めて理解できた気がする。

"一方、この「高津本」は、ぱっと見で明らかにこれは駄目だろうという
ビジュアルを持っています。斬新な構図と言えば聞こえはいいですが、
これは明らかに「下手」です。"(P.141)

と書かれた後にその絵が載っていて、笑えてしまう。
下手だとこきおろしているわけではなく、
その絵が生み出された背景や、美術教育にまで話が及んでいて、
絵を描かない人間にも納得できることが多かった。



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2 コメント

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Unknown (ゆきこ)
2017-01-22 15:40:53
この人の絵、すごくいいよね!私も昨年仕事関係で知って以来、地味にファン。

別の画集で「昔の絵師が屏風に雲をかく理由がよくわかる」
ってつぶやいてたのがツボでした。
返信する
>ゆきちゃん (晶子)
2017-01-22 20:25:05
この本読むまで、名前も知らなかったよ~。
著者自身の絵は、表紙と扉にしかなかったので、
画集も見てみるよ。
返信する

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