金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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53:久保田香里 『もえぎ草子』

2020-03-20 15:36:54 | 20 本の感想
久保田香里『もえぎ草子 (くもんの児童文学)』(くもん出版)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

12歳の少女・萌黄は、育ての親の叔母が
遠国に行くことになったのを機に、
中宮のための役所・職御曹司(しきのみぞうし)で、
下働きをはじめる。
別れぎわ、叔母は萌黄に「お前の父さんがつくったものだよ」といって、
白い紙を預けてくれるが、萌黄には父の記憶はない。
先輩の瑞木(みずき)や、庭で暮らす木守(こもり)の親子、
牛飼い見習いの幼なじみとともに、充実した日々を送るが、
父から預かった紙を、「清少納言から盗んだ」と勘違いされ、
職御曹司を追い出されてしまう。
途方に暮れるなかで、路上で歌をうたって日銭を稼ぐ紅葉と出会い、
ともに暮らしはじめる。しかし、突然の別れがあり……。

萌黄は、清少納言が藤原行成に送る手紙を届けたり、
枕草子の一説を読んでもらったり、書き損じの紙を集めたりするなかで、
言葉が紙を通じて広がっていくことの不思議を知る。
そして次第に、紙というものに惹かれていく。

歴史のなかでたくましく生きる、
名もない庶民を描きつづけてきた久保田さんが次に描くのは、
平安時代に土を踏みしめて力強く生きた人々。
枕草子から着想を得た、枕草子の裏側にあったかもしれない、
一人の少女の物語。

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先輩から借りたもの。
名もなき庶民の生活や紙というものにスポットをあてたところは
好きだし、定子さまがSっ気を発揮する雪山のエピソードも
下働きの者たちからすれば非常に迷惑だった、という展開も
良いんだけど。
「枕草子」のエピソードを入れようとするあまりに、
ひとつのストーリーとしてみると不要な情報が多く
散漫になってしまっている。
ストーリーに枕草子を組み込んだのではなく、
枕草子ありきで話や登場人物を動かしているので、
ストーリーの方向性がぼんやりして、
登場人物の大部分も生かせていない。
題材は好きなのにもったいないなあ、という印象。


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