金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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93:八百板洋子 『ソフィアの白いばら』

2019-06-22 14:03:16 | 19 本の感想
八百板洋子『ソフィアの白いばら (福音館文庫 ノンフィクション)
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

1970年秋、YOKOがソフィアの留学生宿舎で出会ったのは、
世界各国からやってきた若者たちだった。
ベトナム戦争は激しくなるばかり。
激動の時代に青春を過ごした仲間は、それぞれ、
歴史の大きなうねりにまきこまれていく……。

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ブルガリアへ留学した著者の体験を書いた随筆。
良い本だった……!

前半は、異なる国で生まれ育った人々がともに生活することの
難しさ、楽しさがつづられていて、興味深くて面白い。
言葉がわからないために、オレンジを大量に購入するはめになったり、
歯磨き粉と間違えて洗濯糊で歯を磨いたり、
スイカを船に吊るして機雷と間違えられたりと
笑えるところもたくさんあった。
同室になったアセンカの過剰な愛情表現と
束縛・独占欲に辟易しながらも
彼女と友情を育んでいく様子が印象的。

そして、後半は切なく悲しい。
ベトナムやエジプト、ルーマニアなど、
当時、政情不安にあった国ぐにの事情に触れられていて、
友だちや恋人が亡命したり命を落としたりと、
別れを余儀なくされることになる。
わたしの生まれる前の出来事だけど、
当時、リアルタイムでその空気を感じたひとにしか
わからないものがあるんだろうな。

ブルガリア、行ったのが冬だったせいか、
薄暗くて怖い印象のほうが強いのだけど、
春のソフィアは美しい街なのだな。




結構なボリュームの本だったけど、
少しずつ味わって読んだ。

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